閑話11 マレーン・サーガ 文化の考察
この小説の肝の技術である『元力石』についての説明が、今までの閑話で漏れていましたので、次章で先に知っておくと物語をより楽しめる『婚姻制度や養子縁組』と合わせて、ちょっと長めの閑話となりました。
それと、閑話10の内容がダブってましたので、戦争形態や武器についての閑話に差し替えました。興味があれば、合わせてご覧ください。
・基本用語の説明
▼元力石について
マレーン次元文明のもっとも重要な技術です。
元力石は、先史文明でも占いや、魔法の補助用具として使われることもあった「水晶」を加工して作られます。
マレーン次元文明で使用されるすべての魔法は、この元力石を通して、その効力を得ることが出来ます。
元力石を通した魔法効果の発動の基本構造は以下の通りです。
元力石に、求める効果を得るために必要なエネルギーを注入します。
そのエネルギーは、原則として人の意思放射により蓄積されます。
蓄積されたエネルギーは、その元力石の表面(特殊な場合は内部にも)に造形された、幾何学的な文様を通して発動されます。
発動には2形態あり、一定量蓄えられたエネルギーを放射しつづけることにより発動(維持)されるものと、元力石内に一定量蓄えられているエネルギーに、更に人が意思放射をすることにより、そのそのエネルギーを元力石から放射することにより発動するものがあります。
前者の具体例としては、夜間の道を照らす街頭などがあげられます。街は夜間、その元力石内に蓄えられたエネルギーを、表面に刻み込まれた文様により、光に変換して、発動を維持します。エネルギーがなくなれば、当然補充が必要となりますが、街灯などの半永久的な発動を必要とするものは、生活区間にあふれている志向性のない意思を捕まえて、それをエネルギーとして貯める文様もいっしょに彫りこまれるのが通常です。ただし、この方式で補充できるのは極めて微妙なエネルギーのみです。(通常生活している上で、人々がそのエネルギーの調達を意識することはまずないでしょう)
後者の具体例としては、発熱装置などが一番身近だと思います。先に水を沸騰させる方法として元力石を用いるのが一般的という記述をしたと思います。
鍋に水をはって、それをコンロにかけるわけですが、水を沸騰させるためには、なにか熱量を生むメカニズムが必要となります。このような発熱装置は、一般的に、コンロに数個の発熱を促す元力石が配置されており、その1つに対して発熱の意思を放射すると発熱を開始します。他の元力石は、1つの発熱に連動します。(停止も同様です)
さて、それでは誰が放射を行っても勝手に発火してしまうのでは、非常に危険な発熱装置となってしまいます。そのため、放射を必要とする元力石には、かならずその所有者の登録が必要です。その登録は、登録したい元力石を、自分の左肩に埋め込まれている生力石とあわせることにより可能です。こうしてその元力石は登録されたオーナーからの意思放射によって発動するのです。
家庭の発熱装置のように、複数の人間が使用する場合は、オーナー登録を重ねて行うことにより、その元力石は複数のオーナーの意思放射をうけつけるようになります。あまりに多くの人の登録を必要とする場合は、オーナーを必要としない元力石を用いるしか方法はありません。
補足:
元力石の原材料である水晶には、天然のものと人工のものがあります。一般的には、天然の水晶のほうが良質であり、大きな効果を生むことができます。ただし、数は少なく貴重です。人工の水晶は、水晶の鉱物パターンを記録した元力石にエネルギー放射を行うことにより、複製を製造します。
この複製および、文様の彫りこみは、晶角士により行われます。先ほど例としてとりあげられた、街灯や発火の元力石などの普及品は、そ文様ごと、この複製技術を用いて製造されます。複製には、原材料として主に岩、石等が使用されます。(化学式Sio2、岩、石に多く含まれれる酸化シリコンから精製)
▼マレーン文化圏の戸籍の仕組み(婚姻、養子、離縁、離婚)
身分制度に準じた婚姻制度が基本となります。
子爵以上の貴族にとって、婚姻により爵位を得るための「政略結婚」が一般的です。
爵位は男性、女性に関わらず、家につくものであり、婚姻により男女とも爵位を得る(上位の爵位との婚姻は上位の爵位を、下位の爵位との婚姻は下位の爵位を)ことができます。また、婚姻は、女性が男性の元に嫁ぐことを前提とした意味合いではなく、性別に関わらず、どちらがどちらにという婚姻時の取り決めに拠るものとなっています。男爵以下の貴族は、職能により得られる爵位であるために、婚姻によってその爵位を得ることはできません。これは男女ともにです。
ただし、稀にではありますが、子爵以上の貴族と、それ以下の爵位、あるいは国民との婚姻例もあります。
婚姻には爵位がついてまわるため、子爵以上の貴族に離婚は認められていません。男爵以下の爵位同士のもの、あるいは国民同士の婚姻には離婚を含めた自由恋愛が認められています。
爵位に関わらず、爵位剥奪、国外追放等を含む、事由のある離縁は王国法にのっとった手続きで可能です。
養子も、爵位に関わらず認められていますが、養子縁組による、爵位の取得権利は、婚姻と同様です。
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