姉襲来
ソードアートオンラインの桐ヶ谷兄妹いいですよね。具体的には八巻のキャリバー辺りの距離感。
家内の身内でオンラインゲームを手伝って貰える環境は、現代だと割りと普通なのかな…?
ーーピコン
『例のゲーム、下準備終わったよ。回復薬とか装備とか。』花澤
雨宮『早っ!!流石りんりん!私も軽く情報サイト見たけど、集めるの難くなかった?』
『親切な人が手伝ってくれたから大丈夫。』花澤 ーー>このメッセージは削除されました。
『運よくお金が入ったから。ほら、今新規が多くて高値で売れるのが多いみたいだから。』花澤
川瀬『いいね!じゃあ、今週末辺りからやっていこうか!早くレイドボスやりたい!!』
火口『だよな!!なんなら、『ぶっちー』のリスナー参加イベントに間に合うようにしたいしな!』
『私は職業で守り人を選んだから。みんな職業決まったら教えて。装備は用意しておく。』花澤
川瀬『じゃあ私はーーー。』
ーーー
ーー
ー
LINEを閉じて、自室のベッドから起き上がる。
少し躊躇いながら隣室のドアをノックする。『どうぞ~』と返事があり、中に入る。声色からして、機嫌は良さそうだ。
部屋の中で姉は相変わらF.Oをプレイしていたようで、三枚のディスプレイモニターに対面している。私の気配に気づいたようで、ヘッドホンを外しゲーミングチェアを入口に回転させる。
立ち上がると相変わらずの高身長。出不精の癖に整ったスタイル…。完璧過ぎて見ているだけでムカついてくる。
「珍しいね。そっちから用事あるなんて。どうしたの?」
「前も言ったけど、F.O始めたけど…少しアクシデントがあってね。」
「へぇ?F.O始めた瞬間アクシデントって…ナンパでもされた?」
「ーー!違う!全然違う!」
「え?嘘っ!?図星!!?」
姉のニヤニヤ顔が加速する。変に弄られる前に、本題に入らなければ。
「大金が手に入ったの。700.000Cぐらい。」
「わお。序盤でそれは確かにアクシデントだ…ふーむ。ボスから心核でもドロップした?」
「なんで分かるのよ…。」
「今の心核の相場がそれぐらいだから。結構高く吹っ掛けて売れたみたいだね。流石、我が妹。」
「うっさい。で、使い道でオススメとかない?20万ぐらいは残しておきたいのだけど。」
「んー…、前提として追加コンテンツを購入予定があるかで、大きく変わるかなぁ。」
「買う予定は……ある。」
「ふーん?じゃあ、サブ職育成かな。確か友達とプレイしてるんでしょ?装備の修理できる発明家とかは、一定レベルまで育てておいた方が、今後が楽だよ。かなり。」
検討していた案の中にサブ職育成はあった。実際、お金がある内に稼げる手段を確立するのは大切だと、私自身も思っている。なら、サブ職育成する方針で良いだろう。
「わかった。ありがとう。」
「まあ待ちなさい我が妹よ。他に聞きたい事は無い?本当に無い?」
ニヤニヤ顔のウザい姉が止めて来る。相変わらずの発作で、ちょっと殺意が出かかるが…ネタが無い訳でもないから、大人しく質問してあげる。
教えたがりの姉に対して、前回のチュートリアルボスでの戦闘でアンコモンさんが使ってた行動について尋ねた。
「魔獣使いって強い?」
「魔獣使い?あー…結論から言うなら強い。けど、使いこなせる人はごく一部かな。F.O界隈でもニュータイプ職とか言われているし。」
「?…じゃあさ、姉さんは鳥を4体召喚して攻撃防御援護妨害はできない?」
「無理無理無理!!何!?プロの魔獣使いにでも会ったの?というかチュートリアルボスで4体も鳥出せないよ!?」
姉が詰め寄ってくる。姉が慌てるという事は、余程の異常事態なのだろう。前に姉が慌てたのは、大学の必須単位を手違いで落としかけた時以来だ。
予想外の食い付きに私自身も驚く。というか、若干引いている。
「でも、確かに出してたよ?基本的に二匹で攻撃妨害、二匹で援護してくれてた。あとは…途中、鞭から杖に武器を切り替えてたかな?」
「杖?魔獣使い…杖……鳥?鳥葬の杖だ!うわー。マジかー…。妹よ!その人のキャラクター名覚えてる!?今からコンタクト取るから!!」
「お、覚えて無いかな~…。」
「くぅ…。在野のプロだったら、ギルド誘ってるのに…。あー、説明するとね?その人、結構ヤバい人だよ。少なくとも、ライト層のプレイヤーでは無い。」
「そうなの?」
「魔獣使いは本来、1匹の魔獣を駆使して戦うの。そこそこ慣れた人なら2匹同時も行ける。なんだろうな…イメージとしては、ゲームしながらスマホを操作してるみたいな?その人は、F.Oの基本操作しながら、スマホ4台を同時操作していたっていう事になる。」
「それは……確かにヤバい人だね。」
アンコモンさんが、思った以上にヤバい事をしていて戦慄する。同時に少し嬉しくもある。
フレンド登録もしている事だし、今度そことなく聞いてみよう。
「そうだ。作ったキャラ教えてよ。フレンドになるからさ?」
「えー…やだよ。絶対、要らない情報いっぱい送ってくるでしょう?」
「何故わかったし。」
「分からないとでも?それに、私には…あー、同級生の友人たちとやる予定だから、余計なお世話だよ。」
「それもそうか。初見は初見なりの楽しみもあるからね。」
割とあっさり引いてくれて。危うくアンコモンさんが居るから大丈夫と言いかけたが、友人とプレイするに言い換える事で隠し通せた。
姉の部屋から離れ、自室に戻る。今日もF.Oのプレイをし始めるのだった。
≪古代の手記片≫…ゲームを始めた直後に、プレイヤーの所持品に入っているアイテム。中身を確認すると「貴方の思うままに生き延びて」と書かれいる事と、自分自身が冷凍保存されていた古代人である事。古代の"大災害"を乗り越える為に、改造施術によってプレイヤーが選択した種族になっている事が書かれている。※種族人間でキャラメイクした場合は、強化施術に変わっている。
≪鳥葬の杖≫…第四回目の大型アップデート『沈黙の最深海』で追加された、魔獣使い専用の杖。装備にレベル制限はあるが、レベルシンク機能を考慮してもステータス値が非常に低く、鳥以外に使い魔を呼ぶスキルが封印される。代わりにスキル『呼ぶ笛:鳥』の出現数を+3する事ができる。




