GW!!! (Girls&Wizard)
1
あれからどのくらいの時間が経っただろう。
この間にも、爆発音は何回も聞こえた。あたしたちは、今も建物の中にいる。
電気は消えて、皆の不安が漂うこの空間から、はやく解放して欲しいものだ。
「あのさ、さっき事故って言ってたけどさ、これってテロなのかなと思ったんだけど」
「テロではないと思うよ」
「えっ、ももの考えあってると思うんだけど」
「テロなら人を殺してるはずだからね」
「そっか。なら犯人の目的は何なのよ?」
「人を殺す以外の理由…」
あたしたちは考えるばかりで結論はでなかった。しかし、突然目の前に二人の男の人が現れた。
「お前らもそこまでは分かったんだな」
「えっ!影信。どうしているの?」
「僕もいるよ」
「あれ、二人には内緒にしてたのにー」
「心がおしゃべりだったな」
「?どういう意味なのよ」
ももが厳しく問い詰めるけど、影信は目をそらすだけだった。
あたしは影信の言葉で、どうして分かったのかなんてすぐに分かった。
「分かった、そういうことね。それでさ、どうやって来たの?」
「俺らは魔法使いだ。瞬間移動魔法ぐらい使うよ」
「それであたしたちを外に連れ出すことは出来ないの?」
すると、義光が申し訳なさそうに手を合掌にして言った。
「これは魔法使いだけに効果がある魔法なんだ。だから、僕たち二人しか移動出来ないんだ。」
「なら、犯人を探して欲しいんだけど。手がかりがないのよね」
その時、再び爆発音が聞こえた。これもかなり近い。すると、この建物がパークの内側に傾いた。
「やっぱり、殺しにかかってない?」
「いや、そんなことはない。俺だったら最上階と真ん中あたりを爆破して逃げ道をなくす。でも、まだ逃げ道がある」
「何が目的なのよ」
「あれ、ここから外が見えるんだね」
「義光ー。そっち傾いてるよー」
「!おい、影信。ちょっと見てよ」
「なんだよ、危ないぞ。…!これは」
影信と義光は、すぐにこちらに戻って来た。そしてあたしにこう言った。
「泉宮。マップ!マップ持ってるか?」
「持ってるけど、何慌ててるの?」
「いいからはやく見せろ!」
そう言って、受け取った地図を床に広げて、ペンでなにやらバツのマークを付け始めた。
「出来た。これが二つ目のヒントだ」
「これがどうかしたの?」
見せられた地図に付いたバツのマークは、不規則に書かれていた。
「なんで分からないんだ。義光、説明してやれよ」
「このバツのマークは、爆発が起こった場所なんだけど、ここから東には一個もないのが分かる?」
二人の言う通り、確かにバツのマークは右側にしかない。
「ないけど、それがどうしたのよ」
「つまり、犯人が爆発するのは、これからも東側なんだ。そして、人を殺さないのは、この遊園地に不満を持っているからということ」
「不満?」
遊園地に持つ不満なんて、些細なことしか思い浮かばない。
すると、ももがふと思ったことを口に出した。
「例えばこの遊園地が出来たせいで、飲食店の売り上げが落ちた、とか。強制的に工事が進められた、とか」
「それは知らんがともかく、犯人はこの遊園地に不満を抱いている」
2
「今どのくらい爆破した」
「もう最後です。今思えばあっという間でしたね」
「そうだな、ちょっと俺の土地を見てくる」
「行ってらっしゃい」