表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『戦国姫の脳内戦略会議』  作者: れんれん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

112/152

閑話 桜の脳内戦略会議2

「土地」の先にあるもの

桜の思考は、もう“戦”そのものを見ていなかった。

見ているのは、戦が起きる理由だった。

(どうして、争う?)

答えは簡単で、残酷だ。

土地。

食えるか、食えないか。

守れるか、奪われるか。

(結局……人は腹が減ると戦う)

だからこそ、

里見は飢えさせていない。

仕事も、医療も、最低限の安心も与えている。

(でも、それは“里見の中”だけ)

外は違う。

周囲の中小領地は、常に綱渡りだ。

一度の不作、領主の失策、重い年貢――それだけで、崩れる。

(……だから、頭を下げに来る)

(その時、どうする?)

受け入れる?

それは善政に見える。

だが、無制限に受け入れれば、里見は重くなる。

拒む?

それは簡単だ。

だが、拒めば敵になる可能性がある。

(……三つ目だ)

桜は、机の上に何もないのに、

指で「図」を描くように思考を整理していく。

桜の仮説①

「土地」ではなく「役割」を与える

(この時代、人は土地に縛られている)

(なら、土地に代わる“縛り”を作ればいい)

それは鎖ではない。

役目だ。

・診療所

・工房

・港

・倉

・商いの中継地

土地を与えずとも、

“ここにいなければ回らない場所”を作る。

(役割を持った人間は、勝手に離れない)

逃げれば、自分の居場所が消える。

残れば、食える。

それは武力より、ずっと強い。

桜の仮説②

「敵」にしないが、「対等」にもしない

(同盟……甘い)

(従属……危険)

対等な同盟は、裏切られる。

従属は、反発を生む。

(なら、“頼られる側”)

技術。

医療。

商い。

それらを完全には渡さない。

だが、切らない。

(貸す。でも、教えすぎない)

「里見があるから助かる」

「里見がなければ困る」

その状態を作る。

桜の仮説③

戦力は“見せない”

(武器を誇れば、試される)

常備兵は最小限でいい。

だが、情報は最大限。

・伊賀

・商人

・医療施設

・港

人が動けば、情報が動く。

情報が動けば、戦は“起きる前に形が見える”。

(見えた戦は、止められる)

止められない戦だけが、

本当の戦になる。

桜の仮説④

「土地の誇り」を壊さない

(武家の価値観は、否定しない)

否定すれば、必ず刃が向く。

だから桜は、

土地を守ることを「悪」と言わない。

(でも……)

(守るべきものは、土地“だけ”じゃない)

家族。

仕事。

命。

未来。

それを守れるのは、

土地よりも仕組みだ。

桜の結論(まだ言葉にならない核心)

(私は……戦を止めたいんじゃない)

(“戦を選ばせない”状況を作りたい)

戦う理由がない。

奪う必要がない。

壊すと損をする。

その状態に、

周囲をじわじわと沈める。

(だから、次の一手は――)

武器でも、城でもない。

同盟文書でもない。

「人が生きる導線」

それを、里見から外へ伸ばす。

桜の脳内で、

次章のタイトルが静かに浮かび上がった。

「奪わずに縛る」

そして彼女は理解していた。

これは英雄の道ではない。

拍手も、称賛も、残らない。

――けれど、

一度回り始めた流れは、

誰にも止められない。

桜は、深く息を吸い、

次の“静かな一手”を考え始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ