表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マレーン・サーガ  作者: いのそらん
第13章 7大文化圏会議と元服の宣誓
131/148

7大文化圏会議と元服の宣誓 その4

急な展開に、ナタルとリアは戸惑っていたが、カカノーゼがお構いなしに、サラの紹介を始める。


「こいつはな。サラニュート・ヨークと言ってたな。俺の傭兵団の古株の一人だ。こんなひょろいなりだが、強いぞ。おそらく、お嬢ちゃんよりも強い。」


そう言って、リアに頭を向けた。

リアもかなりの負けず嫌いである。顔から笑みが消える。


「おっと。怖い顔すんなよ。外見と年齢は一致しないこともあるんだぜ。こいつは、ある事情があってな。おそらく俺より年を食ってる。当然その分場数も踏んでるってわけだ。いくら嬢ちゃんが怖い顔したって、実力差は埋まらねえぜ。なあ、サラ、そうだろ?」


カカノーゼが楽しそうに声をあげながら、サラの肩を叩く。


「うちはそこのお綺麗なお嬢様の実力を知らないんだからさ。そんなの知らないさね。それよりもペラペラと要らないこと喋ってるんじゃないよっ!」


カカノーゼのおでこを、ぴしゃりと叩く。


「おお。怖ぇ、怖ぇ。」

「ちょっと待って・・・。」


リアが声を挟む。


「カカノーゼより年上って、何言ってるの?せいぜい、私より少し上にしか見えないわよ。外見と歳が一致しないなんて、人ではありえないでしょ?元力石の力を借りたって、せいぜい少し若く見える程度が限界でしょ?」


素直な疑問だ。


「おお。まあ、そうだな。」


あっけなく肯定するカカノーゼ。


「じゃあ、なんで?」


リアが続けて疑問を口にする。


「だから、事情があってって言ってるだろうが。俺がいくら細かぇことは気にしないって言ってもよ、まあ言えないこともあらぁな。ただ、サラはお嬢ちゃんより強い。ただそれが事実だってことだ。」

「・・・。」


そう言われては、リアもそれ以上は追及は出来ない。


「で、その事情有りのサラさんを呼んだのは、理由があってなんだよな?」


今度は、ナタルが口をカカノーゼに問う。


「それは、サラから直接聞きな。」


そう言って、サラの背中を叩く。


「ちっ・・。呼んどいて、人の秘密を口にするだけじゃなく、その後も丸投げとはね。あきれるさね。」


サラも、困ったように舌打ちをした。


「まあ、いいさ。話に耳を傾けてたのも事実だしね。聞きたいこと聞いてとっとと退散するさね。」


そう愚痴りながら、ナタルに視線を移した。


「そう言うなよ。鱗だぜ?お前こそ、この機会を逃していいのかよ?確かに嬢ちゃん達は、ここ最近は俺らとつるんでることもあるがよ。軍角士様だぜ。そうそうじっくり話す機会なんかねぇだろうよ。」


カカノーゼが大げさに両手をあげて、おどけせてみせると、サラはあきらめたようにため息をつき、諦めたように口を開いた。


「さっきの話だよ。頭の2本の角と、鱗の話さ。」


リアがナタルに目で頷くと、ナタルがもう一度衛士たちの噂についてサラに、先程よりも少しだけ詳しく話して聞かせた。


「なるほど・・・。」


サラは、そのまま黙ってしまう。

そして、急に立ち上がり、ナタルの顔を抱きかかえると、自分の腰に引き寄せた。

そして、そのまま短剣を留めている腰帯を少しだけ緩めると、臀部の一部をナタルに見える様に腰を浮かせた。


「なっ・・・・。」


リアが、短く声をあげる。


「サラは、リアに顔だけ向けると、子供は黙ってるさね。」


そう、目で威嚇すると、


「これだ。この鱗をよく覚えるさね。で、お友達の衛士に確認しておくれ。」


そのまま挑発するかのように腰をくねらせた。

リアは、顔を赤くして、今度はナタルに抗議の視線を向ける。

ナタルも、顔を赤くしながら、急いでサラの臀部から顔を起こすと、


「お、俺は悪くないぞ。」


そうリアに言い訳をするが、明らかに狼狽していては説得力はない。

サラは、面白おかしそうにナタルに顔を近づけ、


「お姉さんに欲情したのかい?坊や。」


言葉と共に、ナタルの耳に吐息を吹きかけた。


「ひゃ、いやっ。」


ナタルが、声にならない声をあげ、椅子からずり落ちた。


「サラ、からかうのはよせ。そいつら初心なんだよ。お行儀の良い軍学士様だからな。はっはっはっ。」


カカノーゼはサラを制止しながらも、そのまま盛大に声をあげて笑い、周りの団員も、サラがからかったあたりから、ナタルの狼狽を酒の肴にしていたらしく、つられて笑い、酒場が笑い声で包まれた。


「ふん。うちにも脈ありかね。」


最後に、そうリアに流し目をして、愉快そうに再び椅子に腰を落とした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ