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「え、ちょっと、お師匠様、さっきの言葉もう一回!」
「は?何のことだ?早く食っちまえ?」
前のめりな私にお師匠様はしれっとかわそうとする。
だけどさっき、言ったよね?
『他に必要ない』
って。
それって私のこと迷惑に思っていないってことだよね?
「お師匠様」
「なんだ」
「大好き」
「……ああ、そうかよ」
それでもお師匠様はそっけない。
「ローサ、少し喉が腫れているようだな。熱は下がってきたようだが、油断するなよ。薬は処方しておいた」
「ありがとう」
瓶に入った薄い桃色の飴は昔から変わらない。
子どもの頃に熱を出した私に薬を作ってくれたけれど、そのときは苦くて泣いてしまった。
それ以来、私の薬はいつも甘い。
お師匠様の優しさが詰まっている。
ニヨニヨと笑い出す私に、お師匠様は眉をしかめる。
「お師匠様、こうやって一緒にご飯食べれるのって幸せだね」
お師匠様の作ってくれたリゾットは世界一美味しい。
熱が出た私のために食べやすいものにしてくれるところとか、優しすぎて胸がきゅんとなる。