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『戦国姫の脳内戦略会議』  作者: れんれん


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71話 里見帰還 ――伊賀との盟、報告の席

里見城、本丸。

重臣たちが居並ぶ中、

静かに座す里見義堯の前へ、三人が進み出た。

百地三大夫。

桜。

そして――里見まな。

伊賀の頭領が城内に足を踏み入れること自体、異例だった。

空気が張りつめる。

報告役は「まな」

まなは、一歩前へ出た。

「父上」

その声は、幼さを残しながらも、揺れなかった。

「伊賀・百地三大夫殿と共に戻りました」

義堯は、ゆっくりとうなずく。

「続けよ」

これまでの経緯

まなは、視線をまっすぐに保ったまま語る。

「北条の風魔について」

「彼らは忍びではなく、

流通・人心・恐怖を用いる“破壊の影”であること」

「正木の地で起きた不穏な動き、

情報の歪み、商いへの干渉」

「それに対抗するには」

一拍、置いた。

「伊賀の情報と判断力が不可欠であること」

重臣の一人が、息を呑む。

伊賀を「どう扱うか」

ここからが、本題だった。

「ですが」

まなは、はっきりと言った。

「伊賀者を

“使い捨ての刃”として扱うつもりは、里見にはありません」

ざわり、と座が揺れる。

まなは続けた。

「伊賀は、道具ではありません」

「盟です」

「血を流す可能性があるなら」

「それは、

里見が決断した結果として流れる血です」

風魔とぶつかった場合

「もし」

まなの声が、さらに低くなる。

「風魔と事を構えるなら」

「表に立つのは、里見」

「伊賀は影として動く」

「これは、百地殿との取り決めです」

百地は一言も発さず、ただ佇んでいた。

それが、すべてを物語っていた。

義堯の確認

義堯が、まなに問いかける。

「それは」

「伊賀を守るということだな」

まなは、即答した。

「はい」

「同時に」

「里見が、

“影に責任を押しつけぬ”と示すことです」

桜の立ち位置

ここで、まなは一度、言葉を区切った。

「なお」

「この交渉の道筋を整えたのは」

ちらり、と桜を見る。

「正木桜です」

桜は、頭を下げるだけだった。

前には出ない。

出るべき者は、もう決まっている。

義堯の沈黙

義堯は、長く黙した。

伊賀。

風魔。

責任。

そして、娘の覚悟。

すべてを量っている沈黙だった。

やがて、義堯は言った。

「百地三大夫」

「里見は」

「伊賀を“影の同盟者”として迎える」

百地は、静かに一礼した。

まなの役割の確定

義堯は、続けて言う。

「この件の取りまとめは」

「まな」

「お前が担え」

まなの胸が、わずかに上下する。

「……承知しました」

その瞬間。

まなは、

初めて“里見の政治”を背負う立場になった。

余韻

評定の場を後にする途中。

百地は、桜にだけ聞こえる声で言った。

「よい姫だ」

桜は、小さく笑った。

「はい」

「だからこそ」

「守る価値があるんです」

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