大量新規参入の弊害
ーー探索終了
アンコモンは、どっと疲れた様子で宿屋のベッドに倒れ込む。と言うのも、素材集めに結構難航しているのだ。粗方の素材は集められたのだが、予想通り〘ワイルドピグレットの粗皮〙が集まらない。低ランクの救難煙灯を作るのに必要な素材なのだが…プレイヤーマーケット含めて枯渇している品の一つだ。
救難煙灯はゲーム内でも重要なアイテムだ。道具の耐久が無くなるまで使い潰せるアイテムで、逃走、目印、小型エネミーのエンカウント低下と、所持の有無で探索効率が段違いだ。一応、探索拠点と呼ばれる安全地帯でNPCから購入可能だが、高ランクの職人が作製したモノの方が、効果範囲、効果時間、耐久値共に、かなり差があったりする。
(というか、初期街周辺の治安が大分悪くなってたな…何かあったのか…?)
F.Oを始めると、種族に応じた村や集落からチュートリアルが始まる。その後に、初期街と呼ばれる"ファウダラ"を目指す事になる。その為、初期街"ファウダラ"はチュートリアルを終えたプレイヤーが集まる、初心者達の多い街なのだが…。
(禁止ワードを伴う暴言チャット…荒らし行為…果てはRMT※の勧誘…。流石に運営の手が入りそうだなこれ。)
※リアルマネートレードの略。ゲーム内通貨等を現金と交換する行為。利用規約違反な上に、大半が詐欺。
一応、ギルド"カンブリア"とかの、初心者育成を主軸にしている組織が、仲介やプレイヤーの保護を行っているのも見たが……、新規ユーザーの数が多すぎて、焼け石に水状態だ。それに、初期街周辺のエネミー狩場も湧き待ちしている。コレでは素材が枯渇するのも頷ける。
(仕方ない…。効率は悪くなるけど、種族村巡回してみるか。)
〘ワイルドピグレット〙はチュートリアルエリアにも発生する。数は少ないが、狩る事はできる。強いて面倒な点を挙げるとしたら、チュートリアル直後のユーザーとパーティーを組む可能性があるぐらいか。
種族村周辺は、操作のチュートリアル後にランダムマップを踏破する必要がある。その際に、ユーザー設定次第ではパーティーを組むマッチングが発生する。既に高レベルに至っているプレイヤーでも、ランダムマップは基本的にレベルがマップの敵の強さに合わせて調整されるため、無双が出来る訳ではない。
アンコモンが狙っているのは、チュートリアル後のランダムマップだから、マッチングする可能性がある訳だが…。
脳裏に思い出す、初期街の惨状。
(出来るだけ、人気が少ない所……。鳥人族か巨人族辺りかな?)
二つの種族は不人気種族として有名だ。両方とも移動速度が遅い為だ。探索がメインの、このゲームでは移動速度は探索速度にも依存している。勿論、じっくり探索したい派には関係ないが、パーティープレイが発生するオンラインゲームにおいては、無視し辛いポイントだ。
「逆に高難易度コンテンツだと必須枠なのが皮肉だよな。まあ、今は攻略Wikiとかあるし、ストーリー中盤で1回種族チェンジ出来るようになってるしね。」
独り言を零しながら、宿屋を出て鳥人族の村側へ向かう。持ち物を確認して、ランダムマップへと突入するだろう。




