メインクエスト
F.OにはMMORPGではあるが、ゲームである以上ストーリーも存在する。
ゲームコンテンツ解放やプレイキャラクターが主題で関わらる"メインクエスト"。コンテンツ解放や、ゲームを進める上で必須ではない"サブクエスト"。
カリン達は、メインクエストを主に進めていた。もっとも、カリン自身はサブ職育成をしている為、一部サブクエストも進めている訳だが。
そして、とても重要なのは世界背景がSF要素を取り入れたローファンタジーである事だ。古代文明が存在し、魔法は無く奇跡と神秘は存在する。プレイキャラクターも、コールドスリープから目覚めた古代人という設定になっている。
F.Oのメインクエストは以下の流れで進んで行く。
①各プレイヤーは『古の探索者』と呼ばれており、過去の大災害時に致命傷を受けてコールドスリープした人間達。種族に関しては、治療の一環で与えられた形だ。その影響か、記憶はほぼない。強いて言うならば、現代のような高度に発達した文明が古代にあったぐらい。
②『古の探索者』の由来は、他のコールドスリープから目覚めた人間が探索者として大成する事が多い為だ。目覚めたプレイヤーは、リハビリも兼ねて近くの森を探索すると、古代の遺構から大陸地図を手に入れる。
③ルートレスから、大陸中を冒険する事になる。北の氷河、東の沼地、南の山脈、西の砂丘。それぞれの街でクエストを進めるとルートレスで遠征隊に声を掛けられる。
④遠征先で新規の古代遺跡を発見する。そこには、大災害で抗った際に使われていた古代生物兵器が暴走しようとしていたため、打倒す事になる。
これが、F.Oの追加ダウンロードコンテンツ抜きで遊べる範囲だ。現在カリン達がプレイしているのは③。メインクエストの最も時間のかかる東西南北のクエストを進めている段階だ。時間が掛かる要因としては、各街で"探索地"と呼ばれる探索ダンジョンを踏破しないといけない為である。
現在は攻略Wikiや、探索地のランダム情報をまとめたサイトが、ネットで簡単に検索できるため、予め内容を理解していれば簡単だ。しかし、カリン達のように4人全員初心者かつ情報サイトをあまり見ないとなると…それなりの難易度になる。具体的には、ローグライクシステムの如く、死に覚えが必要となるレベルだ。当然、メインクエストの進行速度も遅々となる。
腰を据えてずっしりとプレイするには問題無いだろうが…カリン達には、とある問題が発生してしまった。それはF.Oを始めた動機でもある、配信者『ぶっちー』の視聴者参加型企画の発表だった。なんと一週間後に④の最後となる大規模探索地で人員募集をしていたのだった。
一方カリン達はというと、北の氷原である"探索地:氷土"で苦戦を強いられていた…。
◆◇◆◇◆◇
ーーピコン
雨宮『明日休日!つまりF.Oの時間!朝からやるよー!さっさとメインクエスト終わらせて、ぶっちー様の配信に入り込まないと!!』
火口『未発表だった視聴者参加型企画。まさかの来週とは思わないじゃん。急げ急げ!!』
川瀬『いやいや。いやいやいや。冷静になってみなよ。流石に間に合わないって。私達、例の氷土で3日足止め喰らってるんだよ?まだ移動とかも考慮しても、全然時間足りないって。』
雨宮『攻略サイト見ればいけるって!』
火口『え~…。攻略見ないでやろうって言ったの、サッキ―じゃーん。』
雨宮『これは、ぶっちー様の企画に参加する為の、致し方ない犠牲なのだよ!』
川瀬『いや、リンリンの負担も考えなよ。装備とかアイテム、ほとんどリンリンの負担して貰ってるのに、流石に可哀そうだって』
『あはは…。蓄えはあるから、まだ大丈夫…大丈夫…。けど、攻略サイト見ても流石に間に合わないんじゃない?確かに、事前情報があれば対応はしやすいけど……ほら、私達全員初心者じゃない?前の中ボス戦とかも、分かっててもキツかったし。』花澤
川瀬『同感。それに、そもそも参加型企画って事は、定員に対して参加希望出して、抽選に当たらないとでしょ?なんなら4人抽選する必要も無いしね。』
雨宮『あ~…それがですね?実は…もう参加希望出しちゃいまして…。』
川瀬『は?』
火口『マジか。』
雨宮『しかも、奇跡的に4人分の枠が確保できてしまいましてね?』
川瀬『馬鹿。本当に馬鹿。どーすんの!絶対間に合わないって、リンリンも言ってたばかりでしょ!?』
火口『気合で行けない?あ、無理そう?』
『うわぁ…。と、とりあえず、私、明日の氷土探索の準備しておくね?』花澤
と言いつつも、既にカリンは氷土探索の準備自体は終えていた。強いて言うならば予備の準備ぐらいだ。あの場に残っていれば、面倒な飛び火がしていたかもしれない。川瀬さんは私の負担を気にしてくれてたけど、正直結構楽しめてるので、あまり気にしていない。どちらかと言うと、今回の騒動を機に不和が広がらないかが心配だ。
(防寒具よし。アイゼンよし。救援煙灯よし。保存食よし。ホットバターラムよし。)
普段使用している下級回復薬や修復材以外の、氷土特有の必要アイテムを念入りに確認しておく。特に防寒具とホットバターラムは寒さ対策の生命線だ。無いと探索どころではない。
(もう少しホットバターラム作っておこうかな…?……あ、ダークラムが足りない…。サトウキビ…あった。けど、出来れば高品質欲しいな…。……。)
脳裏によぎるアンコモンの姿。身も蓋もない話だが、上手い人にキャリーして貰えば、もしかしたら来週までに間に合うのでは?と想像してしまう。
(だめだめだめ!流石に悪い!助けて貰えるかもしれないけど、甘えるとはちょっと違う…。うーん…でも、アドバイスぐらい…貰えたりするかな?)
気づけば、カリンの足はルートレスの街へと向かっていた。
[氷晶の野服](要レベル22/レア/汎用・耐寒)…大陸北側の街『ホワイト・フィヨルド』で製作レシピを入手できる装備。どの職業・種族でも装備でき、耐寒効果が付与されている為、大抵のユーザーは装備するハメになる。装備をケチる者はホットバターラムの世話になる。防御性能は低い為、アップグレード等の対応が必要。




