お祭り前夜 その2
「どう思う?」
「確かに戦時中なら、護士は必要だろうし、戦争が本格化すれば、護士は1人ではなくなる。複数の護士がいる場合、晶角士を長として迎えるのは正しい。ただ、安全協定が結ばれてから、きな臭い話は一度もなかったぞ?」
「でも、ナタル・・・。うちを含め7大文化圏が、いまだに新しい文化圏を捜し続けているのは、決して平和の為では無いわ。」
「まあ、そうだな。均衡が崩れれば、正直いつ戦争が再開してもおかしくないともいえるが・・・。でも、今の時期に?何か噂でもあるのか?」
ナタルもさすがに声を潜めている。
「今のところは無いわ。そもそも明日から、生誕祭よ?お祭り気分の最高潮の時にそんな噂出てこないわよ。」
「そうだよなぁ。」
ナタルも相槌を打つ。
「でもさぁ、リア、それでも護士は、普通は司が最初にその任に就くものだろう?その部分は納得いかないよな。」
「そうね・・・。」
急に、ナタルの目に光が宿る。
「なあ、リア・・・。その晶角士と手合わせしてみたくないか?」
「手合わせ?何を急に?それに何で?」
レアが不思議そうな表情を浮かべ、聞き直す。
「何でもいいのさ、護士に成るくらいだから、さぞかし強いんだろうさ?」
ナタルの顔が、いたずら小僧のように微笑む。
「ナタル、あなた何を考えてるの?晶角士が戦闘に長けてるなんて聞いたことないわよ。まさか、あなた・・・。」
「そうさ、来るなら、闘技場で待ってて、手合わせ願おうじゃないか!」
話の急な展開にリナも動揺を隠せない。
「そんな馬鹿な考え・・・。そもそも、あなた相手がどんな人間かもわからないのよ?万が一王が見ている前で負けるような事があったらどうするのよ?」
「負ける?頭でっかちの晶角士に?有りえないな。」
なんなくナタルは言いきる。
「あなただから余計不安なのよ。相手の戦闘技術はわからないけど、頭だけは一流よ?」
ため息混じりにリアが諭す。
「なんだと、俺の頭が悪いから負けるっていうのか?」
ナタルの声に段々怒気が含まれてきたのを察したリアは、
「そうは言ってないけど・・・。晶角士ってとにかく不思議じゃない?何をしてくるかわからないのよ?」
「力でねじ伏せる!」
二の腕を上に曲げ、きっぱり。
「だから・・。」
もう、リアも声を潜めてはいないが、その声にはあきらめの色が浮かんでいる。
「わかった、リア、昼飯の腹ごなしに一戦どうだ?」
「一戦?」
「俺が勝てたら、挑戦させてくれよ?」
もう、話はどんどんリアが考える方向とは逆に進んでいる。
それでも、自分に勝ったことのないナタルの挑戦には、しかも自分が勝つという自信に満ちた声で語るナタルに、リアも多少憤慨を感じるのは、やはり軍角士の性であろうか。
「私に勝てるわけないじゃない?」
リアの言葉にも幾分力が入る。
「だから、勝てたら力を認めてくれよ。」
ナタルも引かない。
話の方向が多少ずれている様な気もしたが、既にここまでくるとリアも『久しぶりに本気で試合をしてみるのみよいかかもね・・・。』と、徐々にその気になっていた。
それに、自分が負ける筈はないとの自信もあった。
様は自分が勝てば、ナタルの馬鹿な考えを改めさせられるのだ。
「いいわ。でも負けた方は、夕ご飯もご馳走するのよ?」
「ふん。俺だけいつまでもオマケのままじゃないからな。じゃあ早速行こうぜ。」
そういって、ナタルは、リアの手を取る。
「え、今すぐ?ちょっと・・」
やるとは言ったものの、こんなに急にとは思っていなかったリアは、自分がナタルに乗せられたことを歯がゆく思う。
「用事でもあるのか?」
と、屈託の無い笑顔でたずねるナタル。
リアは、あきらめたように大きなため息を一回つくと、
「いきましょう。」
とつぶやいた。
一度、全部を校正しようかなーって頑張ってます。
読んで、こんなに期間空いても1人でも読んでくれてる人がいるんですね。ありがとうございます。