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マレーン・サーガ 祝1.6万PV達成  作者: いのそらん
第15章 王都出発
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王都出発 その22 物資購入(衣服)

最後に残った準備が、旅に出るときの様々な物資の購入であった。

この旅の物資の購入にも、サラの経験は大いに役に立った。


まず、最初に準備を始めたのが、同行する面子全員の衣服や防具などだった。


当然、今屋敷で着ている衣服は旅には向いていない。また、高級すぎるのだ。

さすがに全員を露店に連れていくことはできない。そのため、逆に露店の女将に屋敷に来てもらい採寸してもらうことにしたのだ。


その寸法に合わせて、それぞれの旅に合った服をサラに見立ててもらったのだ。

一番問題になったのは、レイレイだ。


レイレイは、獣人というには、少し竜よりすぎるのだ。たしかに、今は尻尾と羽は隠すことができるようになっているが、いつも隠しているわけではないのだ。

その身体が持っている最大限の力を使おうとすると、どうしても隠していた尻尾と羽が出てきてしまうのだ。そして、一旦出てきてしまった尻尾と羽は、レイレイが覚醒している状態にならないと、再び隠すことができなかったのだ。


先日、サラが初めて屋敷に来た時以来、レイレイは精神的にも急に成長を始めている。身体も10歳程度の少女になった。ある意味で、意識体としてのレイレイと、表層意識の幼いレイレイの同化が進んでいたのだ。それにより、多少は会話ができるようになったものの、覚醒していないときのレイレイは、まだまだ幼い。かろうじて会話が成立するだけで、何かを相談したり、従前の知識を論じることなどは出来なかったのだ。

覚醒しているときに、レイレイ自身に確認したところ、元力石に封じられている意識体は、あくまでも司令塔のようなもので、徐々に素体となっている身体の意識に吸収されなければ、完全に定着はしないとのことだった。レイレイは、この定着を安装(インストール)と呼んでいた。


今の素のレイレイは、頭冠と額の元力石を通じて自分の記憶を映像によって盗み見ているような状態であって、それに脳の記憶野のほとんどの能力を使ってしまっているとのことだった。意識体が持っている記憶と新しい身体の記憶が一致するためには、まだ数年の時間を要するとのことだった。


頭冠は、元力石とレイレイの身体をつなげる管のような役割を果たしてくれており、それを元力石自体が自動的に取り込んで蓄積している意思力が補佐をしてくれてるのだという。この文様術は、レイレイも見たことがなく、覚醒するたびにガリンに対して賛辞を送っているほどであった。

最近は、レイレイは覚醒すると、ガリンを『始祖の後継者』と呼んでおり、ルルテはそれに非常に満足しているのだった。


とにかく、レイレイは訓練をしている間に、急に尻尾や羽がでてきてしまい、その度に次の覚醒を待つ、ということを繰り返していたのだ。

ちなみに、現時点でも、レイレイがその身体の力を完全に引き出したときには、サラでさえ力ではレイレイに勝つことができず、あの無敵と思われたガリンの結界ですら、揺がすほどであった。

これを見るだけでも、竜族の力は桁違いなのがわかったのだった。


すぐに、尻尾と羽を戻せないのには理由があった。

意識体としてのレイレイからの忠告があり無理に覚醒を繰り返すと、元力石の記憶が現素体への記憶としての安装が妨げられてしまい、最終的に不完全になってしまう可能性すらあると注意を受けていたからだ。そのため、あまり頻繁に覚醒をさせることがためらわれたのだ。


そんな状態であり、現時点では、レイレイの服には、どうしても尻尾と羽の穴が必要だった。

爪は角は隠せても、採寸すると、尻尾と羽がバレてしまう。

結局レイレイだけは、サラとジレが採寸し、その寸法を露店の女将に渡すしかなかった。


季節ごとに変わる服の打ち合わせについては、ジレも参加してもらった。実際に、ルルテやレイレイの服を管理するのがジレだからである。

ジレは、今着ている女官としての女官服があるため、ほとんど服の準備の必要はない。旅にも召使いとして同行するからだ。

それでも、防寒具などは用意する必要があるため、そのための採寸は行っていたのだ。


サラは、最初はジレに関しても傭兵として、王国民がよく着る服に変更するべきだとしていたのだが、実際にガリンやルルテなどの常識のなさを知って、少しだけ考えを替えていた。

どんなに頑張っても、この集団の雰囲気は、いわゆる『身分ある一行』にしか見えず、取り繕うことができないと諦めたからだ。


それなら、いっそ、商会の御曹司とその娘が、傭兵団として旅慣れするため、またその護衛としての武者修行に出ているというカバーストーリーの方が自然だと考えたのだ。

ルルテの尊大な態度もそうだが、ガリンの常識のない行動も、止めることは難しいとの判断だ。

実際に、こう考えると、以前決めたように、単なる傭兵団として行動するよりはずっと楽になりそうだった。


街で宿をとるときなども、安宿を選ばなくてよくなる。

サラの中では、ガリンが商会の若旦那、ルルテがその娘、自分とストレバウスがその護衛、そしてレイレイがサラ自身の娘という役どころで固まっていったのだ。

ジレが、娘2人付きのメイドであるという設定も、実に自然だ。そうすれば、女官の服もそれほど違和感のあるものでない。


出発までの打ち合わせの中で、サラがこの話をすると、ルルテがガリンの娘という設定にどうしても納得せず、自分は若旦那の妻であると言い張ったのだ。

しかしながら、年齢的にも、外見的にもどうしても成人しているようには見えないルルテを、既婚者とするのはどうしても問題しかない。結局、さんざんもめた後、ガリンの若い婚約者という設定で落ち着いたのだった。これならある意味で、現実と同じ役どころである。

覚醒したレイレイが、この話を聞いて、


『父の幼女趣味にも困ったものであるな』


とため息をついたのだが、これはルルテには伝えていない。

この後、覚醒したレイレイが、


『まあ、若旦那の夜伽の相手は、サラとジレがおるか。。。』


と言って、それを聞いていたサラが大いに慌てたのだが、これも当然ルルテには伝えていない。

ジレが、


『名実ともにレイレイのママに・・・。』


と、うっとりしていたのも内緒である。


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