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マレーン・サーガ 祝1.6万PV達成  作者: いのそらん
第9章 レイレイ誕生
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レイレイ誕生 その7 脱皮


それから、さらに何日かが過ぎ、レイレイの体は人の体躯としては7,8歳程度の身長までに育ってから成長が止まった。

また、育っている生命体の性別は雌であることがはっきりわかったのだった。

性別に関しては、人の遺伝子的がもともと女性優位であることが原則であり、キメラがガリンの性別を引き継ぐとは思っていなかったため、特に驚きはなかった。

形態は、尻尾がなくなったぐらいで、ほぼ最初に形態がきまった時のままで、さして変わっていなかった。


現在の外見は、頭の形状は人のものに似ていたが、髪はなかったし、耳もなかった。

翼になるのではないかと予測していた背中の腕には皮膜が張ることはなく、腕の形状をしたまま成長していたし、体は9割以上が鱗に覆われていた。


人としての腕と足は、竜族のものというには長く、むしろ人の腕と足に酷似していたが、その手足の先には鋭い爪がついていた。


ぶっちゃけ竜でもなく人でもなく、奇形といわざるを得ない形態をしていたのだ。


予想した年齢域には達してはいないが、成長が止まったことで、エバは、


『これが成体であろう。』


と、予測を立てていた。

また、成長が止まった件に対しては、竜の細胞の持ち主が、かなり若い固体であったのだろうとガリンに説明をしていた。


そして、現在の成長状態を確認したエバは、最終的に、


「ガリン。気持ちはわかるが、このままの奇形体で生命を誕生させるわけにはいかない。生きていけないし、また我々が保護できるわけではないからな。そろそろ決断をせねばならん。」


と、ガリンに告げた。


ガリンは、決断までにまだ数日あることをエバから聞くと、何か人型へ変化する可能性の兆候がないかをつぶさに調査を始めた。


誉められた事ではないが、エバには内緒で培養槽に配していた成長抑制の元力石を、少しだけ抑制力の弱いものに勝手に変更したりもしていた。


そうやっていろいろ手を尽くしている内に、ガリンはあることを発見した。

すぐにエバを呼んで、そのことを説明する。


「エバ殿。ここの部分をみてください。」


そう言って、培養されている生物の後頭部を指差した。


エバがガリンの指差した部分を凝視すると、そこにも鱗が生えていたのだが、ちょうど中心部に亀裂がはいり、髪の毛と思われるものがはみ出していたのだ。


「これは・・。」


エバも息を飲んで、更に注視する。


『これは何だ?』


という顔でガリンの方を振り返る。

ガリンも若干興奮したように、


「脱皮ではないでしょうか?」


と、返した。

エバは、培養層の周囲から生命体の後頭部を左から右からと何度も確認し、


「脱皮か・・・。」


と、呟いた。

ガリンは、やはり興奮気味に自分の推論を伝えた。


「竜族は両生類の特徴をもっているはずです。脱皮をして成長してもおかしくありません。おかしくはないのです。」


ガリンの必死とも取れる説明に、エバは再び、


「脱皮か・・・。確かに・・・。」


と、頷いた。

ガリンは機会を逃さず、


「もう少しだけ時間をください。」


と、訴える。

しかし、エバは厳しい顔つきで、


「しかし、これ以上の成長は、こいつの意思が目覚める危険性があるんだぞ?」


そう言った。


突然変異の遺伝子を取り出すための培養ではない通常のキメラの培養であれば、意思が芽生えるのを待つこともある。

しかし、今回必要なのは、元力石に宿っているレイレイの意識体を定着するための身体である。それを考えると、培養している生命体の意思が邪魔になる可能性があるのだ。

当然、そのことを理解しているガリンは、


「わかっております。」


と、すぐに肯定した。

ガリンのその様子に、エバは厳しい表情をといて、


「わかった。あと3日様子を見よう。これが脱皮であっても、鱗皮の下からでてきた固体が同じでは話にならん。その兆候が見られたら、即中止だ。」


と、3日間の猶予を口にした。


「はい!」


ガリンにしては珍しく勢い良く返事をすると、再び培養層に向かい合った。

一方、エバは、『脱皮』という言葉を繰り返しながら、培養槽を離れていった。


ガリンは、エバが見えなくなるのを確認すると、いつもの冷静な表情に戻り、そして元力石の成長の抑制度合いを更に弱めた。


ガリンが見守る中、日1日と脱皮は進んでいき、3日目には、エバもガリンも目を疑うような状況が訪れていた。


目の前の培養槽には、7,8歳の黒髪の少女が浮かんでいたのだ。


背中には小さなこうもりを思わせるような翼があり、体の一部、腕と背中、ふとももには竜鱗が残っていた。手足の爪は依然鋭くとがっていたが、その姿は人だった。そして、尾骶骨のあたりからは、蜥蜴の思わせるほんの小さな尻尾が生えているのだった。


犬歯が長く大きいのがわかるし、脱皮前はわからなかったが、頭に小さな角が左右の耳の上に1つずつ生えていた。


その黒髪の少女を見たエバは、


「やれやれ・・。」


と、肩をすくめ、


「成長抑制の文様をいじったことは大目にみてやるが、2度とやるなよ。」


そう言って、その場を離れた。


培養が完成間近との連絡を受けたレンも、その場に駆け付け、レイレイとなる少女の身体をみると、


「執念の勝利だな・・・。」


そう感想をもらした。

そして、


「ガリン、これでお前もパパだな。」


そうガリンの頭を指でこづいた。

漢字の修正。2025.12.26

ちいさな尻尾の記載を追加。

これは、後で尻尾のエピソードが出てきたために、小さな尻尾がある設定に変更。2026.1.20

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