表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マレーン・サーガ  作者: いのそらん
第1章 お祭り前夜
2/111

お祭り前夜 その1

時は、マレーン次元文明暦12年 第3力期6日目


ガキィィーーーーーーン、カグ、ギギギギ・・・


連続した剣撃の破音が、城内の闘技訓練場にこだましている。

訓練場は、マレーン城の右翼、王の居室に続く石廊のすぐ脇に位置していた。

現マレーン国王である、ルラケスメータ王は、この居室にて、ほとんどの公務を行っているのだが、王は、この闘技場における兵士の熱気あふれる闘技の撃音を職務の子守唄とすることを何よりも好んでいたし、時には熱心な観戦者としての自分の役割にも満足をしていた。

王は、王位につくと共に、兵舎に常設されていた闘技場とは別に、軍角士・士階級以上の者の闘技場として、この居室傍の空間を指定したのだ。

今では、その周辺の何部屋かは、簡易の武器庫や兵士休憩所として開放されていた。

もちろん、王自らも、公務の合間に兵士達と汗を流すことを、特に好んでいたのは言うまでも無いことであった。

城内に設けられたその闘技場は、居室の防衛という意味でも効率的であったため、特に異を唱える者もいなかった。


キーン・・・ガッ!


激しい剣撃は続いている。


2人の額には、無数の汗の粒が光っていた。


闘技場で、いま剣をあわせているのは、レパッタナーグとササレリアシータの2人であった。レパッタナーグのいかにも男らしい激しい剣技と、そのたち振る舞いには美しささえ感じるササレリアシータの流れるような剣技は対照的であった。両名とも、1個兵団を統率する司階級にある軍角士である。

2人が戦闘に用いているのは、軍支給の武器の中ではもっとも一般的な、打剣である。打剣は、木刀に基本的な硬度を得るために特殊な樹液を染み込ませ、手元に、硬度上昇、打撃力向上、軽量化支援の3つの文様を刻んだ元力石が1つづつ埋め込まれている単純な武器である。使い手は、3つの元力石に、自分の攻撃のタイミングにあわせて、効果を得るための意思放射をタイミング良く行うことにより、戦闘を展開するのです。単純な武器であるだけに、相手の動きを観察し、推察し、そして必殺の一撃を相手に与えるのは、使い手の技術に拠るところが大きい。


2人の戦闘は、硬度、打撃力を巧みに入れ替えながら、ある意味力任せともいえる攻撃を展開する力のレパッタナーグと、その攻撃を硬度から軽量化へと滑るように意思放射を行い、打撃を逸らし、隙を見ては、打撃力をもって一気に必殺の一撃を入れようとしている技術のササレリアシータといったところであろうか。


通常の模擬戦闘とも思えない、―戦闘訓練というには、あまりにも激しい― この2人の戦いには、理由があった。


----*----*-----


レパッタナーグとササレリアシータは、昼食をとるために、兵舎脇の兵舎食堂で向かい合っていた。


「ねぇ、ナタル・・・。もう少し優雅に食べることできないのかしら。。。」


赤く染めた髪を後ろで編んでそれを首に巻いている女性は、ため息をついた。その対象は彼女の目の前で、ガツガツと音が聞こえてくるような、優雅さとは程遠い様子で食事をしている男性にである。


「ん?」


男が顔をあげる。

こちらは、短髪を黄色っぽい色に染色している。

2人とも、シャツにズボンという軽装である。軽防具をつけるまえの軍角士の標準的な服装である。


「リア・・・何度も言ってるけどさ、人の目があるところであまり、幼名で呼ばないでくれよ。なんっていうかな、俺もさ、司に昇級したわけだ。うーん。威厳ってものがさ・・・。それでなくても、どうも俺はリアのオマケみたいに思われている節があるんだからさ。」


「何言ってるのよ。威厳をどうのこうのいうなら、その品位のない食べ方をどうにかしたらどお?それに、なにその髪の毛?もうちょっとましな色に出来なかったの?」


「・・・。髪の毛は戦闘の邪魔だからな。とはいえ、俺らの髪の毛は限りなく白髪に近い。明るい色で染めなかったら、なんか髪の毛無いみたいじゃないか?」


ナタルは、自分の頭の上に手を乗せながら反論する。


「だから、赤にしなさいっていったでしょ?今の色ならまだ前の紫の方がましだったわ・・・」


そう言いながら、リアは自分の髪の毛を撫でる。


「だから、赤はな・・・。まあ、勝手に言ってろ」


ナタルは、少し目をそらして、目の前の食事を片付けることに意識を戻す。

リアは、もう一度大きなため息をつくと、自分もパンをちぎっては食べ始める。


そうはいっても、この2人が、ほとんど毎日、ここでいっしょに食事をとっているのは、同じ食堂を使っている誰もが知っていたし、ナタルがリアの幼馴染みであり、ナタルが軍角士になってからは切磋琢磨するように2人でその階段を上ってきたことも周知であった。

年はリアが2歳ほど年長であったし、ナタルが、器量良しで戦闘技術にも長け、加えて他の軍角士からも信任の厚いリアのオマケのように思われるのも当然とえは当然であった。


パンをかじっていた、リアが唐突に顔をあげ、話を再開する。


「ねぇ、リア、そういえば明日の叙勲式の話聞いた?」


あらかた目の前の食事を片付けたナタルも、素直に応対をする。


「叙勲?新しい貴族が生まれるのか?」


「ほら、最年少で晶角士になるっていう・・・。」


ナタルは、しばらく視線を宙に泳がせてから、


「ああぁぁ、思い出した。なんでも1年だっけか、まあ詳しくは知らないが、えらい短期間で全部の試験をパスしたっていう?」


「うん、貴族ならさ、初等教育機関だけであれば、入学前に十分に勉強をしておいて1年ってのもわかるんだけど、初等教育機関もそのあとの角士養成機関もたった1年程なんて、通常はありえないでしょ?」


パンの食べ残しを、机の端に追いやって、リアは肘をつきながら、話を進めた。


「でね・・・晶角士になる、つまり技爵位を得るってことは、何らかの軍務につくってことでしょ?」


「そうだな。貴族には王宮での任務か、軍役が与えらるのが決まりだ。」


ナタルは、あまり興味がなさそうに『だから?』という顔をする。

リアは、ナタルの反応を、とりあえず無視して話を続けた。


「そう、それでね、その軍務が、今度初等教育を受ける、お姫様の教育係兼護士だって噂なのよ。」


そこまで聞くと、ナタルも、やっとリアの言いたいことに思い当たった。


「なに?護士だって?」


ナタルが反応したのは、『護士』という単語。


「そう、護士・・・・。それもこれから王の居室でお姫様との顔合わせをするらしいわよ」


とリア。


「一体、どこでそんな情報を・・。いや、それより、リア、戦争中でもないのになんで、姫さんに護士がつくんだ?それに、もともと護士は、俺達、司から選ばれるのが慣例だろう?」


ナタルが、机を叩きながら立ち上がる。


「ちょっと、興奮しないでよ。座ってよ。」

「ああ、ごめん。」


少し悪そうな顔をしながら、ナタルが腰をおろす。


『素直なところは、本当に可愛いわ。』


リアは。心の中で珍しく賛辞を送ったのだが、ひとまずそれを追いやって話を続ける。


「私もね、初等教育の勉強をみるなら、それは晶角士が最適だと思うのよ。でも護士っていうのは、ちょっと不満を感じるし、それにね・・・。」

「不満はわかる、俺もそうだ。司の栄誉だからな。」


ナタルがリアの話に割り込むように口を挟む。

リアも軽く頷いて話を続けた。


「うん、でも、それ以外にも、そもそも護士が必要な理由っていうと、思い当たるのは1つしかないのよ・・・。」

「なんだよ?もったいぶらずにスパっと言えよ。歯切れが悪いな。」


ナタルのふくれっつらに、あきれ顔のリア。傍からみるものには、まるで漫才のようにみえてもおかしくない。


「ほんと、無神経ね・・・。まあ、いいわ。戦争が近づいているってことよ。」

「何?戦争だって!!!」


ナタルが、再度立ち上がる。今度は座って椅子も後ろに跳ね飛ばす程の勢いである。


「ナタル・・・・お願いだから、目立たないで。恥ずかしいから・・・。」


さすがに、石造りの兵舎に木製の椅子が転がると音が響く。周囲の視線が集まった。

ナタルは、何事もなかったかのように、周囲を見回し、静かに椅子についた。

周囲の兵士も、たわいも無い痴話喧嘩とでも思ったのか、すぐに興味を失っていった。


リアは静かに話を進めた。


長い時間掛けて書いていると、若干感性が変わったり、文体が変化しちゃったりしますよね・・・。

時々読み直して手直ししてましす(笑)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ