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開いたパンドラの箱

こんにちは、影斗です。

前回の反省をして、番号を付けて少し読みやすくしてみました。では、続きをどうぞ。

1

「よし、とっとと帰るか」


そんな独り言もむなしく周りの音にかきけされる。

 義光を見ると、さすが人気者だ。義光に興味津々な人たちが義光の周りを囲むように集まっていた。魔法はそんなに珍しいのか?


 そんな人たちの中をくぐり抜けて、ようやく外まで出れた。


 俺が通る道は真っ直ぐな道が多い。考え事をするのには最適な道だ。


 しかし、今俺が歩いている歩道とは反対側の歩道で俺はあるものを見つけた。

 ものではないが、ナイフを持ってフードを被った男だ。

 その男の前には、同じ学校の制服を着ている女子が歩いている。

 その男は女子に向かってどんどんスピードを上げて近づいている。


 これはおかしい。


 俺は考えるよりも先にかばんを置いて走り出した。男はナイフを女子に向けたままだ。

 俺は女子と男の間に入り、刀を持ち、ナイフを受け止めた。

 この時、予想外なことに音が響いてしまった。あいつを逃がさないと。

ここはテレパシーを使おう。


『逃げろ…』

「え!」

『いいから早く逃げろ』


何か言っているが、逃げてくれたみたいなので、行動に移していく。ナイフを刀で突き放し、男の腹部を蹴り、距離をおく。


「いってぇな。変なところで首を突っ込みやがって。正義を気取るな。………!お前は」

「それが正義の本業だろ。あと俺は正義じゃないし。ほら、さっさとどっか行け」

「ふん!今日は帰るが、次はお前を殺してやるからな」

「まだ殺せてないだろ」


とはいっても、随分素直に帰ったな。何かに気づいた様子だったけど。まあ、とりあえずは解決か。


「ねぇ。さっきから不思議なことが多いんだけど。まず、君って私の隣の席だよね。名前はなんていうの?それで、刀はどこから出てきたの?」


何も解決していなかった。とりあえず、この人には全てを話すしかないか。


「俺は烏谷影信。ここからの話は外では出来ないから、俺の家で話そう」



2

 という訳で、私は今、烏谷の家にいる。目はさっきまで泣いていて真っ赤だ。


 まさか私が通り魔に襲われそうになっていたなんて、考えただけで体が震える。

 そんな時に烏谷くんは私を慰めてくれた。実は優しい?


烏谷くんはテーブルにお茶の入ったコップを二つ置いて、私の向い側に座った。


「えっと、烏谷くん─」

「影信でどうぞ」


いきなり下の名前で呼ばせるのもどうかとは思ったが、烏谷くんより言いやすいので採用しよう。


「なら、影信。影信は何者なの?」

「義光と同じ、魔法使いだ。闇属性だけどね」


今日は驚きの連続でもう反応出来ない。


「属性って何?」

「簡単にいえば、タイプだ。火・水・風・光・闇の5つあるんだ。」


でも、疲れているのに不思議と話に引き込まれていく。


「刀は何なの?」

「杖を一時的に刀に変えたんだ。これは義光もできる。あいつは西洋の剣みたいだけど」

「そうなんだ。それでさ─」

「ちょっと待ってて」


影信は私の質問を遮って席を外した。

 玄関へのドアを開けたところで何か言っている。

 戻って来ると、後ろに女の人がついてきた。確か泉宮さんだっけ?

 その人は私の隣に座る。やっぱり恋人どうしなのかな。


「またあったね、ももちゃん」

「な、何でそれで呼んでるのよ」

「いいじゃん、別に。なら、あたしのことは

【はるか】って呼んでよ」

「なら、はるか…さん。どうしてここにいるの?」

「勝手に入っちゃった」


間違いない。これは完全にそうだ。どこまで一緒にいるんだろう。とにかく、早くここを出たほうがいいかも。


「私、そろそろ帰るわね」

「なら、ひとつ俺と約束だ。ここで話したことは内緒だからな。そして、俺とは一切関わるな」


私はそんなドライアイスよりも冷たい言葉に、返事は出来なかった。

 影信の家を出た後、私はまっすぐ家に帰った。なんだろう。今日は特別疲れた。



3

「ねぇ、どうして口裏合わせてくれたの?」

「当然だろ。お互い秘密持ちだからだ」

「オッドアイとかテレパシーとか?いろいろあるねー。影信は」

「お前、それを外で口走るなよ」

「二人だけの秘密ってのもあるでしょ」

「それはお前の彼氏としろ。そういえば、青塚は俺らのことを恋人どうしだと思ってるみたいなんだけど」

「どうしてすぐに否定しなかったの?」

「なんとなくそれっぽくなりそうだったから」

「本当は嬉しかったんでしょ」

「自惚れるな」


さっきからうるさいので、勝手にこいつの秘密をバラしてやる。


 学校ではハイテンションでみんなと接していて、運動も勉強も出来る、周りからみれば優等生だが、こいつは探偵だ。とはいっても、尾行をして情報収集するだけだ。

 こいつの両親が探偵で、家が探偵事務所になっている。何かアニメかマンガで見たことがある気がする。


「何考えてるのかなー」

「うわっ、何だよ」

「いや、別に何でもないけどさ、あたし帰るからね」

「勝手に入って来たんだろ」

「じゃあねー。あっ、あとひとつ。あの通り魔には気をつけてね」


そう言ってドアの閉まる音が聞こえた。


 通り魔か。というか、あいつはいつからついて来てるんだ。

 夏でもないのに、ゾッとさせられた。

今回は説明ばかりになってしまってすみません。

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