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マレーン・サーガ 祝1.4万PV達成  作者: いのそらん
第10章 初等教育機関卒業
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初等教育機関卒業 その2 レイレイとセル


レイレイが、ある程度歩くことが出来るようになってからは、念のために、部屋に施錠をおこなっていた。ガリンが、文様術を利用した鍵を取りつけ、内側からは自由に外にでれないようにしていたのだ。

ルルテは、


「人権の侵害だ。」


と、言ってガリンを責めていたが、ガリンも


「これは、ルルテ自身の安全の為なのです。」


と、いうことを理由に説き伏せていた。


これは、何度かレイレイの身体能力を検査していたときに、まだ体を動かすことが出来るようになってからわずかな時間しか経っていないにも関わらず、レイレイはかなりの筋力を持っていることがわかったからでもあった。

具体的にどのくらいの力があるのかはまだ不明であったが、まだ身体機能がほとんど機能していない状態で、セルが用意した木製のおもちゃにじゃれて叩き壊したことがあったのだ。

同じ形状のおもちゃをストレバウスに力任せに踏んでもらったが、レイレイがそうしたようには壊すことはできなかった。

その後、セルはしばらく世話を続けるのをためらっていた時期があったのも事実である。

それに、そんな様子を見れば、セルがレイレイに積極的に関わろうとしないのも当たり前とも言えた。

この頃から、セルに変わってジレがよくレイレイに関わるように変わっていった。


結局、犬歯を丸く磨いだり、蜥蜴のように尖ってきた爪を短く切ったりと、無意識に人を傷つけてしまいそうなキメラとしての身体を、ガリンが治療を施したことにより、今度はジレが中心となり、それをセルが手伝う形で世話を再開してくれたのだ。


また、歩く訓練も兼ねて、日中、庭に出るときには、白い質素な部屋着から、オレンジ色の上下セパレートの短衣に着替えていた。

ただ、腕と大腿の竜鱗を隠すために袖も裾も長くしたり、背中には小さな羽を通す穴が開いていたりと、普通の服とは違う部分もあった。


また、頭にちょこんと生えた角を隠すように、アップの状態から後ろに長く流してる髪の毛が背中まで大きく掛かっており、実際にその可愛らしい羽は殆どみえていなかった。


レイレイの黒髪は光りに反射してつややかに輝いており、この髪をすくときだけは、いつもセルも楽しそうであった。そして、自分に変わって世話をしてくれているジレに、楽しそうに髪の毛の梳き方を教えているのだった。

しかし、小さいとはいえ、その頭に2本ある小さな角をみる目は、セルが初めてレイレイの角に気づいた時から変わらないままの、怖さを内包していた。お世辞に見ても、温かいもの光を宿した視線とは言えなかった。ただ、ジレは違った。特にレイレイの外見的な特徴は気にせず、単なる子供として扱うことが多かった。セルは自身の子の子育ての経験があったが、ジレにはそれがない。もしかしたら、その辺のことが影響しているのかもしれない。ジレには比較対象する子がいないのが功を奏したのだ。


ある時、いつもと同じようにジレがレイレイを庭で運動させていると、ルルテとセルが焼き菓子をもって訪れたのだが、このときを境に、皆の、特にジレのレイレイに関する態度が少しづつ変化していったのだ。


セルは、ジレとレイレイが運動する様子を眺めていたが、ルルテが近づいてくるのに気づくと、すぐににっこり笑いながら頭を下げた。

ルルテは、レイレイを遊ばせているジレに軽く労いの言葉をかけると、セルにお茶の用意をするように告げた。

セルががルルテの前にお茶と焼き菓子を並べると、それを手に取ってルルテが頷く。

ルルテが頷いたのを確認してから、隣の円卓に、セルとジレの分お茶と焼き菓子を並べた。


ガリンが最初この屋敷に来た当時は、2人の女官たちはルルテとお茶一緒に飲むどころか、単に席を並べて座ることにも難色を示していた。

もちろんルルテ自身も、席を共にしないのは、当たり前と考えていた。

しかし、闘技大会での事件の後、ガリンが、今、ルルテ達が集っているこのテラスに屋敷のもの全員を集めてたことがあった。全員が同じ机を囲み、


『信じられる人間は、ここに集まっている者のみであること』


を告げたあの時を境に、屋敷に居るもの達の距離感が少しずつ変化を始めたのだ。


もちろん、王制国家である以上、身分は絶対である。

ルルテが王女であることは変わらないし、セルやジレが女官という、ルルテに仕える立場であることもまったく変わった訳ではない。

しかし、彼らの間にはその身分を超えた一体感、ある意味家族のような絆が生まれ始めていたのだ。

そのことは、まず普段の生活のはしばしに現れていった。


最初に現れたのが、お茶の時間に女官たちがルルテと席を席を共にするようになったことである。

もちろん、ルルテの許可を待ってから女官が行動を起こす点については変わらなかったが、それでもガリンはそれをとても良い方向への変化だと考えていた。


レンが聞いたらそれこそ眉をしかめるかもしれないが、この屋敷にいるものがより強い絆で結ばれていくことこそ、ガリンが望んでいるものだった。

そしてそれは、自身が護士として守るルルテの安全にも繋がるものである。


この時もルルテの許可を得たセルは、自分たちのお茶を並べたという訳である。


レイレイは、セルがお茶や菓子を並べている間も、夢中になって、噴水の水を飲んでは、噴水の周囲を跳ね回っている小鳥を夢中で追いかけていた。

まるで子猫が、玩具にじゃれているかのように、文字通りに飛び跳ねながら走り回っていた。


「しかし、あのものは本当に文明の使徒なのか?よもや中身は野生動物ではあるまいの?」


ルルテが、そんなレイレイの様子をみながら、ぼそり、とつぶやいた。

セルは、わざとらしく大きく相槌をうっていた。


逆にジレは、


「護士殿が言うには、もともとのレイレイの記憶が戻らない以上、単なる子供なのだと。さらに、元になっている体-竜である-こともあるので、多少、人の子とは異なる生育をみせるということでした。」


笑顔と共に、自らが世話をしている半竜半人の娘を見つめた。


「しかしな・・。未だ言葉もしゃべらぬようでは、機知のある会話を楽しめるようになるのは、いつなるのやらわからぬな。」


ルルテは、ため息を付きながら、机の焼き菓子に手を伸ばした。

ルルテがそれを口に運んだ瞬間。


小鳥を追っていた、レイレイが唸り声をあげた。


それと同時に、ルルテの前に向かって大きく跳躍をしたのだった。

バサッという音と共にルルテの目の前に着地したルルテは、両膝を曲げたまま両手を上にあげて、今にもルルテに襲いかからんばかりの姿勢をとった。


とはいえ、外から見ていれば、体の大きさは所詮7歳の女子のものである。恐ろしさというよりは、むしろこっけいさ、あるいは可愛らしいといった雰囲気が見え隠れしていた。その女の子が普通の女の子であれば・・・である。

それゆえ、セルは目を見張り即座にお茶の準備をやめて、


「姫様っ!」


と叫び、レイレイがルルテの前に着地すると同時に、ルルテとレイレイの間に割ってはいったのだった。

セルは、そのままレイレイを睨みつけると、両手を大きく広げた。

物語の後半部分で、ジレとレイレイの関係が必要になったため、セルが中心となって世話していた部分を、セル→ジレに変更しまいした。

それに伴い、文章を修正しています。2026.1.5

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