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マレーン・サーガ 祝1.6万PV達成  作者: いのそらん
第6章 それぞれの出発点
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それぞれの出発点 その2


闘技大会で唯一のこった証拠。その箱を受け取ったガリンは、皆が囲んでいる卓から数歩離れ、左手にはめていた3つの指輪を外した。そして、それを床に三角形の形に置いた。それぞれをゆっくりと手のひらでなでると、そのまま目を閉じて意思の集中を始める。

3つの指輪に配されたそれぞれの元力石が淡い光を放つ。

そして、ガリンがその箱を三角形の中央に置き、箱を開けようとした時、


「まて、本当に安全なのか?ここで爆発すればただではすまぬのだぞ。」


そう声があがった。

現王の弟であり、比較的大きな所領を預かる、キスンキスラ・キラ・イカルス・キジンである。


レンは、王に視線を向け、王が肯くのを確認すると、


「ガリン、説明を。簡単にな。」


と、言った。

ガリンは、嫌味ともとれるその物言いに眉を寄せたが、


「先日、私と王女殿下が命を永らえたのは、まさにいま私が床に配したものと同種の結界によるものでございます。また、先程イタバンサ卿の話を聞いて確信いたしましたが、次元人の意思を遮断した事によって爆発を免れたのであれば、この元力石の起爆にはどうやら符合する呪が必要なようです。

また、いまだに爆発をしていないという事は、時間により起爆をするものでもないということの表れとも言えます。事実イタバンサ卿が持ってこられた箱には意思を遮断する文様のみが刻まれた元力石しか配されておりません。

私が用意した結界は意思も遮断しますが、もし万が一爆発をしてもその爆発をすべて結界の中に封ずる力を持ち合わせております。」


淡々と説明を加えた。

ハサルだけが、


『時間による・・・』


という、若き晶角士の説明を聞いて、幾分青くなっていた。

レンは、王弟の方を向くと、


「キラ殿。よろしいかな?」


ことさらキラという、王弟の幼名に力をこめていった。

キラは、


「そ、そうか・・・。」


と、つぶやいた。

キラと呼ばれた、現王の実弟は、容姿こそ王に似ていたが、歳のせいもあるだろうが、髭もないその容貌は幾分頼りなさげな印象を人に与えていた。


ガリンは、皆の視線が自分に戻ってくるのを感じると、箱を再度結界の中に戻すと慎重にそれを開けた。

続けてガリンは箱の中から手のひらにちょうど収まる程度の玉、そうタムボールの球程度の元力石を取りだし、箱を脇にどけ結界の中央に丁寧に置いた。

ガリンは球体の表面を、その文様を確かめるかのように指でなぞりながら何言かをつぶやく。


「ガリン、どうじゃ?」


レンが問いただす。しかし、ガリンは、まるで反応をしない。

諸侯たちもざわめき始める。

レンは、今度は意伝石に触れると、そのまま、


『いいかげんにせい。場をわきまえい。後にせんかっ!』


怒鳴りつけるように意思を送った。さすがに、ガリンも、レンの方を向きなおった。

エランが口元ほころばせながらレンを見る。

レンは、幾分ばつが悪そうに、


「で、ガリンよ。その石からどんなことがわかった。簡単でよいぞ。」

「先生・・・。」


ガリンも諦めたように諸侯の方に向き直る。そして咳払いをした。


「イクスレンザ卿、この元力石に彫られている文様は、私たちマレーン文化圏で使用されているものとは若干異なるようです。しかし、それが技術的に低いということではなく、かなりの高いレベルにあるといっても良いと思います。」

「では、それは件の次元人のもの、つまり次元文化圏のものであると申すのか?」

「いえ、それも違うでしょう・・・。次元文化圏の文様術は空間造成の特性がどこかしらかに残っているものです。これは通常空間、つまり惑星文化圏での効果を期待して造られたもの、つまり惑星文化圏で彫られたものだと言えます。ただし、気になるのは意思の放射を受ける文様ですね。これは惑星空間のものではなく、次元空間のものと推測します。」

「つまり、純粋に次元文化圏のものではなく、融合したもので、更に技術的に高いと・・・。そんなものをどこの国が・・・。」

「イクスレンザ卿、確かに技術的には高いのですが、これはあくまでも准晶角士による複製が可能なものです。イタバンサ卿がおっしゃられたように、闘技場全体に配するには、それだけの数を造る必要があります。ですので、どうしても複製が可能なものでなければなりません。

そういう意味で技術的に高いのではありません。」

「どういうことじゃ?」


レンが口をはさむ。


「先生、目的とする効果を的確に文様に与えて、しかも複製が可能な文様の範囲にその文様を納める。つまりこの文様を創ったもの自身の技術がとても高いのです。

複製そのものは、体系が違う文様術であるにもかかわらず、我が国の准晶角士でも十分に可能なものなのですから・・・。」


レンは、ガリンの自分に対する呼称が『先生』に変わってしまったことに、目で警告を発したが、王の方を向き直ると、


「王よ。どうやらどこかの惑星文化圏、そしてその惑星文化圏は次元空間での文様技術も有している、そんな国家が今回の騒動に一枚噛んでいるようですぞ。」


そう、重々しい声で伝えた。

王は、


「護士よ。ご苦労であった。それの処分はそなたに任す。他にわかったことがあれば、レンか、ハサルに伝えるがよい。」


ガリンに告げた。

ガリンは、


「あくまでも推測の範囲の話ですので、もう少し時間をかけて分析をして再度報告をします。」


返答しながら、いそいそと石を箱に戻すと、指輪を指に戻し、席に戻った。

レンだけは、席に付いたガリンの顔におもちゃを手に入れた子供のような笑みが一瞬浮かんだことを見逃さなかったが、この場で指摘してもしょうがあるまいと、ほんの少し苦笑いを浮かべるのみにとどめた。


王はガリンが席につくのを確認すると、ハサルに視線を戻し、


「ハサル、7大文化圏会議の召集とその議題についてはどうだ?」


そう話題を変えた。

闘技場の観客席の下に残された元力石からわかる文様術の体系を、惑星空間固有→惑星空間、次元空間融合技術と変更をしました。それに伴って、文脈を多少調整。

これは、後々疑わしい文化圏が1つだけでは物語のストーリー上面白みに欠けると判断をして膨らませることにしたためです。2025.11.10

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