転生したら自転車で、推し様と二人乗りでした。
今日もあなたは時間を気にしている。
家中にある時計をチラチラ確認しつつ、準備をしているようだ。
来年はゆっくりすると言いながら、毎年相変わらずの忙しさだ。
でも、仕事が楽しいと言っているので、ちょっと羨ましいかもしれない。
残念ながら、わたしは仕事を楽しいと思ったことがない。全てはライブに行くため、推しに捧げるために働いていたのである。
そのためには、何だってできる。
単純だった。
でも、まあそれは、わたしが人間だった頃の話だ。
そう考えると、今の仕事は、とても楽しいのかもしれない。何故なら、その仕事とやらは、推し様を乗せて走ることだからである。
これを仕事と呼ぶのかは分からないが、風を切って走るのは、とても気持ちがいい。
自分だけが、ヒミツの法に触れない二人乗りをしている気分だ。
君を背中に乗せて、バックハグ!
妄想、失礼した。
毎日“青春!”を感じている。
その点、雨は嫌いだ。
雨だと乗ってもらう機会が減ってしまう。
近頃は、雨男だとか言い出すもんだから、ホント困っちゃう。
今日は野外イベントの日だな?
どうやら雲行きが怪しい…。
まぁ、水も滴るイイ男でしょうけど。
毎日、早朝から元気いっぱい!
朝からゲームなんかして、休みの日の小学生のようだ。
もうホント頑張るんだから。
さて、今日も準備はオッケー?
私達は、共に駅に向かって走り出す。
推し様を乗せて。
ほどなくして、駅に着く。
あっという間のおデートでした。
あ!
ちょっと、ちょっとーー!
ちょっと待ってくださいよぉーー!
あぁ、自転車のカゴに忘れ物!!
朝出す予定のゴミ袋が、そのままカゴに置き去りになっている。
わたしの声が届いたらいいのに。
きっと、夜戻ってきて、大きなため息をついて、ゴミを持ち帰ることになるだろう。
次のことで頭がいっぱいだもんね。
そりゃ、ゴミ出しも忘れちゃうよ。
今頃、駅の階段を一つ飛ばしで駆け上がってることだろう。
今日もキラキラ、沢山の人を笑顔にして、幸せが溢れることだろう。
わたしもいつも、キュンキュンさせられ、たまらんなぁと思っている。
声は届かないけど、いつもそばで応援しているよ。
この想いよ、君に届け。




