表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『戦国姫の脳内戦略会議』  作者: れんれん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/60

閑話 名を呼ばれぬ功

乾燥椎茸は、漆塗りの箱に収められ、静かに都へと運ばれた。

表向きの献上主は里見。だが、その背後で誰が汗を流し、里を動かし、菌床と向き合い続けたかを知る者は少ない。

近衛前久の邸に届けられた品は、椎茸だけではなかった。

黒く澄んだ醤油、深い香りを湛えた味噌――いずれも東国では既に当たり前となりつつあるが、都ではまだ珍重される品である。

前久は椎茸を手に取り、しばし目を細めた。

「これは……ただの保存食ではないな」

湯に戻された椎茸は、出汁を生み、料理の格を一段引き上げた。

味噌は膳に温もりを与え、醤油は素材の輪郭を際立たせる。

公家たちは言葉少なに箸を進め、やがて誰からともなく頷いた。

だが、その席で語られたのは里見の名であり、

この仕組みを整えた“名もなき功”について触れられることはなかった。

前久はすべてを察していた。

察したうえで、あえて名を問わぬ。

名を伏せることが、今は最善であると知っていたからだ。

「東国は、変わりつつあるな」

その一言が、静かに朝廷へと流れていく。

名は呼ばれずとも、功は確かに都の奥深くへ届いていた。

そしてこの日を境に、

里見と朝廷の距離は、確かに一歩、縮まったのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ