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マレーン・サーガ 祝1.8万PV達成  作者: いのそらん
第15章 王都出発
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王都出発 その16 旅程の確定


 サラが話を続ける。


「巡察をするためのこの傭兵団は、お忍びなんだろ?そもそも暑さを遮断する結界なんざ、依頼を受けるために何度か訪れたことのある貴族の屋敷でも、お目にかかったことはないさね。何を言ってるんだい。」


 サラは既に、ぶっちゃけ、少しばかりキレている。サラはこめかみを押さえた。


「では、冬の野営はどうするのだ?結界がなければ寒いではないか?」

「はぁ・・・。」


「いいかい。そんなものを使っている傭兵なんざ、いないんだよ。焚火を囲むさね。」

「えっ?」


 今度は、ガリンが衝撃を受けたように声を発した。


「火ですか?火なんか、危ないのではないですか?熱を発する元力石ではだめなのですか?」


 サラが天を仰いだ。


「あんたたち、大丈夫かい?何度も言ってるさね。元力石なんかを熱源に使うなんて、あり得ないんだよ。どれだけ膨大な意思力を使うんだい?」

「周囲から集めれば良いではないですか?」


「それは誰でも使えるのかい?そもそもあたしだって知ってるさね。街の外の道に街灯がないのは、人の密度が低いからさね?意思力を集める相手がいないさね・・・。」

「大気中や、植物からも意思力を集めることができますよ。微力ですが・・・。」


「だから、それは一般的なのかい?」

「いえ。私独自の・・・。」


「却下だ。」


 サラが、最後まで聞かずに切り捨てる。


「目立たないのが目的なのだろう?それにあんたも言ったさね?うちが、旅の常識枠だと。」

「確かにそう言いましたが・・・。」


 不服そうなガリンの顔を見て、ガリンは返す言葉を探すように視線を泳がせた。


『うちは、なんて仕事を受けちまったんだ。レイレイって竜鱗を持つ子に付き添わなければならないとは言っても、これはあまりにもひどい・・・』


 あまりにも一般常識からかけ離れている一団を、自分が『お守り』をしながら旅をするという面倒くささと、その非現実的な状況に絶望するのだった。


「いいかい?旅は焚火で暖を取るものだし、火で調理も行う。どうしても結界が欲しければテントの中だけでやっておくれ。目立つのはダメだ。どこで誰に見られているのかもわからないんだ。基本野営をする野営地は、他の傭兵団や旅団、商団も利用するんだ。周りに合わせてくれないとトラブルが向こうから喜んでやってくるさね。」


 サラは、有無を言わせぬ口調で、ガリンたちに伝えるのだった。

 ガリンもルルテも迫力に押されてか、とりあえず頷く。


「で、他の奴らはここにいるのかい?」


 サラが突然話題を変えた。サラとしては、


『他の面子も、まさかこの2人と同じく常識知らずなのかどうか』


が、どうしても気になったのだ。


「ええ。ここに呼びますね。」


 ガリンが、意伝石に手を当てる。

 その後、旅に同行するジレ、ストレバウスを続けて紹介していったのだが、サラは小さくため息をついた。

 当然のように、他の2人もガリンたちに毛が生えた程度の常識しか持っていなかったからだ。


 それでも、それぞれと話をした感じでは、まだ護士と王女と比べると、いくらかマシだというのがサラの率直な感想だった。

 また、ストレバウスからは現在のレイレイの力を聞いて、


『さすが竜鱗を持つ者』


と感心もしたのだった。

 ジレは気さくな性格であり、同性としても好意が持てる感じであったことも、サラを安心させる材料だった。

 もし、旅の同行者があの世間知らずな護士とお姫様だけだと想像すると、正直、投げ出したくなる程、呆れていたのだ。


 後日、護士と一緒に傭兵団の登録を登記所に行うことを約束して、サラはその日は屋敷を後にしたのだった。帰りは、ガリンの空間造成術による、階段の一番上から一番下に向けて接合された簡易的な次元門を使って、第1城郭都市の貴族街に戻ったのだった。


 翌日、ガリンは、サラから提示された旅程を地図に落とし込み、再び王の執務室を訪れていた。

 この日は、レンだけではなくエランも同席している。


 先にレンからサラについての情報を共有していたらしく、王やエランからは特に何も聞かれなかった。

 逆に、なぜか王からは、


「ガリンよ。そなたは、サラという傭兵にも色目を使ったと聞いているが?」


と、謂れのない誤解から厳しい追及を受けた。室内に微妙な沈黙が流れた。


「我が娘だけでは満足できないのか?」

「確かに、まだ女としては成熟しておらぬが・・・。」


 などと、もう完全に意味がわからない内容で責められたのだ。

 ガリンは、レンからサラの反応を聞いても、なぜそのような誤解が生まれたのかがわからず、ただ首を傾げるだけだった。

 ちなみに、この時ガリンは、王の中に初めてルルテに通ずるものを感じ、親子とは似るものなのだなと感心したのだ。


 その後、王の追及からようやく解放されたガリンは、旅程について説明を行うことができた。

 これに対しては、王も、レンも、エランもサラの提示した旅程にいたく感銘を受け、


『さすが、地を知る傭兵だな』

『1年で、11都市も回れるわけがなかろう』

『真冬に登山など、無謀にもほどがある』


などと、ガリンの立てた計画は皆から呆れられたのだった。


「ガリンよ。サラという傭兵は、今回の旅には必要な存在であるようだな。ただし、我が娘を悲しませるようなことを許すことは出来ない。それだけは肝に銘じるように。」


 と、もう一度注意を受け、会議は終わったのだった。


 これで、旅程は確定した。



誤字脱字の修正。語尾の修正。描写を一部追加。2026.4.4

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