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マレーン・サーガ 祝1.6万PV達成  作者: いのそらん
第15章 王都出発
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王都出発 その28 隊列の訓練


 ガリンから風力車の機能説明を受け、実際に組み上がった車体を確認したサラは、まず六人それぞれの役割と隊列を決めることにした。

 最初に斥候役として指名されたのはジレだった。

 ジレは、


『ルルテのお世話をするために側にいたい』


 と主張したが、サラはそれを退けた。移動中の警戒には、身軽で暗殺技術を持つジレが最適だったからだ。

 前衛はサラとストレバウス。攻撃役と盾役という、もっとも一般的な布陣である。

 2人とも異論はなかった。


 その後ろがガリンとルルテ。ルルテの戦闘力は基本考えていないための隊列である。これは、サラが、ルルテの戦闘技術を認めていないわけではなくて、護衛対象であるという認識からの判断であった。

 自然と一番後ろがレイレイとなる。

 経験として浅いが、なによりレイレイは頑強であり、戦闘力は最も高い。たかだか10歳の少女と思うかもしれないが、それだけ竜の力は桁外れなのだ。それに前にはガリンがいる。基本、ガリン、ルルテ、レイレイはガリンの防護結界範囲にいるため、ある意味で安全でもあるのだ。

 万が一、後ろから襲われた場合には、まずは結界が役目を果たしてくれる。また、結界がなくても、一時的な戦闘であれば、相手が相当な多人数でなければ、サラが駆け付ける間ぐらいはレイレイが踏ん張ることができるだろうという算段もあった。


 そして、同時にレイレイは、風力車の牽引役として、最後尾に配置されるのだ。

 レイレイが、『牽引』の元力石を持ち、風力車に設置されている『付随』の元力石を引っ張る形で誘導することになる。つまり、レイレイの後ろには常に風力車があるのだ。

 真後ろからの攻撃は考えにくい。また、風力車自体も物理的な防壁として使用することができる。特に、帆はかなり丈夫だ。


 こうやって、風力車の配置と、それぞれの面子の能力を加味して、役割と隊列が決まったのだった。

 これが決まると、実際に隊列を組んでの訓練である。


 サラは翌日から、屋敷の庭を使い、基本的な戦闘訓練を繰り返していった。

 後方からの攻撃は、特にレイレイの第一報が重要である。

 レイレイは、ここ最近はかなり発語が増えてきたものの、スムーズな会話は難しい。サラは、とにかく、『敵』とだけ叫んでくれればいいと、レイレイに指示を出していた。レイレイも、この『敵』という第一報は、しっかりと出来るようになっていた。

 また、レイレイは、力任せの戦いではなく、基本、風力車を盾にするようにも教えていた。これは、なかなかうまくいかず、覚醒したレイレイに伝えて、ようやく形になったものだった。大人レイレイと子供のレイレイがどうやって意思疎通をしているのかは謎のままだったが、なんとかこれも形になった。


 ルルテとガリンには、動かないように伝えてあった。

 ルルテが敵に捕獲されれば、詰みであるからだ。自尊心が強いルルテは、かなり抵抗を見せたが、最終的には、これも受け入れるのだった。

 ガリンは、戦闘などまったく好きではないので、結界を維持することに専念するのを拒否するものではなかった。また、ガリンは、どこまで行ってもルルテの護士なのである。守るのはルルテなのだ。


 ジレには、何があっても前方の警戒を続けるように指示を出した。

 集団で襲われない限りは、この6人のパーティーは強い。簡単には負けることはないだろう。ただし、挟撃されると人数が少ないため窮地に陥る可能性が高くなるからだ。ジレは、これは素直に理解したようである。


 ストレバウスは、護衛戦闘に関してはお手のものだった。基本サラの指示に従えばいいというのもあり、剣の技量も高い。レイレイの力任せの戦い方にも、ここ最近は慣れてきており、そう簡単には膝をつくことはなくなっていたのだった。


 こうやって、何度も、隊列を組んだ移動や、襲撃者に対する基本的な動きを繰り返し訓練した結果、新米傭兵程度には、戦闘のセオリーをこなすことができるようになっていった。

ただ、実戦は訓練とは違う。ここで、サラは実戦に近い訓練を、最終的な訓練に盛り込むことにしたのだった。


 ガリンに頼んで、ナタルとリアを呼び出したサラは、最初は傭兵団の訓練場を利用することを提案した。しかしながら、レンは、その許可を出さなかった。

 そのため、城内の訓練場を使うこととなった。


 サラは、実際に隊列を組んで移動しているときに、野盗に扮したナタルとリアが後方から襲撃を仕掛けるというシチュエーションで訓練の計画を立案し、その襲撃役をナタルとリアに頼んだのだった。

 ナタルとリアが、即答で了承したのは言うまでもない。そんな実戦的な訓練はなかなか出来るものではないからだ。

 また、この話は王にも伝わっており、訓練当日は、王、レン、エラン、ハサルの4人も観戦するとのことであった。


 訓練当日、城内訓練場の石畳は、朝露を吸ってわずかに湿っていた。

 予定通りに、王、レン、エラン、ハサルも訓練場の脇で、その様子を見るために待機していた。


 まず、ガリンたちが、分解していた風力車をその場で組み立てる。何回か屋敷の庭でも訓練をしているため、かなりスムーズであった。


 レンが、その様子を見ながら、王たちに風力車の性能や機構を説明していた。

ある程度の報告を聞いていた王たちであったが、実際にその国宝級の性能の塊の風力車が組み上がっていくのを見ると、みな複雑な顔をしていた。

 風力車が組み上がり、6人が隊列を組んで、城内訓練場に、模擬行軍の形でゆっくりと進み出る。

 

 いよいよ戦闘訓練の開始である。


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