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『戦国姫の脳内戦略会議』  作者: れんれん


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81話 風魔側が酒の流れに違和感を覚え始める

風の匂いが、いつもと違った。

相模の山中。

風魔の里では、朝から密やかなざわめきが走っていた。忍びたちが持ち帰る情報が、どれも同じ“一点”を指していたからだ。

「京へ向かう荷が、増えています」

若い忍びの報告に、年嵩の頭領が目を細める。

「米か?」

「いえ……酒です」

その場に、短い沈黙が落ちた。

酒は珍しくない。

だが、忍びが注視するほどの酒というのは、話が違う。

不自然な流れ

「街道筋での動きが妙です」

別の忍びが地図を指でなぞる。

「相模、上総、下総――それぞれ別の商人が動いているように見せかけて、

最終的に京で一つにまとまる」

「同じ銘か?」

「……銘はありません」

頭領の眉が、わずかに動いた。

名のない酒。

それは、まだ“縛られていない”ということ。

同時に、意図的に名を伏せている可能性も示す。

「味は?」

「水のように澄み、後に残らぬそうです。

飲んだ者ほど、また欲する、と」

「……厄介だな」

風魔の勘

風魔にとって、異変は“数”ではなく“気配”だ。

「京の公家筋が動いている」

「近衛前久――名が浮かびます」

その名が出た瞬間、頭領は口を結んだ。

「公家が、酒で何をする?」

「人を集めます」

答えたのは、黙っていた女忍びだった。

「酒は、警戒を解きます。

言葉を緩め、約束を結ばせる」

「忍びにとって、最悪の道具だな」

頭領は、静かに頷いた。

「武器でも兵でもない。

だが、人の心を動かす。

……しかも、それを“京”でやる」

まだ、確信には至らない

「里見か、それとも北に新興勢力があるのか?」

「いえ……まだ、どちらとも」

忍びは首を振る。

「ただ、酒の流れの“起点”が見えません」

それが、最大の違和感だった。

商いには、必ず源がある。

田か、蔵か、誰かの庇護か。

だがこの酒は――

どこから来たのかが、見えない。

「見えぬ起点ほど、危ういものはない」

頭領は、低く言った。

「この酒に、忍びをつけろ」

「京まで、ですか」

「いや……」

一瞬の沈黙の後、頭領は続ける。

「酒ではない。

酒に“関わる人間”だ」

静かな前兆

その夜。

里の外れで、一人の忍びが闇を駆ける。

目的は、京。

だが真に探るべきは――

「この酒を、誰が“使っている”のか」

風魔はまだ知らない。

この違和感の先に、

“忍びの在り方そのもの”を揺るがす存在がいることを。

だが、確かに歯車は噛み合い始めていた。

――酒は、ただの酒ではなかった。

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