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『戦国姫の脳内戦略会議』  作者: れんれん


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第一話 熱と天井と小さな手

女性目線の戦国時代どうなりますか?

「……もう無理……」

香坂悠里、27歳。

真夏の夜、オフィスはサウナ、私は限界。

書類の山はもはや城壁、キーボードは愛馬、モニターは戦場。

私は敗戦寸前の兵士。

「あと一合で米が炊けるって時に限って…追加修正くるの何で?」

返事はない。返事があるのはいつも上司だけだ。

「働き方改革って言葉、この時代には実装されてないの…?」

そのまま私は椅子から崩れ落ちた。

視界が砂嵐になり、そして――セーブされずに暗転した。

そして目覚め

「……知らない天井だ」

目が覚めると、身体が重い。頭が熱い。喉が痛い。

でも、それ以上に熱いのは疑問だ。

桜は布団から小さな手をそっと出した。

「……小さい」

短い指。幼い掌。細い手首。

触れば柔らかい。振れば軽い。つねれば普通に痛い。

いやいやいや、普通に痛いって確認してる場合じゃない!

「え? え? え?」

混乱を声に出すと、声が高くて短くて幼すぎた。

「5歳…?」

言葉にすると頭の中で鐘が鳴った。

ゴーン(脳内)「はい転生です」ゴーン(心の声)「説明雑!」

襖が開いた。

「桜っ!」

駆け寄ってきたのは母・正木 椿(32歳)。

海風と太陽に育てられたような強い眼差し。だが声は優しい。

「熱はどう!? 苦しくない!?」

「苦しいです。でも質問もあります」

「質問?」

「はい」

「5歳の身体で質問って…かわいいわね」

「かわいくはないです。混乱です」

父・**正木 綱胤(35歳)**が腕を組んで現れた。

「熱でおかしくなったか?」

「おかしくはないです。CPUは正常です」

「しーぴーゆー?」

「夢の話です」

「また夢か!」

また夢です。便利なので。

桜は真剣な顔で尋ねた。

「ここは何処です?」

「安房のあわ、今でいう房総の南。海の近い正木の屋敷じゃ」

「千葉ですね」

「ちば?」

「便利な夢の話です」

「なんじゃその便利な夢は!」

「今は何年です?」

父が答えた。

「天文十六年(1547年)」

「戦国時代ですね」

「せんごく?」

「今まさに戦ってる時代って意味です」

「ほう、よく知っておるな」

「夢で覚えました」

「便利すぎるわ!」

弟・**虎千代(3歳)**が袖を引っ張る。

「ねぇね、なんで て ちっちゃく なった?」

「私も知りたい」

「しりたい?」

「今それを調べてる」

父が箸を向ける。

「調べるって、布団で?」

「布団は思考室です」

「思考室!?」

はい思考室です。議題は山積みです。

脳内戦略会議(第一回)

議題1:本当に戦国か? → YES

議題2:千葉で合ってるか? → YES

議題3:私は幼女か? → YES(解せぬ)

議題4:知識は使えるか? → 使える(言い方が鬼門)

「桜、今なに考えておる?」

「未来です」

「は?」

「棚です」

「はぁ?」

「魚を干す棚、改良したいです」

「いきなり何を言い出す!?」

「保存が効くように、効率よく干す感じとか作りたいので」

「作るのは良いが…誰が作る?」

桜はふと黙り、そして口に出した。

「……人、貸してくれます?」

「急に交渉を始めるな5歳!」

「でもタイミング今だと思って」

「なんでじゃ!」

「熱で動けないから今のうちに依頼した方が効率が良いので」

父と母は同時に叫んだ。

「「効率って言葉、戦国にないぞ!?」」

あります。概念は。言葉はないだけで。

母がくすっと笑った。

「じゃあ父上に頼んでみなさい?」

「父上、人材紹介できます?」

「紹介?」

「職人さん。棚とか作れる人」

「棚だけか?」

「今は棚だけです。でもそのうち色々」

「色々って何じゃ」

「改革です」

「は?」

「開発です」

「はぁ?」

桜は小さく息を吸い、静かに言った。

「私はこの時代で、できること全部やりたい」

父は目を細めた。

「……言葉は妙じゃが、意志は本物じゃな」

「本物です」

「よし」

父は立ち上がり、言った。

「ならば、まずは人じゃな。明日探しておいてやる」

「ありがとうございます」

よし第一関門突破。次は言い方改善。交渉スキルはまだLv1。

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