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ノワールを洞窟内に残し、自分の家に戻った僕は、昼ご飯を作るために冷蔵庫を覗き込んでいた。
「ちょっと古いけど卵があるな。冷凍ご飯もあるし、チャーハンでいいか。」
独り言を呟きながら手際よく料理をはじめる。冷凍ご飯を取り出し、レンジで温め、取り出したフライパンに油を入れ中火で熱する。その間に卵をお椀に淹れて、菜箸で溶く。一人暮らしが長いため、慣れたものだ。
十分フライパンが温まったところで溶き卵を投入。油を含ませるようにして炒めるのがポイントだ。いい匂いがしてきた。軽く卵を炒めたところでご飯を投入する。耐熱プラスチック製のヘラで切るように炒めることで、ご飯をつぶさないよう気を配る。
1分ほど炒めたところで、味の決め手のチャーハンの素を投入し、再度炒める。程よいところで火を止め、皿に盛り付ければ完成だ。
「ノワールさん、お昼ができましたよ。中で食べましょう。」
洞窟の中にいるノワールに声をかける。休憩だと伝えていたが、ずっとピッケルで石材カードの採取を続けていたらしい。
「エージ様、モンスター達が戻ってきました。今、洞窟の外に待機しております。いかがされますか。」
「あっ、ちょっと待っててください。」
モンスター達が戻ってくるのを忘れていたな。チャーハンを冷める前に食べてしまいたい欲求とモンスター達の素へ行かなくてはとの思いの狭間に、心が揺れ動く。どうしよかと一瞬迷ったが、名案が思い付いた。カード化してみてはどうだろうかと。
チャーハンを盛り付けてある皿を持ちカードをさせる。
名前:チャーハン
レア度:2
品質:C
説明:米と卵を炒め、味付けした料理。
ふぅ、無事にカード化できた。これでチャーハンが覚める心配はないな。たぶん。
チャーハンのカードを取り込み外に向かうと、モンスター達が整列して待っていた。
「お待たせしてすいません。えっと、それじゃあゴブリンチームから見つけたものを見せてくれるかな。」
他のゴブリンより体が一回り大きいゴブリンリーダーが一歩前に出ると、20枚ほどのカードを差し出した。
「ますたー。コレ、見ツケタモノ。」
「ありがとう。どれどれ……。」
内心、ゴブリンリーダーが喋れたことに驚いた。ゴブリンもカードが使えるのか。まぁ、人間にできてゴブリンにできない理由はないのかもしれない。渡されたカードを見てみると、薪が半分にキノコが半分か。どうやら木の実は見つからなかったようだな。
キノコは説明文を見ても毒があるのか食べれるのか全然わからないな。名前も聞いたことがないモノばかりだし、使い道がわかるまではとりあえず保管かな。
「ご苦労様。そこの保管箱の中にしまっておいてください。」
「ギギッ。分カリマシタ。」
ゴブリンリーダーにカードを返して、グレイウルフたちに向き直る。
「グレイウルフ達はどうだったかな。」
「クゥーン……。」
よわよわしい声で返事が返ってきた。どうやら獲物は取れなかったようだ。
「よしよし、次は頑張ってくれよな」
少し乱暴に頭を撫でてやると、尻尾を振って喜んでいる。かわいいやつだな。
「大トカゲかは、いっぱい虫は食べれたかな?」
大トカゲはシューと鳴き声のような声を出しているが、よくわからないな。
「じゃあ、全員休憩してください。1時間くらい自由にしていいですけど、ダンジョンの外には出ないように!」
号令をすると、各自解散していく。
「さて、じゃあノワールさん、お昼ご飯にしましょうか。」




