9 可溶して
9 可溶して
新学期が始まって最初の週の終わりに代表委員会が開かれた。各クラスの代表が集まり、生徒会仕切りで行われる。議題は、今月の下旬に行われる三年生を送る会についてである。そのため、三年生はこの代表委員会に参加していないので、初めて生徒会を揮う竹清慶治にとっても変に気を使わなくて済むのでやりやすい環境ではある。
代表委員会の司会は副会長であるみゆきが行い、竹清も隣りで補足し、他の役員たちは後ろの席で見ているという形であった。
何気に人前で高橋みゆきは緊張してしまう性質であるが、参加した一、二年のクラスの代表を務める生徒たちはそれを好印象に受け取った。みゆき自身もこういう場ではあまり自分を出すべきでないという考えがそうさせてはいるのである。それを竹清もそうするみゆきで良いと思って隣りに立っている。
そして、竹清が後方に視線を移せば、他の役員たちがいる。
この準備のために、毎日のように放課後、顔を合わせるのだから、その距離はだんだんと縮まって来ている、はずであると竹清は感じる。
その通り、役員たちがみんなで良い雰囲気を作ろうとしているのであるから、出だしの関係は順調であった。
特に竹清は、生徒会では唯一の一年生の河本秀人といる時間が最近、多くなった。みゆきがお稽古事を習ったり、逆に教えたりしている関係もあるのだが、生徒会の集まりが終わった後、時間があれば竹清は河本とお茶をしたりした。
今までの竹清は女のコといる事が普通であり、それがとても自然であり、楽なことでもあったので、河本という一学年下の男子生徒とコミュニュケーションを取ることはとても難しいことではないかと最初は考えていたのであるが、全然そんなことはなかった。河本は余計な気を回さなくても良い相手だった。それは竹清にとっては新鮮は感覚であり、その感覚は喜ばしいことでもあるのだ。
気がつけば生徒会役員としての集まりがない日でも、みゆきの都合が悪かったりしたら竹清は河本と一緒にいることになっていた。
彼女のみゆきからしてみれば、彼氏である竹清が河本という男子生徒といてくれることは余計な浮気の心配などせずに済むので安心できた。
竹清会長として、生徒会の意志の疎通が取れていることは良い事なのであるが、肝心の一月下旬に行われる三年生の送る会での、生徒会としての出し物が決まっていなかった。各クラスの出し物とは別に、それなりのものを生徒会でも披露しなければならない使命感に捕らわれているのであるが、これだという案が浮かばなかった。
要するに竹清会長が一人で背負い込んでいるのであるが、そこは生徒会の顔として譲れなかったりするのである。
ある日の放課後、竹清はゲーセンに河本と寄った。みゆきといるときはプリクラの利用くらいであったのだが、たまにはと、何気なく格闘ゲームなどをしてみたら、意外にはまってしまった。
「あ、これやろう」
ゲームをしながら竹清がそうポツリ呟いたのを、河本は聞いたので、一瞬意味がわからなかった。「すでにプレイをされていますが、なにをされるんですか?」と返すのがここでの答えなのだろうかと河本が考えていたら、竹清は、
「これ生徒会での出し物にしようか」
とまた呟いた。そういうことかと河本は理解をする。
「ええ、いいですね」
イエスマンな答えをした河本に竹清は、オレは本気だぞという目をした。




