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マレーン・サーガ 祝1.8万PV達成  作者: いのそらん
第15章 王都出発
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王都出発 その12 ルルテの金銭感覚


 ガリンも、サラが声をあげて笑っているのをみて、何か声を掛けなければと思ったが、掛ける言葉がみつからなかった。確かに、ルルテが生力石であっても、お金を使っているのを見たことがないのだ。城下町に出掛けた時には、生力石の色で身分がわかってしまうため、ガリンがわざわざ小銭を用意して使っていた。そして、その小銭も全て女官とガリンが用意していたのだ。


 ルルテは、二人が黙っているのを見て、


「まあ、良いわ。我が片翼がそう言うのであれば、適切なのだろうな。」


 としたり顔で頷いた。


「適切だと思うさね。」


 サラはガリンの方を見たが、ガリンが不承不承頷くのをみて、承諾の意を返したのだった。


 マレーン文化圏では、基本的には生力石に情報として貯金しているお金を、仮想通貨のように店に設置された元力石に翳すことにより使用するのが一般的である。そのため、原則、硬貨は使用しない。ただし、子供のお小遣いや、なんらかの理由で生力石が利用できない場合は、少額の硬貨を使用することになる。使われる硬貨は木製で、商角士で構成される王立造幣機関で発行されていた。


 硬貨には、政府が発行した硬貨であることを証明する印がついており、その印は、刻印の元力石の文様により厳重に管理されており、偽造などは出来ない。それほど硬貨を使う機会がないため、硬貨の単位は、1クセル、10クセル、100クセルの三種類しかなく、先史文明の円に例えるのであれば、1クセルが10円、10クセルが100円、100クセルが1000円といったところである。


 生力石を使った金銭のやり取りは、生力石同士を近づけてお互いに金銭交換の意思放射を行うことでも可能であり、今回ガリンがサラに給金を支払う方法は、この方法によって支払われることになる。店で元力石にかざして支払いをする際は、同意さえすれば自動的に生力石の残金から一定額が店側に移動する形になるのだが、お互いの生力石同士の情報交換時には、その意思として放射された金額が異なる場合は取引は実現しないことになるため、多少複雑になる。


 逆に、1対不特定多数の金銭取引が必要な場合、いちいち生力石による情報交換は非常に効率が悪いため、少額の硬貨が用いられることが多い。また、対無人販売機能を有している設備(無人露店等)での購入の場合も少額硬貨が用いられる。この場合は、店で元力石に生力石をかざす時や、人と人が生力石で直接金銭授受を行うときとは違い、金額の確認という工程がないため、指示された少額硬貨をただ支払う形となってしまうため、正確な取引がされないことも多い。


 今回、サラに支払われる1力期あたり75万クルスとは、月に均せば1か月あたり25万の給与と同程度の価値となる。街道などにモンスターが跋扈する世界ではないため、複数人で行う護衛は比較的安全な仕事とされ、今回のようにサラ以外にも、ガリン、ジレ、ストレバウス、レイレイの4人の護衛が就いている場合の王族の護衛としては決して悪い稼ぎではないと言えた。第2城郭市街で働いている一般的な王国民の給与が月に15万程度であることを考えると、その額の程度が理解しやすいかもしれない。


 ガリンはしばらく考え込んでいたが、ようやく顔をあげて、ルルテに頷いたのだった。


「すいません。考え込んでしまって・・・。ルルテと私の資産が共同管理すべきものなのかどうかは、この場では返事をすることができません。しかし、国からの給金という点に関しては、確かにルルテの言うことにも一理あります。後でレンを通して宰相であるキムエラ殿と相談をしてみることにします。」


「ちょっと待て、ガリンよ。我は金子を持っておらぬのだ。そなたが立て替えるのは我の金子ではあるが、基本我の金子は国の国庫からでておるのだ。それは、我が言う共有財産とは違うぞ。」


「はぁ。では、どの部分のことを言っているのですか?」


 ガリンが困ったように聞き返す。


「ララス男爵としての給金は、我とそなたの夫婦の収入だといっておるのだ。サラへの給金は誰が払おうと最終的には国から補填されるのだ。それはどうでも良いのだ。話を曲げるでないわ。」


「ルルテ、我々はまだ夫婦ではありませんよ。それに確定した未来ですら・・・。」


()()、だ。()()にそうなるのだ。」


「はぁ・・・。」


 サラが、ニヤニヤしてガリンとルルテのやり取りをみている。逆に、サラは、2人のやり取りを見ながら、傭兵団を立ち上げたころの自分とカイルのやり取りを思い出していたのだ。あの頃は、傭兵団を立ち上げたばかりで資金がなかった。だからこそ、2人が得た報酬を全部傭兵団の資金として使っていた。だからこそ、2人の財布は共有財産とも言えた。もちろん夫婦のような関係ではなかったし、恋人ですらなかった。しかし、傭兵団を立ち上げるというのは、命を預け合う関係を作ることに他ならない。場合によっては家族以上の関係といえるのだ。お金など死んでしまえば何の価値もない。だからこそ、すべてが一蓮托生であったのだ。


 これは、王と宰相の関係にも似ている。国を預かる二人である。規模は大きいが立場は同じだろう。そして、ルルテは、


『自分たちもララスにおいてはそうだ!』


 と言っているのだ。これも正しい。


 サラは、やはりルルテは『王族』なのだと初めて認識した。


誤字脱字と語尾の修正。傍点の追加。2026.4.1

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