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マレーン・サーガ 祝1.6万PV達成  作者: いのそらん
第15章 王都出発
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王都出発 その24 ガリン、ルルテ、ジレの防具

 ガリンは、文様術の得意分野が二つある。一つが、結界術とガリン独自の呪を用いた結界術である。そしてもう一つが、物質の変容。それを利用した攻撃系の文様術なのだ。


 本来、射杖で放つことができる属性攻撃は、元力石に施された文様術に縛られる。

しかしガリンは、射杖が集めた火球を、その独自の変容技術により、より威力を向上させることができるのだ。ガリンによると、火球の元となる塵や熱を集める文様術だけを使い、それを意思力で極大化することも可能であるらしい。ただし、この実験により学院の演習場を酷い有様にしたことがあり、それ以来禁止されているのは先に述べた通りである。


 このガリンが得意な変容は、先史文明の化学を元にしており、応用範囲が広かった。残念ながら、一般の晶角士や准晶角士は、このようなガリンとは比べることができないほど非力なのだ。


 だからこそ逆に、准晶角士が引退後に傭兵になる者がいたと言える。ガリンのような晶角士であれば、そもそも傭兵などという職業に就く必要など全くないからであった。


 それに比べ、准晶角士は、文様を彫られた元力石を複写することしかできない。ある意味、複写特化した晶角士といえる。だからこそ、このような原則の中、火属性の火球攻撃をすることができる元力石を自身の手で複数個複写し、それをしつらえた『火球の杖』を複数本所持することにより、戦闘を行うことができるのだ。


 准晶角士は、晶角士と比べると、その人数は格段に多い。それでも傭兵となる者が少ないのは、当然理由がある。


 まず准晶角士であったとして、役職についている間の賃金が高いことが一つ。もう一つが、今回、文明圏全体で七大文化圏会議で定められた通行証の仕組みを広げるためには、どうしても大量の元力石の複写が必要となる。それ以外にも、各家庭にある光浴設備の修理や、支払いのための元力石などの補充もある。

 つまり、引退しても臨時で雇用されることが多く、小遣い稼ぎぐらいであれば、仕事に困らないのだ。よほど強く貴族から求められたり、大きな規模の傭兵団で魔法兵部隊を作るための複写係などといった募集が無い限りは、傭兵になる必要がないのである。


 逆に言えば、それでも少数はいるのだから、中には物好きの部類の准晶角士もいるのかもしれない。

 ガリンは、今回の旅では、この射杖をもった魔法要員となる。


 そのため、黒い皮のローブで、裏に丈夫な木の繊維を織り込んだ帷子を貼り付けるにとどめた。

 それ以外の面子は全員、今回防具を選ぶことになる。


 サラは、ため息をつきながら一人一人に付き添い、防具を選ぶのだった。


 サラの中の重要度の優先順位は、まず『竜鱗を持つ者』であるレイレイが一番だ。そのため、まずレイレイの鎧から選ぶことになった。

 これにもルルテは、ひどく面白くなさそうな顔をしていたが、サラがレイレイを探していたいきさつを知っているルルテとしては、我慢するよりなかった。


 サラは、まずレイレイを連れて、職人と相談しながら防具を選ぶのだった。

 サラが使う獲物はショートソードである。つまり、立ち振る舞いは比較的細かい動きとなる。そのため、肩や肘、手首、腰回り、膝、足首などはかなり自由に動くものが良いだろう。

 それを踏まえて、サラは皮の部分鎧を組み合わせてレイレイの防具を選んでいった。


 まず、全ての鎧の部位は皮で統一した。

 肩は、両肩を覆う大きめの肩当てで、動きやすさを重視した丸みのある形状のものを選んだ。次が上腕。これは肩から肘までを覆う皮革の筒状のものを用意した。そしてその下に行って、肘は、肘関節を守るために小型の皮製パッドを当てる形状のものとした。前腕は、手首から肘までを外側から革帯で当てるものとした。手は、そのまま皮の手袋だ。多少の隙間は空いてしまうが、剣を扱う際の防御と操作性を両立させるための配慮であった。


 一番身体を覆う面積として大きい胸部・背部は、上から被って前と後ろから脇で留める形状の厚手の皮革で作られたものを選んだ。やはり、内臓部位は攻撃されると即死の可能性もあるからだ。

腰周りは、上半身の鎧下部とつなげる形で使用する。スカート状の布地の裏に柔らかい皮を貼り付けて強化したものとした。走り回りながら戦闘をするスタイルのレイレイには、両足の転子部が自由に動く方が良いと考えたからだ。

 その下は、腕と同じように、膝当て、脛当て、ブーツと選んでいった。

 下着としては、上半身は綿、麻、動物の毛などを何層にも重ねて縫い合わせ厚くしたギャンベゾンを選び、下半身は動きやすさを重視し、黒のレギンスを下に履くこととした。


 サラの指示に従って、職人が各部位の大きさや装着するための皮帯の長さを調節していった。

 最終的には、これを職人自身の工房に持ち帰って微調整をした上で納品となるわけだ。


 仮にではあったが、全身に鎧を装着したレイレイを見て、ルルテとジレが驚いたように称賛を贈るのだった。


 次にサラが呼んだのはルルテとジレだ。

 これは、胸当て以外は、レイレイに用意した鎧の部位をそのまま使うためである。

 胸当ては、身体をよじって戦う短剣使いに合わせて、お腹の部分がない胸部のみを覆う形状のものに変更し、また脇ではなく背中で革紐で留めるものにした。

 これも、できるだけ軽量化するためと、動きやすさを追求するためである。

 また、腕の鎧も、肩、上腕、肘を無くしていったのだ。

 これは、二人の戦闘スタイルが短剣であり、腕をしならせるように振り回して戦う可能性があるからだ。ただし、前腕だけは、敵の剣と短剣がかち合ったときに防御するためにどうしても必要なため、多少動きにくくはなるが、残してもらうこととしたのだ。

 また、短剣は投げて使うこともあるため、利き腕と反対側の太ももに短剣をもう一本装着するためのホルダーを用意した。かなり実戦的な装備である。

 利き腕と反対側なのは、基本今使っている獲物を利き腕に持っているからである。


 これも、ここ最近は、サラが屋敷でルルテやジレと戦闘訓練をした賜物であろう。


 最後が、ストレバウスであった。


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