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『戦国姫の脳内戦略会議』  作者: れんれん


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13/60

第13話:芽吹く土と動き出す世

正木桜は今日も畑に立つ。

前話で進めた区画整理と土壌改良は、ただの“作業”から、正木家の新制度の礎へと変わりつつあった。

■ 脳内会議、ふたたび開廷

桜の頭の中では、いつもの会議が始まっている。

現代教育を受けた桜の理性:「pH調整、堆肥の炭素比、排水経路の設計…」

戦国語翻訳担当の桜:「それをどう噛み砕くかが問題じゃ…」

内政好きの桜:「要は『水はけ良く』『栄養は偏らせず』『土は呼吸させる』の三本柱である!」

しかし外に出る言葉は――

「土は息をしておる。水は道を作り、肥えは土の血となる」

周りは「詩か?」「呪文か?」と戸惑いつつも、なぜか腑に落ちる。言葉は理解しきれずとも、結果が正義。畑は確実に変わっていく。

■ 家族の笑顔と信頼の連鎖

その変化はまず家族から始まった。

父は鍬を握りながら笑う。

母は土に触れながら目を細める。

弟妹たちは畑の畝の数を数えながらはしゃぐ。

「桜の話はよう分からぬが、畑は確かに強うなった」

他愛もない会話の中に、確かな信頼が混じる。

■ 台帳が“家の法”になる日

そして桜が作った管理台帳は、ついに正木家の制度として正式に採用される。

区画ごとの土の状態

耕作の担当者名

収穫量の記録

労働の割り振り

それは“紙の記録”を超え、家の運営を変えるルールブックとなった。

家臣たちは最初「面倒」と顔をしかめたが、成果が出ると態度が変わる。

「記せば見える。見えれば直せる。直せば増える!」

こうして台帳は、正木家の統治の象徴へと育っていく。

■ 村が動く、商人も動く

挿絵(By みてみん)

畑の成果が増えたことで、村人たちも桜の話を聞きに来るようになった。

相変わらず意味不明な単語も飛び出す。

「輪作」「微生物」「ロジスティクス」「マネジメント」

誰も意味は分からない。だが――

「桜が言うと畑が増える」

その一点だけで、村は必死に動き出す。

■ 目ざとい商人の嗅覚

収穫が増えた畑は、商人たちを引き寄せた。

まだ小さな流れだが、確実に集まり始めている。

「この村、妙に米も野菜も増えておるな?」

「正木の娘が何やら新しい仕組みを作ったらしい」

「利益の匂いがする!」

金の匂いではなく、発展の匂い。

商人たちはまだ観察段階だが、正木家の改革はついに外の世界の興味を惹きつけ始めた

小説内のイラストは全て作者が制作しています

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