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『戦国姫の脳内戦略会議』  作者: れんれん


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80話 京から見た里見評価の変化

表向きの評価(朝廷・公家社会)

京において、里見はこれまで

「東国の一大名」「北条に抗う地方勢力」

に過ぎなかった。

しかし、

仮御所整備への献力と、官位向上を経て、

その見方は明確に変わる。

公家たちの間で囁かれ始めた言葉は、こうだ。

「約束を守る家」

「金を出して終わりではない家」

「朝廷の事情を理解して動く家」

武力ではなく、

“段取り”と“空気”を読める大名。

これは、京において極めて高い評価である。

近衛前久をはじめとする上位公家は、

里見をこう位置づけ始めていた。

「北条を刺激せず、

されど朝廷を軽んじぬ、

稀有な東国の楔」

つまり里見は、

使い捨ての支援者から

長く付き合うべき存在へと格上げされたのである。

裏の評価(女房衆・僧・情報層)

一方で、

公式の評よりも早く動いていた層がある。

女房衆、寺社筋、京の商人——

そして、その結節点にいたのが雪姫だった。

雪姫の独自の人脈

雪姫の人脈は、

「表に出ないが、途切れない」。

① 女房衆ネットワーク

仮御所整備に関わる女房

近衛家・九条家筋の奥向き

噂と実務の両方を扱える層

彼女たちは、

「里見の金が、どこにどう使われているか」を知っている。

そして口を揃えて言う。

「あの家は、使い道がきれい」

② 寺社筋との静かな縁

仮御所候補となる寺院

避難経路を知る僧

荷を預かる庫裏

雪姫は、

“お願い”ではなく“相談”という形で関係を結んでいた。

僧たちの評価は実に現実的だ。

「里見は、長く続く家だろう」

③ 商人・取次層

京と東国を往復する商人

表には出ぬ献金・調達の調整役

雪姫の名は、

「話が早い」「無理を言わぬ」として通っていた。

京での評価の決定的変化

こうした非公式の声が積み重なった結果、

京では次の共通認識が生まれる。

「里見は、朝廷を利用しに来たのではない。

朝廷と“一緒に立とう”としている」

これは、

多くの武家が成し得なかった立ち位置だ。

桜とまな姫から見た雪姫

桜は、この流れを冷静に見ていた。

「官位を動かしたのは前久様。

けれど、空気を変えたのは雪姫さまです」

まな姫は、少し困ったように笑う。

「怖いわね。

誰にも命じていないのに、

皆が同じ評価に辿り着いている」

雪姫は、ただ静かに答える。

「人は、信用できる話だけを信じます。

私は、その“話の通り道”にいるだけ」

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