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「難しいね。調査隊が全滅なんて聞いたことないし。いつもはダンジョンが発見されてから、マッピングとモンスターの間引きの依頼が出るんだけどなぁ。今回はどうなるんだろ。ある程度間引きがとマッピングが終わったら、教会と合同で討伐隊を出すけどね……。」
元冒険者のウィルの情報はかなりありがたい。顎をさすりながら少し考えてから、彼は続きを話しはじめた。
「もう一度調査隊を送り込んでくるんじゃないかな。でもこんなヤバい依頼、受けるパーティーがいるのかが疑問だね。懲罰代わりに、規則を破ったパーティーを送りこむか、高額報酬でA級パーティーを引っ張ってくるか……。そんなところじゃないか。」
「じゃあ、そのうちまた次が来ると?」
「ああ、放置はないな。ダンジョンを放置するとモンスター湧いて、そのうち人里を襲うだろ?攻略できなくても、モンスターを間引いておくのが基本的なダンジョンへの対処だ。というか攻略できなくても間引きを続けていれば、自然とダンジョンが潰れるって聞いたことあるぞ」
なるほど、無理に攻めずにモンスターを間引かれれば、魔素エネルギーの獲得ができず、ノルマ未達になってしまう。正しい対処法だ。
「分かりました。基本方針は、ダンジョンに引き込んでから閉じ込めを行い、今回のように侵入者を処理することにしましょう。そのために、ダンジョンの拡張を最優先でお願いします。」
「かしこまりました。それでは、ゴブリンはすべて地下の拡張作業に当てます。長い通路と袋小路を増やすして、侵入者を閉じ込めやすい構造を意識して拡張の指示を出します。また、ウルフチームには引き続きダンジョン周囲の警戒と、洞窟内でのゴブリンへの道具輸送と、掘り出した石材の運搬作業に従事させます。」
ノワールがこちらの意図をくみ取り、細かい指示を考えてくれる。優秀な秘書がいてくれるので本当に助かるね。
「それでお願いします。ステラさんとウィルさんはノワールさんの指示に従ってください」
安定と安心の丸投げだ、信頼ともいう。下手に口を出すよりうまくいきそうだし。
「ウィーッス……。イテッ!」
「なんだその気の抜けた返事は……。了解した。しかしなんだ。安全なのは結構なことだが、この剣を使ってやれないのは寂しいところだな」
剣を抜き、掲げながらステラが呟く。戦闘が得意そうなのに、召喚されてから戦闘らしい戦闘はしていなかったから不満なのだろう。
「いざと言う時は頼りにしてますからね、ステラさん。ま、そんなこと無い方がいいとは思いますけどね」
「あぁ!いざと言う時は命に代えても主殿をお守りするからな!頼ってくれ!」
ドヤ顔をしながら、頬を紅潮させて元気に答えてくれる。割と素直な性格をしているので、ステラは結構扱いやすい。
「それじゃあ、他に特に何もなければ会議は終わりにします。一応、各自冒険者には注意してください」




