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柴の覚悟

現場に着いたとき時刻はすでに午前3時を回っていた。

1日働き詰めなんて警察は飛んだブラックだななどと河野と話していると、とても同じく1日働き詰めだったとは思えないほど元気な三上が合流した。


「お疲れーっす! いやー聞き込みって中々大変ですね。 けどようやく自分も警察官になれた気がしてがんばれました!」


「おま、声がでけえよ。夜中だぞ!?」


「ははは、確かに変わったやつだ。」


「2係の河野さんですよね? 噂はたくさん聞いてます! 柴さんの同期で30手前にして2係のエース的存在だとか! 凄すぎです、尊敬してます。」


「お世辞が上手いな。新人でいきなり1課配属の方がよっぽどすごいよ。 よろしくね。」


「おい河野。あまりこいつを褒めるな、すぐ調子に乗るタイプだから。」


雑談をしていると警察の制服を着た1人の男が駆け寄る。


「本庁の方々ですか?」


3人は警察手帳を見せる。


「お疲れ様です。私は八王子の交番の者です。どうぞこちらへ。」


「そちらこそ遅くまでご苦労様です。これよろしければ皆さんで食べてください。

ドーナツとコーヒーって言う完全に僕好みのコンビですけど。」


そう言って三上はビニール袋を渡す。


「いいんですか? すみません、いただきます。」


三上の対応に柴はへえと感心して見せる。


すると三上はドヤ顔で見つめてくる。


「……わかったからその顔やめろ。」


「はい、これは柴さんと河野さんの分です。」


「ありがとう、三上くん。」


「……どうしたおまえ、気が利きすぎて怖いぞ。」


「電話の声ーー柴さんの声が疲れてるように感じたんで。」


三上は見透かすような目で柴に語りかけた。


コイツ……生意気なほどに鋭い。


「何が言いたいんだ?」


「いえ、ただまだ現場に入らないのかなって思っただけですよ。どうかしました?」


「いや、ならいい。」


話すべきだろうか。いや三上はこれで新人だ。ただでさえ得体の知らないものなら不用意に広めることは避けるべき。


ーーなんてのは綺麗事だな。


「こちらが遺体になります。」


「……やっぱり損傷が激しいですね柴さん。

ーー柴さん? 柴さん!」


「ん? ああ、すまん。考え事してた。」


「……大丈夫か、柴。」


「悪い、悪い。」


捜査に不都合だから、なんてのは綺麗事だ。


本心は三上を万が一にも死なせたくないんだ。


ったく、不思議で生意気な奴だ。


たった数ヶ月しか一緒にいないのにここまで思わせるなんてな。


「心配すんな、この事件は必ず俺が解決してやるから。」

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