第7話 棚と畑と管理台帳
ようやく主人公の脳内会議が活性化します
どんな会議がされるのでしょうね
色々矛盾点もありますが初投稿作品なので温かく見守ってくださいね
障子の向こうから母の声。
「桜、また天井と会話してるの?」
「してない!」
「してる声が聞こえてるのよ」
入ってきたのは 正木椿。寝癖ひとつない後ろ結びの髪、朝の光を背負っている。
「母上、棚って何のためにあるの?」
「物を置くためでしょう?」
「違うの! これは “管理” のため!」
椿は目を丸くする。
「管理?」
「うん! 書類を分けて置くの。田畑の区画ごとに! 収穫の記録ごとに! 人の担当ごとに!」
「そんなに紙が増えるのか?」
父・綱胤 がひょっこり顔を出した。
「増える前に棚を作るの!」
「逆では?」
「逆じゃない!」
(過労で倒れたのは管理の破綻。破綻しない仕組みを先に作る。棚は“制度の器”。畑は“民の器”。そして私は“器の設計者”…)
◇ 城で覚えた区画の話
桜は棚の一段目に木札を置いた。
「一段目は “区画”」
「畑の?」兄・綱吉 が聞く。
「そう! ここに畑の名前を書く札を並べるの」
二段目に別の札。
「二段目は “担当”」
「誰が耕したか?」
「うん。あと水路の管理も!」
三段目は空欄の札。
「三段目は “未来”」
「不吉な言い方をするな」父が笑う。
「後で書くための余白!」
(PDCAを回すには余白が要るのよ戦国でも)
◇ そして畑へ(団らんから現場へ)
「で、畑はどうするの?」椿が腕まくり。
「まず見に行く!」
家族で屋敷裏の農地へ向かった。千葉の海風がかすかに香る。
「ここが正木の農地か…」桜は呟いた。
畝はまばら、土は固い。水路は細く、溜め池は浅い。
(…いや、戦える。土は変えられる。人は変えなくていい。仕組みを変えればいい)
椿が土を掴む。
「固いわね」
「固いね」
「固いな」
「固いですな」家臣・平八も便乗。
「便乗しないで!」
◇ 畑改良の脳内会議(実況つき)
(まずは区画整理、次に水路拡張、土壌改良、種の試験、記録制度…)
桜はしゃがみ込んだまま指を折る。
「まな姫みたいにさ、畑もやんちゃでいいと思うんだよね」
「いきなり何を言う」父。
「自由に試せる畑を作りたいの!」
「自由?」
「失敗してもいい畝を作るの。一番端っこに!」
椿が笑った。
「失敗してもいい畑なんて聞いたことないわ」
「聞いたことないから作るの!」
「姫は?」綱吉。
「姫は端っこの畝で木刀振ってる」
「畑で振るな!」
「楽しそうだから止めないで!」
(実験農地を導入→成功した作物だけ本区画へ移す→記録して再現性を担保)
◇ 改良アイデアの会話ラッシュ
「水路は太くできない?」桜
「人手が要るな」父
「じゃあ貸して!」
「紹介ならできるが貸すは乱暴だ」
「紹介して!」
椿が続ける。
「城下の土職人なら顔が利くわ」
「姫みたいに利く?」
「利き方を比べるな」
綱吉が吹き出す。
「じゃあ、土を柔らかくする草とかない?」桜
「草で柔らかく?」平八
「そう! 土を休ませる草!」
(緑肥作物。レンゲ、クローバー、麦、豆…この時代でも自生はある。栽培体系に組み込めば肥料になる)
桜は立ち上がり言った。
「豆を植えよう!」
「食うのか?」父
「土が食うの!」
「土が食う…?」
「根が窒素を集めるの!」
椿は優しく頭を撫でた。
「姫と話す時より生き生きしてるわね」
「比較禁止!」
「禁止が多いな」父が笑う。
◇ 管理台帳の話へ戻る
「畑を変えるには記録が要るの。棚に置く紙が要るの」
父が頷いた。
「つまり棚は畑改革の司令塔か」
「そう! 司令塔は紙!」
「お前ではないのか」
「私は紙を置く棚!」
(違うの。私は制度設計者。でも今は棚って言っておく)




