表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
増田清隆の深刻な申告  作者: たまき りよすけ
ヒントと課題
43/72

ヒントと課題1

職場に戻ったらすぐ残業を始めないといけないのだけれど、なんとなく気分が重くて、清隆はノロノロと鞄からパソコンを出した。


電源ボタンを押しても立ち上がらないからなんでだろうと思っていると、コンセントを差し込み忘れていた。


慌ててコンセントを差して電源を入れると、今度はネットワークに繋がらなかった。


「はて、とうとう壊れたか」とパソコンのコードが全て刺さっているかを確認していると、LANケーブルの差し込み口がテープで机に止められているのを見つけた。


これを差し込まないとネットワークにも繋がらない。


「さっきから清隆くん、大丈夫?」


「あ、先輩すいません。大丈夫です」


森元先輩が声をかけてくれたけれど、清隆は気のない返事をしてしまった。


先輩に合わせる顔がなかった。


清隆がその後の会話を続けなかったため、先輩も何も言わなかった。


残業が終わると、今度は森元先輩の方から話しかけてくれた。


「清隆くん、今日はどうだった?」


「あ、いや、その…」


「また失敗したの」


「あの、失敗というか」


「うん」


「じ、自分、『申告』というものが分からなくなってしまって」


「?」


「自分の思う『正しい申告』って何なんでしょう?考えたんですけど、だんだん自分が今までどんなふうに受付をしてきたのかさえ分からなくなってしまって」


「ごめん、清隆くん。最初から、順番に話してもらえる?」


「あ、すみません。自分でも何言ってるか分からなくて」


「うん、ちゃんと聞くから」


今日の森元先輩は、なんだかとても優しかった。


いやいつも優しいんだけど、今日は特別、優しいような気がした。


「今日、申告受付をしたお客さまが、給与以外に農業所得のある方だったんですけれど、収入から経費を差し引いた所得が23万円だったんです」


「あと少し、おしいね」


「そうなんです。しかも、奥さんが旦那さんの代理で申告に来ていて、経費もそんなに付けてなかったんです」


「それで、清隆くんはどうしたの?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ