こだわりのキャラメイク
ーーピコン
川瀬『例の話どうなった?』
雨宮『りんりんが先に調べてくれるんじゃなかったけ?』
『ん。丁度部活も一区切りしたから、ダウンロードしてみる。クロスプラットフォーム対応て書いてあるし、携帯機でも出来ると思うよ。』花澤
川瀬『分かったー。それにしても、今日の『ぶっちー』の配信見た?超笑えたよ!』
火口『あ、今から観るから、ネタバレすんなよ!』
雨宮『レイドボスの奴でしょ。今見てる。』
火口『うぉい!!あー、もう!揃いも揃って!』
『……取り敢えず、予定通り。夏休みに遊べるように、下準備しておくね。』花澤
川瀬『りんりん、よろしくー。』
事の発端は、話題作りだった。とりわけ、有名配信者の話は、幅広い世代でトレンドの話題だ。そして、話題が基本プレイ無料の、学生でも届きうるゲームであれはら同じようにプレイしようとする層は一定数いる。私達がそうだ。
女子グループの私『花澤 凛』は、ゲームに詳しいと言うレッテルから、先行プレイを指示された。実際はそんなに詳しくはない。スマートフォンのソーシャルゲームがいくつかプレイしている程度だ。
しかし、先行プレイを指示されたゲームは、前々から興味があった為、文句を言わずに了承した。姉が非常に嵌まり込んでいるゲームなのだ。
グループメッセージを閉じ、ファウダラ・オンラインの起動ランチャーを見る。姉に聞いたら、要らない事まで一から十…いや百まで教えてくれた。流石にウザかったので、適当に聞き流したが……やはり、夏休み直前と『ぶっちー』の影響は大きいようで、学生ユーザーが非常に多いらしい。
とはいえ、基本プレイ無料だ。環境さえ整えば簡単に遊べる。……もっとも、『ぶっちー』のプレイしている範囲は、追加パッケージを含んでいるようだが。
「……あと10%か。先行プレイって言うけど、体のいい使いっ走りだよねぇ。はぁ。」
私自身は、あまり配信者に興味が無い。どちらかと言えば、ゲーム自体に興味がある。こういったMMORPGは初めて触る。……ゲームを通じて、全く知らない人と遭遇するというのは、緊張するものだ。
ーーダウンロード完了。
姉からは、2つぐらい追加パッケージを購入して、ダウンロードを勧められたが、丁重に断った。姉の方も『大規模遠征あるんだよねー。』とか言ってたので、暫くは大人しい筈だ。
「ふーん。やっぱり、ソシャゲと違ってキャラメイクからなのね。あ、接続機能も対応してるんだ。」
接続機能とは、スマートフォンを接続する事で、キーボード出はなく、フリック入力でチャットが出来る機能だ。スマホのフリック入力に慣れた世代には嬉しい機能だ。姉は『やりにくい』とか言っていたが。
「職業…種族…あ、でも後から変えれるだ。…なら、んー…戦闘するシステムだし、硬いほうが安定するかな?」
ファウダラ・オンラインは、探索がメインのゲームだが、システム的には戦闘が多いと姉は言っていた。
様々なランダムダンジョン、サバイバル環境での脅威、希少素材を入手する為の強力なエネミー。何をするにしても、戦闘は絡むと聞いてはいる。
それに、友人の性格を考慮すると、攻撃するポジションに不足は無いだろう。という訳で、私は防御職の"守人"を選ぶ。一応、姉からも勧められていた職業の一つで、探索時の危険感知や敵の引き付けの能力が備わっているらしい。また、他職業よりも耐久力に優れている為ソロプレイヤーでも好まれているとか。
種族は結構あるらしいが、無料プレイだと半分ぐらいしか無いようだ。最新アップデートで追加された"地底人"も鍵マークでロックされている。それでも8種族あるようで、小さい種族から大きい種族、獣から鳥人の種族まで多種多様だが、総じて原始的かつ若干のファンタジーな種族が見られる。
種族によっても、ステータスのボーナスはあるようなので、そこまで見た目を重視しない派としては、中身優先で確認していく。守り人のオススメ種族は鳥人族か巨人族のようで、両方とも体格が大きく、耐久力に優れている。一方、俊敏性や魔力といったステータスは低い為、素早い身のこなしや魔力を重視する職業には不向きらしい。
「鳥と巨人か……。折角だし鳥にしてみようかな?」
特に男女でステータスの差は無さそうなため、女性の鳥人族を選択する。巨人族に比べて耐久力が大きくはないが、魔法や環境に対しての抵抗力が高いようで、ビジュアル的にも好みだ。
側頭部、手首付近に羽があり腰の背部には尾羽がある。某フレンズの鳥みたいだ。また、脚が鳥脚となっており、かぎ爪もある。
そして、羽根の種類を選択するのだが…。
「うわ…なにこれ……すご。」
かなりの種類が表示される。それぞれで羽の色を変えられる辺り、かなりの手の込み具合だ。一つ一つ吟味していたら日が暮れてしまう。
この辺に関しては、パパっと直観で作ってしまう。
ーーー2時間後。
「できた…けど……これ。」
自分の好みを吐き出し続けながら、キャラメイクを終えた結果、持ち前のソシャゲキャラそっくりになってしまった。
…まあ、好み通りに作れば、何かに似るのは必然かもしれないが……改めて自覚すると恥ずかしい。
キリっとした目尻、三白眼、灰髪に灰の羽根、スレンダーな体格、…いわゆるモデル体型という奴だが。無意識に憧れも混ざってしまったのだろうか?某、ジャパリなパークを彷彿とさせる。
「うっわ…もう、こんなに時間経ってる…。まあ明日休みだしいいか。……朝練はあるけど。」
時計は既に22:00を刻んでいた。晩飯も風呂も、ある程度の寝る準備も済ませているので、問題は無いはずだがろ24:00前には就寝したいものだ。
「取り敢えず。今日はチュートリアルまでやって終わりかなぁ。」
気を取り直して、ゲーム画面に向き直る。指示されたとはいえ、安定する所まではいきたいが…。




