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落語ー不本意なデスゲーム

作者: さと
掲載日:2024/09/15

<スタート地点にて>

主人公:ふああ・・・やべえ、いつの間に寝ちゃってた。そろそろ晩御飯作らな・・・ここはどこだ?俺は自宅にいたはずだぞ。なんかよく見たら周りにめっちゃ人いるし!ええ!ここどこ!?

ゲームマスター:諸君、本日はお集まりいただき誠に感謝する。私はゲームマスターだ。知っての通り、これから始めるのは賞金1億円をかけたデスゲームだ。人生一発逆転をかけてここに来た者、宣伝ポスターを見て面白半分で来た者など様々いると思うが、皆何かしらの意志を持ってここに来たはずだ。その意志を忘れず、思う存分に戦ってくれたまえ。

主人公:どうしよう・・・一つも聞き覚えがない・・・。最悪や!自分の意志で参加するタイプのデスゲームなのに、その意志を持った記憶どころか、存在すら全く知らなかったんだけど!てかデスゲームって宣伝ポスターで告知するもんじゃないでしょ!ダークウェブとかでひっそりと告知するものでしょ!

ゲームマスター:では早速ゲームを始めよう。目の前に五つの扉があるはずだ。その扉の中から、応募の際に指定された扉を各々くぐってくれ。最初のゲームの説明はそれからだ。では健闘を祈る・・・。

主人公:指定なんかされてないって!だって応募してないから!ああどうしよう。周りの人達がどんどん扉をくぐっていく・・・俺だけ取り残される・・・。

ゲームマスター:おいそこのお前。なぜ扉をくぐらないんだ。さっさとくぐったらどうだ。

主人公:いやくぐるも何も、どこの扉をくぐればいいかわからないんですよ!

ゲームマスター:わからないはずないだろ。応募した時に運営からの返信メールにのってたはずだぞ。

主人公:あの・・・まず僕応募してないです。参加の意思が全くないです・・・。

ゲームマスター:応募してない?そんなはずはない。今回の参加者は、私が指定した、閉店したコンビニに集まったうえで、私の発明したワープマシーンによってワープさせられたはずだ。参加する意思のないものがここにいるはずがないんだ。嘘なんかついてないで、さっさと行った行った。

主人公:あの、その集合場所って、マンションの一階にある取り壊されたコンビニですか?

ゲームマスター:ああそうだが。なんだ、やっぱり知っているじゃないか。

主人公:いや違うんですよ!僕、そのコンビニの真上の部屋の住人なんですよ。だから、もしかしたら巻き込まれたのかもと思って・・・。

ゲームマスター:そんなまさか・・・いや待てよ?確かにこのワープゲート、よく見たら上の階の部屋に3ミリだけ露出しているぞ。まさか・・・まあ、取り合えず適当な扉をくぐってくれ。

主人公:嫌に決まってるでしょ!やっぱり間違って連れて来られてるじゃないですか!

ゲームマスター:しょうがないだろ!ワープマシーン使うの今回が初めてなんだから。

主人公:なんでぶっつけ本番なんですか!テストプレイとかするでしょ普通。そもそも集合場所もおかしいでしょ。なんで住宅地でワープゲート使っちゃうんですか。

ゲームマスター:あのコンビニは研究所から近いんだ。しかも、持ってくるのは巨大なワープマシーンだぞ!輸送費何円かかると思ってるんだ!

主人公:賞金一億のデスゲームでどこ切り詰めてるんですか。とにかく、俺が参加者じゃないことはわかったでしょ。早くここから出してくださいよ。

ゲームマスター:それが・・・ないんだ・・・。

主人公:ないってなんですか。金がないならさっき聞きましたよ。

ゲームマスター:違うんだ。出口がないんだ・・・

主人公:噓でしょ!?このデスゲーム欠陥だらけじゃないですか!

ゲームマスター:本当に申し訳ない。

主人公:謝って済む問題じゃないでしょ!どうするんですか!みんな意志を持ってるってさっき言ってましたけど、なんも意志無いやつ連れてきてるじゃないですか。あんまりですよ!ゲームマスターなのになんもマスターしてないじゃないですか!

ゲームマスター:そんなに・・・言わなくてもいいじゃん・・・。

主人公:え、なんて?

ゲームマスター:(癇癪気味に)そんなに言わなくてもいいじゃん!ねえ!?そりゃワープマシーンのテストはしておくべきだったけどさあ!開発スタッフの納品が遅すぎたんだって!あいつらなんていったかわかる!?「どうせ一人以外みんな死ぬんだから、マシーンの欠陥で死んでも大丈夫でしょ。」だよ!?そんな訳ないじゃん!皆で遊びたいじゃん!

主人公:デスゲームのこと遊びっていっちゃってるじゃないですか。

ゲームマスター:輸送費だって大変なんだよ!あのワープマシーン使い切りな癖にでかいから、輸送費信じられないぐらい高いんだよ!

主人公;どれぐらい高いんですか?

ゲームマスター:聞いたことのない税金が4つぐらいかかった。

主人公:表現わかりにく!もっとわかりやすい表し方あるでしょ!

ゲームマスター:金の話は濁せって開発スタッフがしつこいんだよ!なあ!こんなに苦労してるのにそんな言わないでよ!そもそも俺が何をしたっていうんだよ!

主人公:・・・何もかもだよ!!お前のデスゲームに対する一挙手一投足全てが俺の人生めちゃめちゃにしてくれたんじゃないか!どうしてくれるんだ!

ゲームマスター:そんなこと言っても・・・いや待てよ、一つだけあるぞ、抜け出す方法が。

主人公:なんだ抜け出す方法って?

ゲームマスター:このデスゲームは5つのゲームで構成されているんだ。そしてゲームが1つ終わるたびに、クリアした者にゲームを途中で棄権する権利が与えられるんだ。そのための脱出ヘリコプターも手配してある。

主人公:つまり、そのヘリが会場に来るまでスタート地点で待っていればいいんですね?

ゲームマスター:いや、ヘリコプターは移動経路が既にプログラムされているし、何よりこのスタート地点は五分後に爆発する。だからそれはできない。

主人公:不測の事態への対応力なさすぎません?しかもヘリコプターにすら意志がないじゃないですか。結局どうすればいいんですか?

ゲームマスター:言っただろ、ゲームが一つ終わるたびに棄権できると。

主人公:まさか、一つ目ゲームをクリアしろっていうんですか!?

ゲームマスター:大丈夫だ。ゲームマスターの私がお前に攻略法を教えてやる。

主人公:教えるって、どうやって?

ゲームマスター:その部屋にイヤホンが落ちてたりしないか?

主人公:イヤホンなんて...あった!なんでイヤホン落ちてんの!?

ゲームマスター:会場の設営スタッフとの内線を繋いでいたのだが、スタッフが落としてしまったそうなんだ。

主人公:やっぱり欠陥多すぎません?まあいいや。(イヤホンを付ける)

ゲームマスター:それでアドバイスを送ってやるから、第一ステージは頑張って切り抜けてくれ。さあもうすぐスタート地点が爆発する!早くどれかくぐって!

主人公:絶対爆発させる必要ないでしょ!(扉をくぐる)


<扉の先にて>

主人公:よし、これから第一試合が始まるぞ・・・

ゲームマスター:諸君、待たせてすまない。早速だが第一試合を始めようと思う。

主人公:頼む...ゲームマスターの指示だけで攻略できるようなゲームであってくれ...

ゲームマスター:第一試合のゲームはこれだ!ボディビル!

主人公:ボディビル!?デスゲームでボディビル!?

ゲームマスター:それでは各チーム準備をしてくれ。

主人公:ああもう始まる!ちょっと!ちょっと!

ゲームマスター:何だ急に。指示ならゲームが始まったら送るから。

主人公:なんの指示送るんですか!ボディビルですよ!?見た目で勝敗わかっちゃいますよ!なんでデスゲームで駆け引きも番狂わせもないゲームを選んじゃうんですか!

ゲームマスター:あるよ!いかに相手が鍛えてない箇所をアピールするかの駆け引きはあるし、ドーピング検査による番狂わせだってあるんだから!

主人公:場外乱闘が過ぎますよ!第一、デスゲームでボディビルなんて見たことないでしょ!

ゲームマスター:何で見たことないかは、やってみて経験しないとわからないだろ!

主人公:需要がないからですよ!肉体美を見るためにイカゲーム見るやつなんていないでしょ!?そういうことですよ。とにかく、どうやって勝てばいいんですか。

ゲームマスター:安心しろ、審査するのは俺だ。勝敗自体を気にすることはない。

主人公:本当ですか!よかった、生きて帰れる・・・。

ゲームマスター:だが、いくら審査でズルをするとは言え、お前が余りにも酷い演技をしたら会場からブーイングの嵐だ。下手したら内乱が起きてヘリが来る前に殺される。

主人公:そんなに!?デスゲーム物騒すぎません!?・・・いやデスゲームは物騒か・・・。

ゲームマスター:とにかく、お前には必要最低限の演技をしてもらう必要がある。だが、作戦はある程度あるものの、お前も気づいている通り限界がある。そこでだ。アドバイスの後には、俺がお前を鼓舞してやる。

主人公:こ、鼓舞!?

ゲームマスター:ああ、力いっぱい応援してやる。精一杯がんばれ。

主人公:ここに来てちょっとのアドバイスと精神論で行かないといけないんですか!?イヤホン装着した時の安心感返してくださいよ!

ゲームマスター:とにかくもう始まるから!デスゲームに参加した時のお前の意志を思い出して頑張れ!

主人公:意志がないまま巻き込まれたんじゃないですか!なんの意志も持ってないって!

ゲームマスター:いいから早く行った行った。

主人公:全くもう・・・。


<ボディビルのステージ上にて>

主人公:よし、そろそろ始まるぞ・・・。勝つことは決まってるから、落ち着いて、波風立たない演技をしよう。

ゲームマスター:それでは、ステージに立っているものは、一斉に演技を始めるのだ!

主人公:よし、まずは無難に腕の筋肉から・・・

ゲームマスター:あごの筋肉を見せろ。

主人公:え!?なんて!?

ゲームマスター:歯ぎしりしまくってあごの筋肉を見せつけろといっているんだ。真っ向勝負で戦ったら経験のないお前は不信感を持たれて終わりだ。だから、誰も見せつけず、誰にも判断能力がないような筋肉部位を主張するんだ。そうしたら、「審査基準が特殊だった」で通るから。

主人公:そんなんで見逃してもらえる訳ないでしょ!だいたいほら、あれを見てくださいよ!

別のプレイヤー:(通常のボディビルのポーズ)

観客:三番腹筋仕上がってるよ!その腹筋を布団にしたい!

別のプレイヤー:(別のボディビルのポーズ)

観客:五番大胸筋が歩いてる!なに食ったらそんな体になるんだ!

主人公:ほら、観客の人の掛け声で盛り上がってるじゃないですか。誰にも判断能力がない筋肉部位を主張したら、誰も掛け声を掛けれなくなって、俺の時だけ盛り下がって終わりですよ!

ゲームマスター:大丈夫だ観客を信じろ。さあ早く!

主人公:もう!(歯ぎしりしたり噛んだりする)

観客:一番のノイズで野鳥たちが逃げていく!カラスへの抵抗力ディズニーランドか!

主人公:なんか僕だけ馬鹿にされてません!?観客の人たちがストレス感じてるっぽいんですけど!

ゲームマスター:大丈夫だ俺を信じろ。次は指の筋肉だ。

主人公:指!?ただグーパーグーパー繰り替えすだけじゃないですか!?

ゲームマスター:大丈夫だ。信じろ。お前のハンドパワーを!

主人公:ハンドパワーで筋肉つかっちゃダメでしょ。まあ頑張りますけど・・・。(グーとパーを繰り返す。)

観客:一番の動きは胎児でもできる!二十年越しの赤ちゃん返りか!

主人公:やっぱり馬鹿にされてますよね!ちょっとのアドバイスの効果悪すぎません!?

ゲームマスター:さあ・・・後は頑張れ!!

主人公:ちょっとのアドバイス終わったんですか!?噓でしょ!

ゲームマスター:頑張れ!逆風に立ち向かえ!

主人公:逆風吹いているのわかってるじゃないですか!もういい!普通のポーズで!(おぼつかない感じで普通のボディビルのポーズ)

観客:一番ふらつきすぎ!でっかい石でも持ってんのか!?

<サゲ>

主人公:だから意志は持ってないって!!

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