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「ようやく中に入ったみたいですね」


 スマホを見ながら英治は小声で呟いた。


 現在英治達は、ダンジョンの地下の広いスペースに待機していた。この先の通路の階段を上がり、天井を崩して外に出れば、ダンジョンの外に広がる森の中に出られる。ノワール、ステラ、ウィル、英治とダンジョンのほぼすべてのモンスター達が控えている。

 冒険者達が入った洞窟の入り口から、重要な施設への道はすべて塞いでいる。また、英治達のいる通路につながる道は石壁により封鎖されており、侵入した冒険者は英治達の元にたどり着けない状況だ。


「おい、まだいかないのか?」


 待ちくたびれたステラがたまらず聞いてくる。もう長い時間この窮屈な空間で待機しているのだ。僕としてもすぐにでも飛び出したい気持ちではあるが、失敗しては元も子もない。


「もう少し待ってください。もう少し……」


 タイミングは確実でなくてはならない。食い入るように、動きも少しも見逃すまいとスマホの画面を見つめる。

 スマホに表示されたダンジョンのマップには、侵入者を表す赤色のマーカーが表示されている。なかなか洞窟の中まで入らないので、どうしようかと気を揉んでいたところだが、どうやら中に入ってくれたらしい。

 マーカーの数は14。外には4人の冒険者を残しているようだ。ダンジョンの入り口付近にちらちらと待機組のマーカーも見える。ダンジョンの領域の範囲付近に待機しているようで、何人いるかはマップの表示からはっきりとわからないが、事前の情報より4人と予想する。全員で中を探索してくれれば都合が良かったのだが、少人数であれば何とかなる。想定内だ。洞窟に侵入した冒険者が、もう少し奥に進むまで、しばらく待つ。



 10分後、洞窟の中に入った冒険者が十分に奥に入ったと判断し、僕は近くにいたゴブリンリーダーに命令を出す。


「全員で外に出ます。作業を開始してください」

「ギギッ、ワカッた。ますたー」


 ゴブリンリーダーがシャベルを持ったゴブリンに地上への出口を掘るように指示を出す。ゴブリンがシャベルで数度掘ると地上が見えてきた。


「先にゴブリンとウルフから外に出て周囲を警戒してください」


 出口からグレイウルフとゴブリンを先に外に出し様子伺わせる。先行して外に出ていたゴブリンリーダーより、異常なしとの報告があったので、全員で外に出る。ここからは時間との勝負だな。

 

「では計画通りにいきます。全員静かに、素早く移動してください」



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