表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マレーン・サーガ  作者: いのそらん
第14章 旅の準備
146/147

旅の準備 その1

・登場人物


国王(男 45歳) ルラケスメータ・メルタ・マレーン・コグソ

公爵(男 78歳) キムエラ・エラン・ウアラ・キジシ

宮廷晶角士(男 111歳) イクスレンザ・レン・エンジシ

王国諜報機関長(男 55歳) イタバンサ・ハサル・ララス・シンジシ

晶角士(男 24歳) ガリエタローング・ガリン・ララス・ナジシ

王女(女 12歳) ルルシャメルテーゼ・ルルテ・マレーン・ソノゥ

軍角士・司(男 27歳) レパッタナーグ・ナタル・オウジシ

軍角士・司(女 29歳) ササレリアシータ・リア・オウジシ

傭兵(男 64歳) カカゼーノ・カイル・ゴッペ

傭兵(女 ??歳) サラニュート・ヨーク


※ガリンは、叙爵され男爵となっているため、爵位称がエンジシ→ナジシに変わっています。

 貴族としての爵位は、レンを上回っています。

 また、ガリンが所領としてララス領を男爵として治めるため、ララという家名が追加。


マレーン王国、また、それを取り囲む6つの文化圏により催される『7大文化圏会議』が終わり、マレーン王国王都・マレーンは、すっかり雪化粧をまとっていた。

マレーン大陸の中央より上にあるマレーン王国首都の王都マレーンは、形ばかりの短い秋を終え、厳しい、第1力期、冬を迎えていたのだ。


7大文化圏会議においては、各国の思惑が乱れる中、マレーン王国自体はまずまずの成果をあげたといってよいだろう。

闘技大会後は早々に帰国されてしまったクエルス大使のジャラザンを7大文化圏会議への招集に成功し、また、結果的には捕縛もできている。

当然、このことについはクエルスには通達済みであり、クエルスからも正式にではないが、


『仮に例の闘技大会の事件にジャラザンが関わっていたとしても、それはジャラザンの独断行動であること』

『ミーネルハスという次元人も実際にはクエルスには所属しておらず、それもジャラザンが勝手に所属しているように情報を偽ったのだ』


という回答も届いていた。

国家が管理する晶角士による生力石への戸籍登録を、ジャラザンがどうやってごまかしたのかという問題を踏まえれば、クエルス側の回答はあまりにもこじつけが多い。それでも、クエルスとしてもそれ以外には答えようがなかったのだ。


仮に、ここでクエルス文化圏があの惨劇に関わっているとなると、他の文化圏からも一斉に攻撃を受けることになる。

そんな理由から、クエルス文化圏は7大文化圏会議で提案された通行手形の件にいち早く取り組んでいるほどである、通行手形に関わる基幹技術、それと共に公開された文様術の新技術、更にはそれを使用した生力石を用いる通行手形による管理の実施という目標に向かって、7大文化圏全体で歩調を合わせようとしている今、クエルスがこれ以上注目をされるわけにはいかないからだ。多少強引ではあるが、『知らぬ存ぜぬ』で、ジャラザンにすべての罪をかぶせる以外に方法がないのだ。

また、マレーン王国の新技術が優れたものであり、各文化圏の気がそちらに向いているため、現時点ではクエルスに強い関心が向いていなかいことも利用していた。クエルスはとにかく目立ちなくないのだ。

尻尾として切られたジャラザンにとっては可哀想な話だが、国から7大文化圏会議に参加を強要された時点で、もう逃げ場はなかったのである。


7大文化圏会議が終わってすぐに行われた新技術の文様術の技術供与も、レンの主導で問題なく終わり、来年の春にはマレーン王国は、マレーン大陸にある王都及び、その他10都市の内、王都直轄のマトロ、マイレン、マイカナは春までには関所で実際に『通行手形』が運用開始される運びとなっていた。

それ以外にマレーン文化圏に属している11の惑星文化圏では、宰相であり公爵位にあるエランが治めているウアラ文化圏の首都ウアラ、ガリンが家名として治めることになったララス領の首都ララスの2都市は同じく春までに運用を開始する方向で進んでいた。


これはある意味、ルルテの巡察先として予定されているマレーン大陸の10都市、それから王の執務室での会議で『その他の所領の中でも主要な都市だけを・・・』と発言していた主要な都市が、このウアラとララスなのだ。マレーン王国としては、ルルテの巡察個所を踏まえたうえで優先順位を定めたと言える。


他の文化圏でも、少なくとも各文化圏の首都においては、春までには運用が開始されるだろうとの話だった。もちろん、そのことはクエルスも受け入れており、むしろクエルスは自身の潔白を主張しやすくなるように、他の文化圏よりかなり早い速度で運用計画を進めていた。


そして新技術の公開とその指導が一段落ついた頃、ようやく王の執務室では、王が諜報機関の長であるハサルからジャラザンから得た情報についての報告を聴いていたのだった。会議に参加していたのは、王とハサルのほかに、レンとエランである。


「で、イタバンサ卿、クエルスの大使からは何か有用な情報を得ることが出来たのか?」


エランが、尋ねる。


「宰相殿、気持ち悪いですな。いつもどおりハサルで良いですよ?なぜ急に卿などと・・・。」

「特に深い意味はないが、所領の件でも『卿』には迷惑を掛けてしまっているからな・・。」


エランが、殊更に『卿』を強調する。


「いやいや、ララスはもともと諜報機関員の養成機関があった関係で、宰相殿がわたしに押し付けたのではないですか。何を今さら。」

「そうであったか。まあ、お主こそ、宰相殿は、やめてくれ。」

「では、卿もやめていただけますか」


ハラスがいたずらっ子のように微笑む。


「まあ、そうだな。誰が聞いているわけでもないしな。ところでハサル、先程のジャラザンの件なのだが、どうなのだ?」


エランが、再びジャラザンの聴取についての話題に戻す。


「おい、エラン、我がおるのだぞ。誰も聞いていないではないだろう。一国の王が聞いておるのだぞ。」


横から王が口をはさむ。


「ああ、メルタ。このエラン、王が鼻たれ坊主だった頃からお側に仕えておるのですぞ。そもそも王ご自身が幼名で呼ばないと怒るではないですか。」


エランがおどけて見せる。

7大文化圏会議、その後もマレーン王国が意図したとおりに事が運んでいることもあり、ここ最近のエランは上機嫌であることが多い。


「何を言っておるのだ。そんな昔のことを。まあ、良い。我もジャラザンからの情報には興味がある。ハサル、早く申せ。」

「は。ただいま。」


ハサルも、笑顔ではあったが、さすがに王からの言葉には素早い反応をみせた。


「まず、ジャラザンですが、やはり国に帰ってからは情報を遮断されていたらしく、目新しい情報はほとんどありませんでした。現在、国からも見放された状態になっているジャラザンめは、非常に協力的であり、知っている情報は余すところなく話しているようはあります・・・。」

「まあ、ある意味、ジャラザンも被害者じゃからの。」


レンが、相槌を打つ。


「ただ、例の、クエルス文化圏が新しい次元空間を見つけ再接合に成功したのではという話ですが、ジャラザンは、それを事実だと考えているようです。」

「考えているようですとは?」


エランが問う。


「本人は、知らされていないようです。ただ、クエルスの学院が、やっきになって次元接合門の再接続実験を繰り返していることは知っており、そのために次元人を広く登用もしており、そのうちの一人がミーネルハスのようです。」

「とすると、ジャラザン自身は、クエルスが新しい次元空間と次元接合門を再接合したことを事実だと捉えているが、証拠は持っていないというところか。」

「はい、その解釈で間違っていないかと。」


王が、低くうなり声をあげる。


「王・・・?」


ハサルが驚く。

新章突入です。

巡察の旅にでる準備を進めていく章となります。

新しい出会いもあり、7大文化圏会議のような殺伐とした章ではないため、是非お楽しみください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ