第19話 椎茸の価値と、父との交渉
ようやく話が進みます。
2割は取りすぎじゃない?
今後の展開で色々な出費を考えると
そのくらいはねwww
「……椎茸、だと?」
父は、原木を前に眉をひそめた。
「はい」
桜は背筋を伸ばす。
「人工です」
「山に生えるものを?」
「はい」
「偶然ではないのか」
(脳内会議)
――来た
――疑念は正しい
――だから“再現性”
「この原木も」
桜は指差す。
「同じ条件なら、生えます」
「まだ数は少ないです」
「でも」
桜は言葉を選ぶ。
「増やせます」
売れない理由
父は腕を組む。
「……だが」
「売れるかどうかは別だ」
「はい」
桜は即答した。
「今は、売れません」
父が目を細める。
「なぜだ」
「わたしが子どもだから」
沈黙。
「商人は、
子どもの言葉を信じません」
「それに」
桜は続ける。
「方法が広まれば、真似されます」
(脳内会議)
――今は“守る”段階
――公開は、武器を作ってから
ここまで来たのは
「でも」
桜は一歩前に出る。
「ここまで来たのは、
一人じゃありません」
「幸恵」
「知子」
「香織」
「野乃」
「皆で、失敗しました」
「だから」
桜は深く息を吸う。
「勝手に売りたくありません」
父は、しばらく何も言わなかった。
交渉、始まる
「……条件を言え」
父は、ようやく口を開いた。
(脳内会議・最重要)
――低すぎず
――高すぎず
――“正当な取り分”
「利益の」
桜ははっきり言う。
「二割」
父の眉が、わずかに動く。
「子どもにしては、大きい」
「はい」
桜は引かない。
「でも」
「これは“発明”です」
「畑でも、台帳でも」
「成果が出ました」
父は、ゆっくり息を吐いた。
「……確かに」
秘匿と献上
「条件は、それだけか」
「もう一つあります」
桜は続ける。
「完全に方法が固まるまで」
「秘匿してください」
「城下にも」
「商人にも」
父は頷く。
「続けよ」
「ある程度、量が取れたら」
「まず」
桜は目を上げる。
「殿様へ」
「その後」
「主上へ、献上を」
一瞬の静寂。
父は、はっきり言った。
「……大きく出たな」
「はい」
桜は答える。
「価値は、それくらいあります」
父の決断
父は原木を見つめ、最後に言った。
「よかろう」
「利益の二割、認める」
「秘匿も守る」
桜は、深く頭を下げた。
「ありがとうございます」
「ただし」
父は続ける。
「名は、正木家の名で出す」
「はい」
(脳内会議)
――十分
――目的達成
七歳の交渉
その夜。
桜は帳面に書く。
・公開時期
・献上順
・利益配分
・仲間への分配
(七歳)
(商売は、まだしない)
(でも)
(“準備”は、終わった)
裏山の原木は、静かに息づく。
やがてそれは――
正木家の切り札になる。




