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micelle  作者: Hyro
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61 夕凪のしじま

 

 61 夕凪のしじま



「良い風」

 リサイクル室の扉を空け、上履きで行っても許されるアスファルト部分に立つ美咲は受けた風になびかされた髪を押さえながら感想を述べる。

「はい。ホント、気持ち良い風ですね」

 隣で同じように海からの風を味わう河本は、その風が自分へと漂わせた美咲の匂いに鼻をくすぐられもする。

「むしろ、肌寒いくらいかも」

 そう言いながら、美咲はとっととリサイクル室内へと戻ってしまうから、河本もそれに続いた。

 二人で、生徒会室内の溜まっていたゴミをまとめて運んだのである。一人で行こうとした河本に、ラップトップでサイトを見ていた美咲が「自分も行く」と声をかけたのだ。

 リサイクル室内にゴミを出し、手ぶらになって生徒会室へと戻る為に、二人は校内を歩いた。

 歩きながら、美咲は「ふふふん、ふふふん」と口ずさんだりするので、河本はどんな表情をしているのか確かめたくなる。とりあえず機嫌はよさそうだ。

 美咲は河本の方を一度向いては、目が合おうとも、気にせず鼻歌を続けた。

 また前を向いて歩く美咲の横顔に、パチパチと瞬きをするときは決まって二回連続で行うんだな、と河本にとっては新しい発見もあった。

「ね、今日、この後は暇? あ、どうせ暇か。極めて暇に決まってるよね」

「ええ、そうです。その通りです」

 鼻歌をやめて再び自分の方に顔を向けて、予定を決め付けてきた美咲に、河本が返答をする。

「そっかぁ。奇遇だ。私も暇」

「そうなんですか」

「寄ろっか、ユークリのゲーセン」

「またですか?」

「何、そのまたって。最近、一緒に行ってなくない?」

 河本に誘いを拒否されるのかという、不満と不安が交じり合った表情を美咲が浮かべる。

「そういえば、ですね」

 また連続の瞬きをした美咲を見てから、河本は正面へ視線を移した。

「クレーンゲーム一度だけチャレンジさせて。いや、三回だけ。取りたいのがあるから、付き合って」

「いいですよ」

 それ以上困らせたくはないから、受け入れる。

「うん。じゃ決まり」

 一転して美咲は嬉しそうな表情に切り替わった。

 ひとつ年上の先輩である美咲に、そんな表情を見せられたら、普通にしてたら可愛いんだよな、と河本は思ったりもする。


「あ」

 洋介は開いている昇降口から入ってきた風に、下駄箱横にある掲示板に貼ろうとしていたプリントを飛ばされた。

「はい」

 それはすぐに綾に拾われた。

「ありがと。風に遊ばれちゃったよ」

「だね」

 洋介と綾の二人は、雨で延期となった日が記載されたボランティア活動のお知らせを、昇降口横や各学年の掲示板に貼るという作業を行っていた。

「……河本君ってホント素直。素直に受け入れて、素直に返してくれる」

 洋介は河本と行ったこの間のアイドルのコンサートの時の話をしていた。

「……楽しかったんだ?」

 接した誰もがそんな感想を述べる河本の素直さに、一番先に興味を持ったのは自分であるような気もするが、綾にとってそれはもう大分前のことのようにも思える。

「うん。二人きりでも全然すっごい会話弾んだ」

「へぇ、良かったね。……でも、会長は?」

「え?」

「会長も一緒だったんでしょ?」

「あ、ああ、そうそう。そうなんだけどさ。ほら、追加でさ、先輩に後から頼んで券貰ったら席離れちゃって……」

「あ、そうなんだ」

「そう。だから、なんか河本君を独り占めしちゃったよ」

「それ、なんかおかしな表現」

 竹清について触れた瞬間の、洋介の変な感じに気付いてもよいのだろうが、今の綾はそこの部分に気を取られることはなかった。

 なぜなら。

 綾が今日の授業終わりに生徒会室に寄れば、美咲が河本と一緒にパソコンをみて楽しそうに話しをしていた。耳に入っている会話から、美咲が今年の夏に着る水着をネットで選んでいる様子なのである。机に置かれたボランティア活動のお知らせに目がいき、「これ、貼るの?」と確認すれば、河本が「今自分が貼りに行きます」と返してきた。それを聞き、久々に一瞬、河本君と一緒に行こうかな、と過ぎった綾に、サイトを見ていた美咲の視線が飛んできて、誘うことを自重させられた。少し気持ちがうろたえたようなところで、洋介が陽気に室内に入ってきてくれ、綾はホッとしたのである。

「一緒に行こうよ」

 綾が手に持つお知らせを貼るという作業を説明し、把握した洋介がそう言ってくれて、救われたのだ。

「ありがとう」

 この作業の前にそんなことがあったから、各学年の掲示板にも貼り、作業をすべて終えたところで、綾は洋介にお礼を言った。

「どうしたの、急に?」

「ううん、なんとなく」

 そのまま二人は、生徒会室へ戻り、室内にいた有紗に挨拶をして、バックを持っては一緒に帰宅した。


 体育館の扉はすべて締め切られており、風が吹き込むことはなかった。

 壇上にあるピアノをみゆきが弾いており、竹清が同じ壇上内から張られた防球ネット越しに、バレー部の練習を眺めていた。

 期末テストの一週間前に当たり、今日から部活動は停止期間に入るが、それは表向きの部分もあり絶対という訳でもない。竹清とみゆきが体育館に入ってきたときに、バレー部の一年生の女生徒二人がトスやレシーブの練習を行っていたのである。

「気にせずに続けてて良いよ」

 練習の手を止め、緊張した面持ちの女生徒が、小坂遥という、生徒会活動も手伝ってもらっている生徒だとわかるから、竹清は優しく声をかけた。

 それで、竹清はみゆきのピアノを聴きつつ、できることが限られた中でも練習を行う二人のバレー部の練習を見てもいたのである。

 それでも。

 竹清の頭の中では、こないだの休日を共に過ごした浅村恵里奈の事を考えていた。瞼には自分の動きを、目を閉じて受け入れる浅村恵里奈の姿が思い浮かんでしまうから、みゆきが一曲弾き終えても、近寄れなかった。

「――彼女にも、同じことしてるって分る」

 曲を弾き終えたら肩に手を置き、立ち上がれば、腰にまわしてキスをする。恵里奈にあの日言われたその言葉が、竹清を縛り付ける。

 バレー部の生徒に見られるかもしれないから、ということを言い訳にできると考え、ネットを掴み固まっていた。

「迎え来たみたいだから、行くね」

 スマホを確認したみゆきが椅子から立ち上がる。

 みゆきの母が今日は車で向かえに来たのだ。そのまま母親がピアノ教室に付き添うというので、今日の竹清とみゆきはそこで別れた。

 体育館から出て行くみゆきの背中に安堵する自分に気付いては、苦笑いを浮かべてしまう。なんの為の、誰のための恋愛なのか。

 竹清はスマホを取り出すとメッセージを打ち出した。


 河本と美咲が生徒会室へと戻ると、有紗がラップトップの前に座っていた。

「あ、有紗さん!」

「……二人でまたなんかしてたの?」

 有紗がマウスを弄りながら、質問する。

「ちょっとゴミ溜まってたんで、出してきました」

 さっきまではそこでサイトを美咲と見ていた分、自分のバックが置いてあることで自然に、河本は有紗の隣に座った。

「うん、そう」

 なんだか有紗に対して妙に嬉しそうな河本が気にもなったが、有紗を挟む形で美咲も座る。

「そっか。……また河本君、美咲に取られちゃった」

 笑った表情で有紗が美咲の方へそんなことを言う。

「え、そんなんじゃないよ」

 冗談だとは判るが美咲が否定する。

「はい。そんなんじゃないですよ」

 潔いほどきっぱりと河本が否定する。

「フフ、そっか」

 有紗が河本に笑顔を向けるから、河本も「はい」と返事をして笑顔になる。

 そんな二人に美咲が若干イラつきもする。

「美咲、水着でも買うの?」

 有紗が表示されたサイトについて話題を変えた。

「え、ああ、うん」

 美咲は、河本の自分の前とは違う態度に納得はいっていないが、とりあえず返事をする。

「私、こないだの日曜にこんなの買ったよ」

 有紗がゼブラ柄のビキニを指す。

「え! 有紗さん、こんなビキニとか着ちゃうんですか?」

 河本が仰天する。

「うん、変?」

「まさか、変じゃないです。ヤバいです。有紗さんがこんなビキニとかマジでホント鼻血ブーですよ」

「もう、表現がクラシックだよ」

 と、有紗は河本のふとももを叩いて、そのまま手を置いた。

 そんな二人のやり取りを横目に、美咲はラップトップを自分の方へ向けマウスを操作して、サイトに集中しようとする。

「あ」

 河本が変な声を出すので、美咲が見れば、有紗が河本の膝を触っていた。

「フフ。マウス、美咲に取られたから」

 有紗は笑っている。

「有紗さん、あのボクのヒザ、マウスでもタッチポイントでもないんで。くすぐったいです」

「フフ、河本君、可愛いリアクションするね」

 なんだ、こいつらと、美咲はただ不機嫌になる。

 そこで、河本のスマホが震える。

「あ、会長、体育館にいるんだ」

「え、呼び出し?」

 有紗が手を止め質問する。

「はい。ちょっと行って来ます」

「じゃ、私も帰ろっと」

 と、有紗は河本の膝から手を離しては、イスを引き、片方ずつ脚を伸ばして紺のソックスをあげ直した。

 河本はその動きに見とれる自分を制するかのように唇をかんだ。

 そんな河本の表情をみては睨みつけたくもなる美咲ではあったが、そこは我慢してネットに目を向ける。

 河本が席を立ち、有紗も自分のバックを持っては、「じゃあね、美咲」と声を掛け生徒会室を出て行った。

 室内に独りになった美咲はラップトップの電源を切ると、イスの上で体育座りをするように膝を抱えた。


「あ、じゃ体育館行きますんで」

 昇降口と体育館へと分岐の通路部分で、河本が有紗に伝える。

「……みゆきもいるのかな」

 まだ先にある体育館の方に視線を送り有紗が呟いた。

「あ、どうですかね」

「私も一緒に行ってあげよっか? また用事言いつけてくるよ」

 有紗が河本を見つめる。

「え?」

「……みゆきから私が守ってあげる」

 そういうと有紗は目を逸らした。

「ありがとうございます。でも、大丈夫です。……むしろ、ボクが、有紗さんを守ります」

「え?」

 有紗がまた河本を見つめる。

「男ですから。守る側で居たいです。……有紗さんを守りたいです」

 河本は真顔である。

「ふふ。ありがと。もしもそんなピンチが訪れたら、その時はお願いする」

「はい。いつでも」

「うん、じゃ」

 と、有紗が笑顔で手を振る。河本もそれに振り返した。

 

 河本が体育館の扉を開けるとバレー部の姿が目に入った。一年生の二人だけである。小坂遥は知り合いであるが、もう一人の一年生のコの存在もあり、そもそも有紗のことを考えていたい河本は無反応で壇上の竹清のところへ行こうとした。

 コートの横を通ろうかという河本に、練習する手を止めた二人がなんとなくこっちをみているのは感じたが、河本は気にせず、歩いた。

 すると、バレーボールが河本目掛けて飛んできた。

 松永梓という遥と一緒にいるコが投げたのである。予期はしていなかったが、横の視界で気付けた分、そこは持ち前の運動神経で軽々とかわして見せた。

 そして、遥を見据える。

 その河本の睨みに臆することなく、遥はボールを河本目掛けて投げつけてみたが、今度はかわすこともなく難なくキャッチをする。

「ナイスキャッチ」

 と壇上から竹清が声を掛ける。

「どういうことですか?」

「二人だと練習メニューが限られるから、ひでとの得意のジャンピングサーブをお見舞いしてあげなさい。得意のやつ、ね」

「……はい、自分、ジャンピングサーブ得意でした」

 河本は今キャッチして手にしていたボールを一度コートにバンとたたきつけた。

「……構えよ」

 遥は固まっている梓に声をかえ、二人は河本から反対のネット側へと移動する。

「いくぞ、はるか」

 もう一度、ボールを叩きつけ河本が声をあげる。

「こい」

 返事をし、遥がレシーブの構えを取るので、梓も倣う。

 河本はボールを高くあげ、タイミングを合わせるように小走りに飛び、ボールを叩いた。正直、まったく見よう見まねではあったが、勢いよくネットを越え、遥の右方へと向かっていった。

 遥がそのボールに食らいつくように横に飛び、なんとか拾いあげ、梓が落ち着いたトスで河本側のコートへ返した。

「お見事」

 と竹清が拍手をするので。河本も拍手をした。

 一年生二人は、竹清の指示に従い、河本が姿を見せたらボールを投げた。そして、今、サーブを返した。その結果、よくわからないが、あの美形の極みの会長が拍手をしてくれているので、とりあえず笑いあった。

「もう5時で、こっちはそろそろ帰るんだけど、何時までやるの?」

 竹清が二人に質問する。

「あ、すいません、自分たちももう片付けて帰ります」

「うん。あんまり無理をしないで」

 竹清もコートまで来て二人へ優しく声をかけた。

 散らばったボールを遥と梓が拾い始める。

「はるか、ナイスレシーブ」

 近くにあったボールをカゴ付近へ投げ、河本が遥の背中へ声を掛けた。

「……はい」

 声を掛けられたことに驚きつつも、遥は振り向いて返事をした。

 すでに河本が背を向けて竹清と体育館の出入り口へ向かっていた。

 河本は先月に行われた大会の結果が振るわなかったことは知っていたが、それをどう触れるべきか考えている間に時は経ち、ボランティア参加のやりとりのメッセージを送ったりしている内に、直接逢った時に遥へ話そうという気になり、それも雨で延期されたこともあって結局今日まで顔を合わせることがなかった。だからこそ、今の一言に思いを込めたつもりの河本であった。それは自分本位にも思えるから、それ以上、顔を合わせているのは辛い部分もあり、竹清のあとに付いて立ち去ったのである。

「あの、副会長のひと、はるかって名前呼んだね」

 生徒会の人間がいなくなり、ネットを片付けながら、梓が気になったことに触れた。

「え、あ、うん」

「どういう関係?」

「梓が想像しているようなこと……なんもない」

「そっか。もしあれだったら応援するのに」

「うん……ありがと」

 引退した三年生もいる分、ちょっとでも良いからうまくなりたいという思いから一年生の二人だけで自手練をしたのであった。


「美咲さん、まだ居た。良かった」

 生徒会室へ戻った河本は、ラップトップの前で膝を抱えた美咲へ声を掛ける。

「……そりゃ居るさ」

 バックを置いていった河本がまたここへ戻ってくると思っていた美咲は、ぼんやりと待っていたのだ。今日一緒にゲーセンに寄る約束だってしている。

「あ、さっきのサイト閉じちゃったんですか?」

 河本が美咲の傍へ来て、暗い画面を確認する。

「え、何? あ、水着の通販サイトのこと?」

「はい」

「なんで?」

「家でじっくり見たいんです。ショップ名知りたかったなぁ。あれ、何で検索すればたどり着けますか? 」

「は? なんで家でじっくり見るの?」 

「モデルさんが、商品である水着をしっかり見せる感じがなんかツボに入りまして。ちゃんと見たいなって」

「なんだよ、ただのむっつりか」

「え、むっつりって」

 美咲は体育座りのまま、河本の方へゆっくりと体を向ける。それはつまり、スカートゆえに、パンツがモロに河本の視界に入ることになる。あまりにも堂々としたものなので、下に何かはいているのかと河本は確認するが、それは所謂ただのピンク色のパンツであった。

「どこ見てんだよ、むっつり」

「……見てるっていうか、見せてません?」

「見せるって言うのはこういうことを言うんだよ」

 と、美咲は立ち上がってスカートをたくし上げた。

「美咲さん、どうしたんですか?」

 さすがに、そんなことをされたら河本はたじろいでしまう。

 有紗にデレデレして、脚に見惚れやがってこの童貞が。水着サイトを家で見て何するんだよ、むっつりスケベ。すべてを上書きして私のパンツを焼きつけやがれ。そんな思いが美咲の中でふつふつと沸き上がったのだ。

「帰ろ」

 気が済んだ美咲はスカートから手を離してバックを手に持った。

「あ、会長、昇降口で待ってます」

「え? みゆきは」

「みゆきさん、今日はお車でお帰りになりました。美咲さんとゲーセン行くって言ったら、会長も寄りたいって言ってましたよ」

「それ早く言ってよ。チェリーにパンツ見せてる場合じゃなかった。汚点だ」

「いや、汚点じゃないですよ。全然キレイでしたよ」

「うるさい!」

 美咲は河本を置いていくかのように勢いよく生徒会室を飛び出した。


「竹清会長」

 さっき洋介たちが掲示板に貼ったボランティア活動のお知らせをみていた竹清は声をかけられた。

 振り返れば、男子生徒が立っている。身長は竹清くらいあった。

「何かな?」

「天文学部の薮田と申します。この度はおかげさまで充実した活動をさせて頂いております」

「そんな畏まらなく良いよ」

「はい、あの、夏の合宿、コテージ一室ご用意できます、宜しかったら、ご招待させて頂きたく近々お話しに伺おうと思っていたところ、今お姿お見かけして」

「ああ、そっか。いいね。星、キレイだろうね」

「はい、八月、二日か、九日でどうでしょうか? 合わせますので」

「あ、なるほど、うん。今週中に返答でいいかな?」

「はい。では、失礼します」

 昇降口をすこしあがったところに待っていた、同じ部であろう生徒たちのところへ薮田はかけていった。

「すいません。お待たせしました」

 天文学部を見送っていた竹清に河本が声を掛ける。

「おう。オレもいいよね? 美咲」

 河本の後ろにいる美咲に声を掛ける。

「……うん」

「あら。美咲さん、自分の前と露骨に態度が違う。なんか被ってる。ネコだ。猫被ってる人だ」

 美咲はそんな風に茶化す河本に睨みを効かせ黙らせた。


「風止みましたね」

 昇降口を出て、気付いた河本は二人へ伝える。

「うん」

 美咲が頷く。

「風、吹いてたんだ?」

 知らなかった竹清が聞く。

「はい」

 河本が返事をする。

 竹清、河本、美咲の三人で正門を通り過ぎた。

「美咲は星とか好き?」

 竹清が聞く。

「え、うん。……じっくりは見たりはそんなしないけど」

「うん。そっか。よし」

 竹清に話しかけられるといちいち照れる美咲が微笑ましい河本はすこし下がって歩いた。

 三人が駅前のユークリに着く頃、また風が吹き出した。




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