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「ノワールさんは魔法で何ができますか。」

 巨大熊に気づかれないよう、中腰になり、小声で話しかける。


「私の使える魔法は相手を眠らせる『スリープ』と、一時的に視界を奪う『ブラインド』です。」

「魔法を使った場合、相手にこちらの位置が気づかれる可能性は?」

「ほぼないかと。魔力を感じることができるだけの能力があれば、気づかれるかもしれませんが、そうは見えませんので。」

 

 作戦は決まった。ふぅ、と一息ついてから指示を出す。

「ノワールさん、相手にスリープをかけてください。相手が眠ったら、近づいて一斉に攻撃をします。」


 こくりと頷くと、詠唱を始めた。

「大いなる闇に包まれ、微睡み沈め……。スリープ。」


 ノワールが呪文を唱えると、巨大熊の周りに『何か』がどんよりと広がるのを感じた。今のが魔法なのだろうか。目視では何も見えなかったが。


 魔法を唱えられた巨大熊は、動きがが徐々に鈍っていくと大きな音を立てて仰向けに倒れた。熊が眠っているのかわからないため、ゆっくりと音を立てないように近づく。

 大きな腹が膨らむのと縮むのを繰り返しているため、呼吸はしているようだ。しかし、瞼を閉じ口をだらしなく開けている様子は、確実に意識がないことを表している。


 落ち着いて、一撃で決めなくてはいけない。もし仕留めきれなければ、あの巨体で暴れられるようなことがあれば、良くて怪我、悪くて死亡だ。緊張しているな。ゴブリンに任せるか?いやダメだ。ステータスが一番高いのは僕だ。僕がやるのが一番確率が高い。どこを攻撃すればいいか。心臓か?首か?頭か?

 深呼吸をして、目を閉じる。そして、もう一度巨大熊を観察する。ここだな。

 

 僕はショートソードを両手で持ち、巨大熊の口の中に突き立てた。

 

 両手に肉を切る気持ち悪い感触が伝わる。躊躇ってはいけない、力を緩めてはいけない。全力で、全体重をかけて、突き刺す。カッと見開いた、巨大熊の目と目が合う。


「ひっ。」

 思わず尻もちをついてしまった。巨大熊は手足をばたつかせているが、口に突き刺さったショートソードにより起き上がろうとしても動けないようだ。徐々に力を無くして、手足が動かなくなっていく。熊の頭部周辺には血だまりが広がっていく。

 尻もちをついたまま後ずさり、巨大熊が死んで逝くのぼんやりと眺めていた。どれくらいの時間がたったのだろうか。長いような、短いような不思議な感覚だ。


「エージ様。」

 ノワールに声をかけられ、ハッとした。少し放心していたようだ。


「いや、かっこ悪いところを見せてしまいましたね。」

 震えた足で何とか立ち上がる。苦笑いをしようとして顔を引きつらせてしまった。まだ、動揺しているなと自覚する。


「いえ、お見事でした。」

そういうと、軽く頭を下げるノワール。しかし、ノワールを連れてきてよかったな。ノワールの魔法が無ければ、確実に被害が出ていただろう。


 改めて、熊の死骸に目をやる。口からショートソードが飛び出てなかなかにグロい。吐き気をこらえてショートソードを引き抜く。引き抜く際の感覚もなんだか気持ち悪いな。引き抜いたショートソードの先端から血が滴っている。気持ち悪いのでカード化してしまうことにした。

 さて、仕留めたはいいけど、解体の方法を知らないんだよな。どうすればいいだろうか。たしか、家畜の牛は殺した後で、数人で踏みつけて血を出すと聞いたな。一旦、血抜きとかをしてからダンジョンに持ち帰れいいのだろうか。


 悩んでいると、ノワールから声をかけられた。

「えっと、熊をカード化しなくてもよろしいのですか?」

「えっ?」

 

 

 

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