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増田清隆の深刻な申告  作者: たまき りよすけ
先輩も深刻
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先輩も深刻3

税務課では、自分が説明していないことでも怒られることがある。


「この前はこう言われた」「以前と対応が違うじゃないか」「そんな話は聞いてない」など、様々だ。


単純に職員が間違っている場合もあれば、その時はそれが正しかったこともある。お客さまが勘違いをしている可能性も考えられる。


ただし以前どんな説明だったかに関わらず、お客さまには今、正しいことを伝えなければならない。正しく説明し伝えることが市役所職員の仕事なのだ。


自分の説明を聞いてもらうために以前の対応について謝罪が必要であれば、それを嫌がってはいけない。


「じゃあ里実さんは、今日の問い合わせにはなんて回答したんですか」


「んー、基本的に清隆くんの説明と一緒なんだけど、それにプラスして、扶養に入っていても、住民税がかかる場合があります、って付け加えておいた」


「付け加えのパターンですね」


「住民税の納付書送ったら分かるんだけど『私は○○の扶養に入ってるから税金はかからないはずです』っていう問い合わせもあるから」


「所得税と住民税では、税金がかかる最低ラインが違いますからね」


「めんどくさいよね~」


「でも『じゃあ住民税っていくらからかかるんですか』とか聞かれませんでした?」


「聞かれた!住民税がかからない金額を教えてくれって言われたけど、そこまでは答えなかった。お客さまの収入や家族構成によって異なるのでご説明できません、ってね」


「扶養している人が多ければ、住民税も安くなる仕組みになってますもんね」


「あなたはそれを今、資料もないのに電話先で理解できるの?って感じ」


「名前も言わない、世帯状況も教えてくれないくせにそんなとこまで聞くなよって思います」


「ね!ほんとそれ」


ついつい愚痴っぽくなるのは、もはや仕方のないことだった。


こっちだって勉強して仕事している。「分かりにくい」と言うのは簡単だけれど、資料もない電話先で説明するのには限界がある。


それにお客さまの言っていることが必ずしも正しいとは限らない。


お客さまがそう思っているだけで、実は違う場合もあるからだ。それこそ、実際に調べてみないと分からない。


だから清隆は電話が嫌いだった。


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