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Angeloser -エンジェルーザー-天使に押し付けられた能力で無双をできる訳でもなく…  作者: 野村陸翔
序章 どうか俺にも異世界転移もののようにチート能力をよこせ!

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十一話

「民衆が私たちの仲たがいを見て、今こそ攻撃だと、帝国最大級の魔法砲弾を持ってくるとかなんとか……」


「そりゃあやばい逃げなきゃああああああ」

「悲鳴と混ざって何がなんだが分かりませんよ」

「ど、どこへ、どこへ逃げりゃあ……」

「右です。右」

「右だな。分かった」


 生き残るためなら泥臭く泥を啜ってやろうじゃないか。

 天使に言われたならお導きか?癪に障るね。

 まあ。何も考えず、全力疾走あるのみ。

 短距離走並みの速度を出し、突っ込んでゆく。


 右に走ると人が多いではないかと感じた。この街で一番、栄えている町ではないかと思った。隠れるしたら好都合なルートであると思った。

 気を隠すなら森の中。人を隠すなら人ごみのなか。だから合理的だと思った。


「*******!!!!」


 誰かが俺らのことを言っているのだろう。複数人がこちらに視線をよこした。納得した合理的なルートだと思ったのに、てめえ要らん事いうなよ。


「もっと全力で走らないとまずいかもしれないです……」

「ああ。分かっている。体力にはまあまあ自身あるぜ。お前みたいなフィジカルお化けにではないがな」

「誰がフィジカルお化けだ。ちょっと頑丈にできているだけで、あとは脆弱ぜいじゃく可憐かれいな天使です」

「ほお。まあ。いいや。で、お前にあらかじめ聞かなくてはならないことがある」

「ん?」


 先の過ちを繰り返さないために……。


「なあどこに向かっているん?」

「ああー。あ」


 あれ、また分からないとかなんとか。


「多分こっちになんかあるはず」

「また適当な」


 これに従って行ったら俺は最終的にやはりこいつに殺されてしまうのではないかと思ってしまう。けれど、どのみち、どっかの道には行かなければならないから、仕方がなく、付いていて走っていく。


 ホント最悪だ。昨日の天使のせいで筋肉痛なんだぞ。マジで。足がぶっ壊れそうだ。

 それでも休ませてくれないらしい。後ろから屈強なこの国の近衛兵このえへいのような奴らが追っかけてきているが見えた。


「******!!!」

「*******!!!!」

「****!!!!」と様々な声が聞こえる。


「おいおい。やべえぞ。すぐ、ばれちまったんじゃねえか?」

「そう。みたいですね」


 彼女は頷きながら、しょうがな速度を二、三段階上げた。

 二、三段階上げたからと言って微々たるものでない。俺がバテテおいていかれる程度である。


「チハヤさん。遅いですよ。そんな速度をしてたらあいつらに肉薄されますよ」

「いや…もう…無理…。これ…以上…速度…上げられん」

「はあ。これだから最近の若者は……」と彼女は老害なこと言った。多分こいつ何万年とか生きていると思うからあながち間違いではないだろう。


「失礼なこと思いました?」

「いいや。そんなこと思うはずないじゃないですか」


 おっと。危ない。危ない。こんな程度でばれてしまうのか。流石元天使だわ。


「そう。まあ。いいや。ん」と天使は後ろに手を伸ばした。

このポーズは……。「お前。俺をおぶろうとしているのか?」

「ええ。そうよ。チハヤさん遅いですから」


 その言い方はしゃくに障るが、まあ楽ができると思えばそれも悪くない。

 俺は色々理論をこじつけて無理に納得させた。

 そして構わず天使の背中に飛び乗った。


「うぐっ。チハヤさんもっと静かに乗ってください。はらわたが出てしまう」

「まき散らしとけ」

「最悪な返答ですな。まあ。行きますよ」


 天使はさっきの何倍ものスピードで走った。

 うっ。飛ばされてしまうほどスピードが出ている。

 俺がずっとおぶられていた方がよかったのではないかと思うほどには。これを思ったら負けであると思った。


「****!!」

「***」と奴らが叫ぶがどんどんと遠ざかっていく。もうそんなに突き放したのかと不本意ながら天使に感心する。


「はははっ。あの人たち待てとか言っていますよ。面白いですね」と天使は少し後方に体を捻り嘲笑あざわらった。


「俺には全く分からないんだよ」

「そうですか。この優越感を味わえないなんて残念ですね」

「はあ」


 おぶられる状態で俺はこいつから離れたくなった。

 ただただムカついて仕方がなかったからだ。


「お。あそこのに森があるじゃないですか。隠れれば何とかなるんじゃないですか?」


 指をさしながら一直線で向かっていく。

 確かに目の前に広大な森林が広がっている。

 ここは帝都であるのにどうして開発が進んでいないのかと思ったが、今は大分都合がいい。不幸という能力がありながら今の俺は不幸ではないと思う。


 思うのも束の間だった。


 彼女は何も考えず鬱蒼うっそうとした森に突っ込んでいった。

 人を隠すなら人の中。人を隠すには森の中は良くなかった。


 この森は多分伐採されていない。だから木の密集具合がケタ違いだった。

 そんなところに突っ込めば俺に木の枝が次から次へと突進してくる。


「いたい。いったたたた。ちょ、お前。なにも考えてねえだろおお」

「ちょっと我慢してください。あの人ら巻かないと二人とも奈落行きですよ」

「いや。今が地獄よりも地獄……」


 皮膚ひふに枝がどんどんと当たる。触れる。擦れる。流血する。


「いたい。血が、ちょっと、血が出てる。おい聞いてんのかコラあああ。別のルートにしろおおお」


 俺は耐えに耐えかねて俺は天使の首をおもっきし締め上げた。


「ぐあああああああ」と鈍い叫びを上げてようやく止まった。


 ようやく俺はこいつの背中から離れることが出来るのか。


「何するんですか?」と平然とした声で彼女は疑問を投げかけた。サイコパスですか?


「何をするって?お前俺の顔を見てなんか思わんのか」

「あー。不細工な顔だとか?ですか?」

「このやろおおおお」


 その言葉は許して置けぬ。数多くの女性を手玉に取った俺の名誉を傷つけたと思え。


「はいはい。悪かったですよ。ちょっと強引だっただけではないですか」


 ちょっとどころではない。

 現代日本なら裁判できるほどだ。この世界にまともな司法があるかどうか知らないが、裁きを与えることは出来るほどの傷だ。


「ほら見てください」

「何を」


 彼女はすぐ近くの草をき分けた。

「ほら。道です。ちゃんとした。人が整備した道路ですよ?私の勘も馬鹿には出来ないでしょう?」


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