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マレーン・サーガ 祝1.6万PV達成  作者: いのそらん
第15章 王都出発
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王都出発 その35 ララスと国際情勢


 ハサルは、ララス領を含め、マレーン王国を取り巻く国際情勢について話を進めていった。


 闘技大会で起きた、クエルス文化圏所属のミーネルハスが引き起こした惨劇に端を発し、一気にマレーン文化圏全体に緊張が走った。

 その後、7大文化圏をはじめ各文化圏は諜報活動が活発になり、情報戦が繰り広げられている。

 マレーン王国も、ハサル機関の諜報人がその任に当たりクエルス文化圏での情報収集を行っていたが、最初に送り込んだ諜報員は連絡を絶っている。ガリンはこの話をレンから聞いていたが、ルルテは今回ハサルから聞いて初めてである。自国の諜報員が連絡を絶っていることに、心を痛めているようでもあった。

 ハサルも少し顔をしかめたが、特に感傷に浸ることもなく話を続けていった。ただ、その目の奥には、長年諜報の世界に身を置いてきた者だけが知る、割り切れぬ苦味が一瞬だけよぎった。


 ルルテはもう元服しており、正式に次期女王として認められている。それにより、王国における正式な名称も単なる王女から王太女に変わっていた。ルルシャメルテーゼ・ルルテ・マレーン・ソノゥがルルテの略していない名前だが、「ソノゥ」は王女・王太女両方の意味を持つ爵位呼称なので、今回はその変化はない。また、生力石の色もそのままである。しかし、立場は変わった。

 これから各都市を巡察して回るわけだが、王女ではなく次期女王として対応されることになるのだ。だからこそ、まだ幼いとはいえ、ハサルは全てを伝えているのだ。

 ルルテは話を聞きながら、胸の奥に小さな重石が置かれたような感覚を覚えていた。責務の重さを理解しているつもりでも、こうして現実を突きつけられると、心がわずかに揺れる。それでも表情には出さないよう努めていた。


 実際に一般的な貴族の元服は15歳であることが多い。それに対し、ルルテは13歳で元服している。酷といえば酷なのかもしれないが、今は動乱の時代ともいえる。時間をかければかけるほど、それは国としての弱みになりかねないのだ。

 ガリンは横で静かに聞いていたが、ルルテの緊張を敏感に感じ取っていた。彼自身もまた、彼女を支える立場として、軽々しく言葉を挟むべきではないと自制していた。


 昨年の秋には、7大文化圏会議が開催され、その会議はいつもとまったく様相が違った。

 いつもの7大文化圏会議は、お国自慢のような会合の延長で、和やかな空気の中で開催されるが、今回は各文化圏の大使の顔ぶれはクエルス文化圏を除いて一新された。

また、今回の7大文化圏会議は国際情勢の緊張感を受けて、それぞれの大使が護衛を1名連れての参加となった。

 さらに、7大文化圏会議の裏では、唯一新しい大使とならなかったクエルス文化圏のジャラザン・イバレスが暗躍していた。結果、ジャラザンは王であり公爵であり宰相でもあるエラン、そして今ここで教鞭をとっているハサルによって追い詰められた。最終的には捕縛され、現在もマレーン王国で拘留され、捕虜となっている状態である。


 闘技大会の時から今までの期間に、クエルスの大使として知っていた情報の多くを既に吐露していた。これは、クエルス文化圏が正式ではないにせよ、ジャラザンの返還に対して積極的に動かず、事実上トカゲのしっぽ切りをしたことを知ったことによる影響が大きかった。

また、クエルス文化圏には発表していない新たな次元文化圏への次元接合門の再接続を成しえたという疑念もあり、これも警戒が必要だった。

 元力石と文様術は、物理法則が異なる惑星文化圏と次元文化圏ではその体系が異なるからだ。

 新たな技術は脅威であり、場合によっては摩擦を生むことさえあるのだ。

 この新たな技術の一部についても、既にガリンによって解明されつつあり、ジャラザンから得られた情報はそれなりに貴重であったのだ。ガリンはその技術の断片を思い返しながら、未知の体系に触れる興奮と、そこに潜む危険性の両方を感じていた。


 ルルテやガリンが7大文化圏会議に参加したのは、最後のルルテの元服の宣言の直前であった。そのため、7大文化圏会議での各大使の動向や、その後の動きなどは、この時初めてハサルより知らされたのだ。

 ルルテは静かに息を吸い、覚悟を新たにするように背筋を伸ばした。教鞭をとっているハサルはルルテのその仕草を見て、ルルテが確かに成長していることを実感し、わずかに安堵するのだった。


こうしてハサルの話は、最後の話題へと移っていった。

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