お祭り前夜 その5 リアの慰め
王と晶角士がその場から見えなくなると、公爵は、闘技場で、いまだ呆然としているナタルの肩をかるく叩きながらうなずき、その場を後にした。
そして、他の軍角士も、徐々にその場を離れていった。
どの軍角士も言葉は少なげだった。それだけにこの試合は、強烈だった。
最後に残った、リアが、ナタルに駆けより、
「負けちゃったわね・・・。でも、あんたとの試合には私が負けたわけだから、今日の夕食は私がご馳走するわ。」
と、耳元でささやき、笑顔を浮かべた。
「リア・・・。」
ナタルの言葉には力が無い。
「あんた、私に何回負けてるの?1回負けたぐらいどうってことないでしょう?そもそも剣技で負けた訳ではないでしょ?本人もネタっていってたんだから、仕掛けがあるのよ!」
リアの声は明るい。
「お前さ、俺が負けたのがそんなにうれしいのか?」
ナタルの声にも徐々に生気が戻ってくる。
「ううん。あの晶角士に負けたのは、同じ軍角士として悔しいけど、次勝てばいいのよ。」
さらりと、リアが言う。
「そうか・・・・そうだよな・・・。うんそうだ!」
ナタルも、顔に笑みが戻ってくる。
「リア。ありがとうな。」
リアを見つめながら、ナタルが少しだけ真剣なまなざしで言う。
ちょっと頬を赤らめたリアは、
「いいのよ。あなたは私のオマケなんでしょ?」
と舌をだした。
「じゃあ、今日はリアのおごりだし。腹いっぱい食うぞ!!!」
とナタル。もう顔には完全に笑顔が戻ってきている。
「ちょっと。ほどほどにしてよ・・。」
リアの言葉にも、言葉の意味とは裏腹な明るさがあった。
そして、二人も闘技場を後にした。
6話と被っていた部分を削除。




