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教会のお世話になる、これは教会で治療を受けるという意味だ。骨折や四肢の欠損をしても、生きてさえいれば教会で元通りになる。特にダンジョン絡みの怪我であれば格安で治療をしてもらえるので、お世話になったことがある冒険者も多い。俺は痛いのが嫌いなので、極力お世話にならないように依頼をこなしているだけなのだが。
「確かにそれは凄いですわね。でも、レントさんと一緒に探索していても、才能を感じられないし、何が優れているのか全然わかりませんでしたわ。」
苦々しげにアンリが答えるが、こっちを見ないで欲しい。目が合ったので、とりあえずそうですよねー、アハハと答えておく。
「それがわからん限り、C級には上がれないぞ。いいか、こいつはどんなに小さな依頼でも、情報を集めることを怠らない、というか、常に情報収集をしている。情報を集めて、リスクを減らし、成功できる道筋を立て確実に実行する。それがどれくらい難しいことかわかるか? 」
当たり前のことだ。手を抜けば死ぬかもしれないのだ。知らなければ死ぬかもしれないのだ。褒められるようなことではない。
「とにかく。コイツらのことをよくわからに癖に『臆病者』と呼ぶな。分かったな。」
なんだか場の空気が悪くなってしまったな。助けを求めてピーターさんに目線を向けるが、目を逸らされてしまった。相変わらず顔は無表情なのに。
「レント、お前は自分を過小評価しすぎだ。」
ぽつりとピーターさんが呟く。全くもって意味が分からない。自分の事は自分が一番よく知っているつもりなのだが。自分の限界を知り、できないことをやらないように、過信せず、慢心せずただ仕事をしているだけだ。
「まぁ、この話はやめましょう。俺の事なんてどうでもいいですから。さっさと任務を終わらせて町に戻りましょうよ。」
「そうですわね。くだらないことに時間をとってしまいましたわ。」
溜息をつくと、アンリは険しい表情を緩めた。ほんと、ケンカするなら俺いないところでやってくれと思う。まぁいいや。これから仕事なので気持ちを切り替えていこう。
「よし、じゃあ行くぞ。」
ゲンさんの号令でダンジョンに近づいていく。近くで見ると、結構立派な城壁だな。継ぎ目は見えるが、石同士の段差がほとんどない。
モールラッドを先頭に、我々以外のパーティーが城壁の内側に入っていった。まずは洞窟の外の調査から着手するはずだ。俺は魔時計を取り出し時間を確かめる。午後一時過ぎか。
「ロレンツとゼーマンは休憩な。俺とヘンドリックで周囲の警戒だ。30分後に交代。一時間後に他のパーティーが戻ってこなかったら、30分は延長するつもりなんで、各自そのつもりでよろしく。」
仲間に指示を出し、周囲の警戒をはじめる。さっさとモンスターを見つけて戻ってきて欲しい。そう思いながら周囲の警戒をはじめる。




