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『戦国姫の脳内戦略会議』  作者: れんれん


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94/201

84話 桜が“誤判断を確信する瞬間

――京・近衛邸の一室

夜。

灯りは最小限。

桜は膝の上に帳面を置き、商人から届いた報告を順に見ていた。

内容は――

拍子抜けするほど、平穏。

・酒の流通、滞りなし

・不審な荷止め、なし

・商人への圧、なし

・京の裏での動き、静穏

桜は、ふっと息を吐いた。

「……見てる、けど触らない」

その一言で、全てが繋がった。

確信①

“調べているのに、動かない”という異常

忍びは「疑わしければ切る」。

それが風魔の流儀。

なのに今回は違う。

「様子見、じゃない。

切らない理由を探してる」

桜はそう判断した。

確信②

“公家の盾”が、効きすぎている

近衛前久。

主上への献上。

修繕費用。

「これを“罠”だと認めた瞬間、

風魔は“朝廷に刃を向けた”ことになる」

それを彼らは恐れている。

桜は、筆を止めて呟いた。

「……風魔は、自分が影であることを忘れてる」

確信③

“子供”という存在を軽んじている

最も致命的な誤判断。

「十歳の私が、

朝廷・商い・酒・修繕を

一つの線で繋げると思ってない」

その油断を、桜ははっきりと感じ取った。

そして、確信する。

「──もう、網は見えてない」

伊賀がその誤判断をどう利用するか

桜は、その夜のうちに

伊賀への短い文を書いた。

宛先は――百地三大夫。

内容は、簡潔だった。

桜の指示(要点)

風魔には一切触れない

→ 動かない敵は、誤判断を深める

“表の仕事”だけを増やす

酒の護送

商人の安全確保

公家屋敷の警備補助

※すべて「忍びらしくない仕事」

若い忍びを“見える位置”に置く

→ 風魔に「素人が混じっている」と思わせる

情報は必ず“遅れて”流す

→ 正確だが、半歩遅い情報

百地三大夫の反応

文を読んだ百地は、静かに笑った。

「……これは、戦ではないな」

「相手に“考え違い”を育てさせる策だ」

伊賀の強みは

速さでも、数でもない。

「“待てる”ことだ」

百地はそう判断した。

伊賀の若い忍びの変化

若い忍びの一人が言った。

「風魔は、俺たちを見下してます」

百地は頷く。

「だからこそ、お前たちは“見える場所”にいろ」

「影に戻るのは、

相手が間違いに気づいた“その後”だ」

忍びたちは、その意味を理解した。

桜の独白

桜は、まな姫の隣で静かに言う。

「風魔は、

“これは罠じゃない”って判断した」

「だから次は――

“逃げ遅れる”」

まなは息を飲んだ。

「戦わない戦い、ですか?」

桜は、ゆっくり頷く。

「ううん。“負けたと気づかせない戦い”」

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