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『戦国姫の脳内戦略会議』  作者: れんれん


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第12話「畑が数字で語り始める日

収穫予測、初めての報告

里見ではなく房総の地を治める正木家の屋敷。

朝、桜は縁側に座り、棚から区画台帳を引き抜いていた。そこへ農頭・伊三郎が膝をつく。

伊三郎「桜様、畑の報告を」

桜「うん。聞くよ」

伊三郎「先月の改良を施した七区画のうち――三.五石ほど増える見込み」

父・椿「…石で増える量が分かるのか?」

桜「うん。土が答えた分を人が計算してくれた結果」

(脳内) A「ついにKPI出たな」

B「けーぴーあいって言うな」

C「“畑の成長の物差し”でいけ」

D「もっと詩的に “土の返事” で押せ」

桜(小声)「土の返事が増えたってことです」

伊三郎「返事…?」

桜「育つ力が戻ってる証拠って意味です!」


管理台帳を“家の制度”に

兄・綱吉が台帳を手に取る。

綱吉「…誰がどの土を世話しているか、家の人数まで書いてある。お前、本気で国を動かす気か?」

桜「動かすんじゃない。整えるの。整えば国は自分で伸びる」

綱吉「…お前の頭の中はどうなってるんだ」

桜「会議室」

綱吉「?」

桜「…独り言です!」


桜は畑の小部屋を示した地図板を広げた。村の区画と棚札の連動は進み、次は“人の負担の均等化”。

桜「伊三郎さん、今の耕し手の割り振りは?」

伊三郎「一家に偏りが出ております。山際の土は硬く、皆避けたがるゆえ…」

桜「じゃあこうしよ」

桜は提案した。

土が硬い区画は “耕し日数を長く” し “担当人数を増やす”

柔らかく改良済みの区画は “担当人数を減らし休耕日を増やす”

休耕は「サボり」ではなく「土の療養日」

家臣・宗吉「療養…?」

桜「休ませるって意味!」

(脳内) D「療養って言っちゃってる!」

A「家臣が医療系ワードで理解し始めてる。次は民にも浸透させろ」

B「言い換え地獄」

C「だが言語化できてこそ姫の戦略」

戸籍の種、畑から家へ

桜は台帳をめくり、新しい項目を増やした。


【世帯根記】

・世帯番号

・家族の働き手数

・年齢構成

・土の担当区画

・作業の得手不得手

・年間の収量予測と実績

桜(脳内)「…これ戸籍じゃん。いや、世帯根記だからセーフ」

母・椿が覗き込む。

椿「これ、婚姻の有無まで書いてあるけど?」

桜「恋の台帳じゃないよ? 人の力の繋がりを知るための記録!」

椿「そういう所がうつけって言われるのよ?」

桜「うつけって言われてるのは里見の姫でしょ! 私は違うの!」

椿「はいはい」

家族は笑う。平和である。

土と人と家族の未来設計

父・椿がふっと真顔になる。

椿「…お前の言う通り、土と人を読めば戦をせずとも国は強くなるかもしれん」

桜「戦は避けたいけど、備える米は増やすよ」

椿「備える米…か。なら明日、村の者を集める」

桜「うん。私が話す」

(脳内) A「明日ついにプレゼンか」

B「ぷれ…?」

C「作戦語りって言え!」

D「スライドもないのにどうする?」

A「この時代のスライドは口だ」

桜は立ち上がり、夜の畑を見た。

「…私の前世の言葉は誰にも分からない。

 でも、土の返事はもう数字で喋り始めてる。なら私はこの時代の言葉で返すだけ」

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