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 大きな木の盾を持ったゴブリンを先頭に、ダンジョンの入り口を包囲するようにモンスターを移動させる。包囲網に気づいた冒険者が武器を取り出し構えるが、コチラの数が多いことに気付き、浮足立っている。目視できる冒険者の人数は4人。予想が当たっていたみたいだ。


「レント! ヤバいぞ、どうする?」


「わかってる! クソッ、囲まれたか」


「数が多い。突破は無理だぞ」


 正直言って、こちらも心臓がバクバクなっている。こちらが優位とはいえ、今から人間を殺すと思うと緊張してくる。


「あなたたちは包囲されています。抵抗しても無駄です。今から3つ数えるので、死にたくなければ、おとなしく服従してモンスターになってください。一人でもモンスターになることを拒めば、全員殺します」


 モンスターの後ろに隠れながら、大声で呼びかける。体中から汗が噴き出てきた。頭が少しぼんやりとし、酒に酔った時のような不思議な高揚感を感じる。アプリで彼らの動きを確認しながら、再度大きな声を上げる。


「いち!」


 まだ動きはない。


「にぃ!」


 冒険者が動き出した。マーカーがダンジョンの中に逃げ込んでいく。


「さん!攻撃開始!」


 合図とウルフとゴブリンがダンジョンになだれ込む。入り口が狭く込み合っており、なかなか前に進まない。アプリをチラ見すると、先ほどの冒険者達は洞窟の奥に向かい、結構なスピードで移動している。おそらく走っているのだろう。


 ゴブリンとグレイウルフの群れをかき分け、城壁の中に入る。


「うまくいきましたね。見事な作戦でした」


 先に中に入っていたノワールに声をかけられる。あと一歩で作戦完了だ。


「あっさり行き過ぎて怖いくらいですね。これで終わりです」


 僕は洞窟の入り口まで移動すると、持ってきた石材で洞窟の入り口を塞いだのであった。



「全くなかなかエグいことするね。エージさんも」


 先ほど出てきた森の中にある隠し通路に戻る途中、ウィルが話しかけてきた。洞窟に閉じ込めた冒険者は、餓死するまで待つか、弱ったところでとどめを刺す予定だ。これから洞窟の中で起こることを考えると、確かに残酷かもしれない。


「正直あまり考えないようにしています。相手はこちらの命を奪いに来ているわけですからね、情けは無用だとは思うんですけど……」


 苦笑しながら答える。死体を見ていない分、今はまだ人を殺しつつある実感はわかない。死体の確認もモンスター任せにしてしまおうかな。


「アイツらも洞窟の奥に逃げないで、降伏しちまえば助かったのにな……。イテッ!」

「無駄口を叩いてないで、さっさと歩け。邪魔だぞ」


 ステラに後ろから蹴りを入れられ、ウィルはバランスを崩して前のめりにコケた。


「ひどいッスよー。なんで蹴るンすか?」


 先を歩いていくステラを追いかけていく。ステラの言う通り、無駄口を叩くのは戻ってからにするか。土を内側から積み、外側から階段の位置を隠しダンジョンの中に戻っていく。

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