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『戦国姫の脳内戦略会議』  作者: れんれん


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閑話 近衛前久の奏上・奉書をしたためる

恐れながら申し上げます。

主上の御心のままに、

まずは仮御所ならびに御避難先の整備を先行して進めること、

これ最も肝要に存じ奉ります。

万一の折にも、

禁中の御威光と朝儀を絶やすことなきよう、

寺院・公家邸を中心に、

速やかにお遷り遊ばされる先を定め、

必要最低限の調度・警護を整える所存にございます。

右の備え整い次第、

あらためて御所の本格的な改修に着手いたしたく存じます。

この順をもって進めること、

内外の目にも穏当かつ理にかなうものと考え奉ります。

なお、

里見方よりの変わらぬ尽力と献納により、

此度の整備ならびに改修につき、

ようやく確かな目途が立ち申しました。

武家の忠節、朝廷の御威を仰ぎ奉るものにて、

まことに有り難き次第にございます。

すべては主上安寧のため、

また朝廷永続のためにございます。

何卒、御裁可を賜りますよう、

謹んでお願い申し上げ奉ります。

近衛前久


仮御所整備並びに御所改修につき、

近衛前久の奏上は、主上の御心に適うものとして聞き届けられた。

これにより、

里見方の忠節と継続的な朝廷支援を明確に評価するため、

その官位を一段引き上げることが内々に定められた。

官位向上は、

武家に対する明確な褒賞であると同時に

今後も朝廷への忠勤を怠ることなきよう促す

無言の勅諭

でもあった。

里見にとっては名誉であり、

朝廷にとっては新たな後ろ盾を得る一手である。

こうして、

仮御所整備を起点として、

御所本格改修へと至る道筋は、

政治的にも現実的にも、確かな形を取り始めたのであった。

その後の感想(近衛前久の内心・周囲の評)

近衛前久は、

この一連の流れを「静かな成功」と受け止めていた。

武家に過度な発言権を与えることなく、

しかもその力を朝廷のために用いる。

それは綱渡りのような均衡であったが、

今回ばかりは、時と人を得たといえよう。

里見は、

ただの一地方勢力では終わらぬ。

官位を与えられた以上、

朝廷を軽んじることは自らの首を絞めるに等しい。

――忠を示さねば、失うものがある。

そうした見えぬ鎖を結ぶことこそ、

今の朝廷にできる、最も穏やかで、

そして最も確実な政治であった。

前久は思う。

武で制する時代は過ぎつつある。

これからは、

官位と名分で縛る時代である

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