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マレーン・サーガ 祝1.8万PV達成  作者: いのそらん
第15章 王都出発
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王都出発 その14 旅程の間違い

 ため息をついたサラが、


「あんた、本当に物を知らないさね。春が明けたからって、王都よりさらに北にある都市に春が訪れているとは限らないんだよ。」


 さも当たり前のように言う。


「それにさ。北方を先に回るってことは、一番北にある都市イスレに行くには、王都からだと南下してから山を縦断して上にあがるか、未開地側の土地から左を回るルートしかないんだよ。さっきの話じゃ、最初に北方三都市の、ハノン、オンカラ、イスレを回るなら、当然未開地側のルートを考えてるさね?旅慣れてない一行が、いきなり未開地に沿って移動とか、頭がおかしいとしか思えないさね・・・。」


 そして、ガリンの計画をバッサリ切った。

 ルルテは、なんとなくガリンが馬鹿にされているのを感じてか、面白くなさそうな顔でサラを睨んでいる。

 一緒にいたレイレイは、飽きたと言わんばかりに欠伸を繰り返していた。

ガリンが意伝石に手をあてジレを呼ぶと、レイレイは喜んでジレについていって、屋敷の中に消えてしまった。


「お嬢ちゃん。そんな目をしても駄目さね。うちは、護衛として雇われてるさね。危ないことはさせられないさね。」


 今度は、ルルテにさらっと釘をさす。

 ルルテも、悔しそうな顔をしてサラを睨むが、正直分が悪い。

 横を向いて、再び話を聞く姿勢を取った。


「サラさん。すいません。続けてください。」


 ガリンが、サラに続きを促した。


「北方の都市はどの都市も雪深い。正確には、都市の中は結界があるだろうから、そうでもない。問題は、そこまで行く道さね。今回は、乗り合いか、徒歩なんだろ?雪が溶けないと、なんともならないさね。それとね。雪深いのは何も北だけじゃないのさ。お偉い方が学者様が言うには、この世界は丸い球の上に乗っているらしくてね。最南端の都市エゾラも、冬はやっぱり一面雪景色さね。そんな都合よく、上から回るとかは無理さね。」


「ああ。確かに惑星は球体で、上、あるいは下に行けば平均的な気温が下がりますね。」


 ガリンも、思い出したように頷く。


「ただ、現在のマレーン大陸は、比較的赤道と呼ばれる中心に寄って大陸が集まっている状態ですので、南はそれほどではないと勝手に思い込んでいました。サラさんは行かれたことがあるのですね?」


「ああ、あるさね。うちら、特にうちとレイレイにとっては寒いのは天敵さね。」


 ガリンが唸る。


「ああ、鱗を持つ種族は、変温動物としての身体的特徴もあるのですね。」

「そうさね。」


 ルルテが、『わからない。説明しろ』という顔でガリンを見つめる。

 ガリンは、苦笑いを浮かべ、竜や蛇等の一部の動物は外部の温度により体温が変化する場合があることを伝えた。

 今回の説明は短く、ルルテも満足したようである。


「では、サラさんは・・・。」


 ガリンが言いかけると、


「前にも言ったさね。()()、でいい。」

「あ、はい。」


 ガリンが頷いた。


「では、サラ。あなたはどのような計画で旅をした方が良いと思いますか?」


 サラが少し考えるような仕草を見せた。


「今回は、徒歩、乗り合い馬車、場合によっては風力車を使うと言っていたね?」

「はい。」


「風力車は荷物になるがどうするんだい?」

「路面が良い街道は、風力車を使います。使えない悪路を進む場合は徒歩となるでしょう。その手前の都市の兵舎に置いておいて、必要であればまた別の都市で徴収すれば良いと思います。」


 サラが両手を上にあげた。


「はっ。さすが貴族様だ。風力車がいくらすると思ってるんだい?そこいらの軍角士の半年の給金じゃたりないさね。乗り捨てとは豪儀なこったい。」

「まあ、時間的な制限もありますし、致し方がないかと・・・。」


「まあ、いいさね。じゃあ街道はそれで。」

「ええ。」


「整備された山道などは、都市間を結ぶ乗り合い馬車などを使うってことでいいのかい?」

「乗ったことがありませんので、よくはわかりませんが・・・。師からはそう指示をされています。」


「なるほど。で、山越え道、山道は徒歩ってことだね?」

「そうなりますね。」


「2年だ。」

「はい?」


 ガリンが、何のことかわからず聞き返す。


「2年掛かるんだよ。回るだけで、都市への滞在時間も含めれば2年半近くはかかるだろうさ。」

「そんなにですか・・・。」


 これには、ルルテも反応をする。


「2年だと?その間、我に野で生活をせよと?」

「そうだよ。お嬢ちゃん。」


「・・・。」


 あっけらかんとしたサラの肯定に、ルルテが言葉を失った。

 ガリンも驚いて、思わずレンに意伝石で確認をしたほどである。


 レンから戻って来た答えは、現国王とレンが巡察に出た時には、全部で5年かかったという絶望的な回答だった。

 ガリンが言葉を失っていると、


「ガリンよ。誰ぞに確認しのたのであろう?どうだったのだ?」


 ルルテが、焦ったように確認する。


「ええ。レンに、ルルテのお父様が巡察の旅に出たときに、どのぐらい時間が掛かったのかを確認しました。」

「で、どうだったのだ?」


 サラが2人のやり取りを、ニヤニヤ見ている。


「5年だそうです・・・。」

「・・・。5年だと?」


 その瞬間、ルルテの胸の奥に、ひやりとしたものが落ちた。ほんの一拍、息が浅くなる。


 サラが、我慢できず笑い出した。

 ルルテが、サラを睨む。


「うちに怒っても無駄さね。あんたのパパだって、5年もかかったんだ。2年で良かったじゃないか。」

「・・・・。」


「まあ、ルルテ。先にわかっただけでもよかったではないですか。それだけ私たちは、王都の外のことを知らないのです。それを知るための旅なのですから・・・。」

「まあ、そなたがそう言うのなら我慢しなくもない。」


「それに、都市では領主の城に泊まることができるでしょうし、途中の街でも宿をとることができるところもあると思います。そう悲観的にならなくても、いいかもしれませんよ。」

「まあ、それはそうだが・・・。」


 サラが話に割って入る。


「話はまとまったのかい?」

「まあ。」


 ガリンが煮え切らない答えを返した。


「で、巡察の順序だが・・・。」


 サラが、地図を広げて、自身の考えの説明を始めたのだった。


誤字脱字、語尾の修正。描写の一部改変。2026.4.3

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