waste 4
ちょっと短編離れしてしまいました、
明け方の車内 ---
空が白み始めて、駐車場に停めてある車の窓からは、散歩に出ている人の姿がちらほら見えた。
立ち話をするには寒い夜明け、車内に二人。
なんとも言えない雰囲気で会話は続く。
「あなたの話した事が本当だとしたら、多分彼は、そういったモノの影響下にあると思う。」
「あなたが本当に彼を助けたいのなら。」
「あなた自身も、それ、との因果を持つ事になると思うよ。」
「私も、こんな風にあなたと関わりを持ってしまったし、こんな話をしているのも何かの縁だと思う、だから正直に話すね。」
「私は、決して霊媒師とかの類ではないし、でもね、うん、家系かな、ある程度の事は出来るの、見えるというか・・・」
「君も多分、なんとなく解ってくれると思うんだけど、人に憑いている、糸みたいなもの、見たことない?」
「それが 因果 なの、私が勝手に呼んでるだけなんだけど、私は多分、君よりも先まで視えると思う。」
「 それが、つながっている先まで・・・」
少しの間の後、彼女が続けた。
「糸の切り方もね、出来る範囲で、だけどね・・」
「自分の因果ってあまり見えないものなんだけど、君、凄いんだよ。」
「私の経験上、今日の帰り道に、車か電車に撥ねられて、バラバラになって即死しても、私は納得するくらい。」
やめてほしい
・・・・話だけだと、悪質な霊感商法みたいだ
と思った反面、「糸」の事、「踏切」の事と、話してもいない事を次々に言い当てる彼女には、返す言葉がない。
「やっぱり僕にも糸、ついてるんでしょうか・・?」
「・・・凄いよ、君のは・・」
なんというか、説得力がありすぎる、質問したのはこっちなのだけれど、本当にやめてほしい・・・。
「でも自分の因果って、自分では、あんまり見えないんだよ、私も自分のは見えないの!」
「私の糸、見える?」
気になって、彼女の体をまじまじと見つめてしまった。
・・・いや、彼女に糸は見えない。
昔、病院でみた「糸」は彼女には見えない。
その時に思い出した、友人にも「糸」は見えなかった。
もうちょっと見ようかな・・・。
まるでオヤジ。
多分、その時の自分の顔と言ったら、見るに耐えなかったはず。
「目付きいやらしいよっ!!」
デコピンが飛んできた。
「いたぁっ!」
どことなく姉に似た雰囲気だと思った、身内と似ていると思うと、少し話しやすくなる。
「あー見えない見えない!!」
「なんか違うところ見てなかった!?」
「えー見てない見てない!!」
「見てないって何?」
「もうっ!聞くんじゃなかった・・・」
会話は続く。
「あの、友達には、彼には、糸は付いてなかったんです。」
「ただ、影がおかしかったというか、やっぱり変だとは思ったんだけど、なんか妄想みたいな話だけど・・。」
「憑いてなかったの?、だったらあんまり時間かからないし、私でもなんとかなるかも。」
「影は・・、そうゆうことか。」
「私は君の事に興味があるんだけど、まぁこれも縁だし、助けてしんぜよう!」
「でも・・、あいつひょっとしたら今頃ケロっとしてるかも!?、そうだったら、ごめんなさい。」
ちょっとふざけた感じで返した。
「それはないと思うよ。」
エンジンのかかる音、彼女が窓の外を見ながら、急に冷めた表情で返した。
断言に近いその言葉に、私は、以前の「神」を思い出した。
私はその時、彼女とあの時の彼を同列で意識した、やっぱり、なにか異質だ。
彼女や彼には一体、何が見えているんだろう・・
続